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“ほめ合う” 中国の若者たち

2019-08-17 07:00:00 | 報道/ニュース

7月23日 NHKBS1「国際報2019」


”試験ダメだったけど・・・ほめてください!”
     “まだまだ改善の余地があるということですよ”
“ジェットコースターに7回も乗ったよ!ほめてください”
     “勇気があるね!”
     “7回も!お金持ちだね!”
次々とネット上で書き込まれる“ほめ言葉”。
中国ではいまSNS上でほめ言葉がブームとなっている。
ブームの火付け役は大学生。
同じ大学の学生同士などで互いにほめ合うグループが相次いで誕生している。
上海の大学院で学ぶ黄さん。
就職活動中
自信を持てなくなりそうなときに助けられたのがほめ合いグループだった。
(“ほめ合いSNS”を活用 黄さん)
「友人やクラスメートも忙しく
 書き込んでもすぐに返信は来ませんが
 このSNSならいつでも1人か2人は励ましてくれる人がいます。」
希望する企業の試験を直前に控えたこの日
黄さんはこんな書き込みをした。
(黄さん)
“土曜日に就職試験があるのですが自信がないです
 はげましてください”
すると
“緊張しているのは試験を重視している証拠です
 真面目な人ですね
 ほめてあげます”
“書類選考を突破したのですね
 高い能力を持っていてすごいです”
(“ほめ合いSNS”を利用 黄さん)
「試験に対するモチベーションが上がりました。
 同じ大学の学生なので知らない人でも温かな家族のように感じます。」
この“ほめ合いブーム”をビジネスチャンスととらえる動きもある。
上海で金融会社を経営する劉さん。
本業のかたわら
今年3月からネット上で希望者を徹底的に“ほめ上げる”サービスを始めた。
客は自分の簡単なプロフィールやほめてもらいたい内容を記入し
サービスを受けたい日時を予約する。
料金は5分間で約750円(48元)
10分間で約1,000円(68元)。
自分だけでなく
恋人や家族にサービスをプレゼントすることもできる。
実際にサービスを受ける女性は
最近ストレスが溜まっていることからサービスを申し込んだ。
劉さんは女性のプロフィールをもとに約100名ほどのスタッフの中から担当者を決める。
この日は4人のスタッフが対応することになり
それぞれ自分の端末からほめ言葉を書き込んだ。
“よろしくお願いします”
     “あなたは私の女神です”
次々に書き込まれるほめ言葉に笑顔を見せる女性。
     “容姿も素敵だし
      外国に何度も行って友人も多いのでしょうね”
     “どの国の男性もあなたに魅了されます”
10分間 女性をほめる言葉が途切れることなく書き込まれていった。
(サービス利用者)
「とても楽しかったです。
 料金を支払い知らない人に褒められても
 家族や友人ほど心がこもっていないとわかっていますが
 予想以上のほめ方で面白かったです。」
(“ほめ合いSNS”サービス 店長 劉さん)
「中国人は豊かになり
 形のない商品にお金を払うこともためらいません。
 現代社会はポジティブなパワーが必要なので
 そのパワーを届けていきたいです。」
中国の若者たちが互いに励まし合うほめ合いグループ。
激しさを増す競争社会の中で
癒しを求める人たちの新たな交流の場として広がっている。
 

   

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LGBTへの理解進む “先進国” スウェーデン

2019-08-16 07:00:00 | 報道/ニュース

7月23日 NHKBS1「国際報道2019」


ⅠOC国際オリンピック委員会がまとめたオリンピック憲章は
スポーツを通して差別のない社会の実現を目指すことを掲げている。
その一環として5年前には
同性愛者への差別を許さない方針も打ち出した。
日本の大手広告代理店が去年行った調査では
日本人の8,1%
およそ11人に1人がLGBTだという結果が出ている。
こうしたなか東京都は去年
LGBTの人たちを差別を認めない法令を制定するなど
国内でもこのオリンピック憲章の精神を反映させた社会を造ろうという機運が高まっている。
ただ日本全体としてはそうした人たちへの理解は必ずしも進んではいない。
2010年に国際的な調査機関が行った
同性愛をどの程度受け入れるかという寛容度についての調査では
日本は10点中 5,14。
一方 8,18とトップレベルだったのがスウェーデンである。

町中に掲げられたレインボーフラッグ。
LGBTの人たちを象徴するもので
スウェーデンでは全国で見られる。
図書館の一番目立つところにはLGBTの書籍コーナー。
LGBTの人たちを主人公にした小説など200冊が置かれている。
(来館者)
「スウェーデンでは多様な生き方を受け入れようとしています。
 そのために特別なコーナーを作り
 皆が見つけやすいのはとてもいい事です。」
企業でも取り組みが進んでいる。
世界中に370店舗を構え日本にも展開する大手家具メーカー IKEA。
LGBTの人たちも積極的に採用。
個人を尊重する社風を前面に打ち出している。
同性愛者であることを社内で隠す必要はない。
(レズビアンの社員)
「あしたはハーフマラソンの大会に出ます。
 今夜中に移動するつもり。」
「あなたの“妻”も一緒に練習したの?」
「いいえ
 でも彼女は応援してくれるわ。」
(ゲイの社員)
「僕の“夫”はテレビを見ていたよ。」
従業員の制服は男女とも一緒。
このオフィスにあるおよそ70個のトイレはすべて個室である。
性別を問わずだれでも使うことができる。
差別や偏見のない環境のなかでLGBTの社員のその能力を最大限に発揮できるという。
(ゲイの社員 )
「私たちは誰もが互いの違いを認め合っています。
 それぞれの多様性や個性を生かすことで会社に貢献できるのです。」
こうした取り組みは国連からも“先進的だ”と評価され
世界中から多様な人材が集まっている。
(イケア ダイバーシティ戦略担当責任者)
「多様な価値観を持つ人が働くことを望むので
 有能な人材を採用できます。
 私たちが人材を求め
 人材が私たちを求めるのです。
 あらゆる人のライフスタイルを尊重し
 業績も上げています。」
しかしここに至るまでには苦難の歴史があった。
スウェーデンでは1980年代からLGBTの権利拡大を求める運動が盛んになった。
一方で保守的な人たちの反発は強く
運動の支持者が襲われる事件も起きた。
転機となったのは2000年代。
国が同性愛者への差別を禁止するなど法律を次々と整備したことだった。
経済が低迷し高齢化が進むなか
国として成長していくには多様な人材の活躍が欠かせないと考えたのである。
理解を進めるためまず力を入れたのが幼少期からの教育である。
LGBTに対する偏見が生まれないよう
国がカリキュラムを作っている。
「こちらが図書室です。
 これは“ダディとパパとわたし”です。」
この幼稚園で読み聞かせをしているのは男性カップルが子どもを育てる絵本である。
(ニコライゴーデン幼稚園 延長)
「幼い子どもはこの本に何の疑問も持たない。
 疑問を持つのは大人だけ。
 “すべての人には尊厳があり平等だ”と幼い頃から教える方が簡単です。」
理解が進んでいなかった世代への対応も始まっている。
去年からスタッフ全員が専門の研修を受け
LGBTの人たちを受け入れる態勢を整えている老人ホーム。
入所者1人1人に今後LGBTの人もホームに入ることを丁寧に説明。
理解を示す人が増えている。
(老人ホーム 施設長)
「LGBTの人も含む全ての人が歓迎されていると思えることが重要です。」
国を挙げてLGBTの人たちへの差別解消に取り組んできたスウェーデン。
互いを認め合うことで暮らしやすくなったと実感する国民が増えたという。
(リンドハーゲン男女平等担当相)
「国のルールや価値観は必ず変えることができます。
 そうすることで社会はよりよくより強くなるのです。」

 

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バリ島 “脱プラスチック”最前線

2019-08-15 07:00:00 | 報道/ニュース

7月22日 NHKBS1「国際報道2019」


インドネシアは海に流出したプラスチックごみの量が世界で2番目に多いという試算がある。
これに危機感を抱いたリゾート地のバリ島では
あの手この手で脱プラスチックの取り組みが始まっている。

美しいビーチが広がる世界的なリゾート地として知られるバリ島。
しかしその沖合には海中を漂う大量のプラスチックごみ。
その間をエイが泳いでいる。
去年公開されたその映像は世界に衝撃を与えた。
独特の伝統文化が息づくバリ島。
もともと植物の葉っぱなどが入れ物として使われていた。
ポイ捨てされても環境への影響は大きくない。
しかし生活習慣の変化とともにプラスチックの袋や入れ物が増えている。
ごみを分別する習慣があまりなく
処理施設の整備も遅れているため
プラスチックごみが海に流出するようになったのである。
(州政府環境局 担当者)
「このプラスチックごみの現状を放置すれば
 環境に深刻な影響が出ます。」
そこで地元政府は6月
プラスチック製のレジ袋を禁止する条例を施行した。
これを受けて新たな取り組みを始めたスーパーがある。
「これはバナナの葉っぱです。
 プラスチックではありません。」
これまで野菜を束ねていたプラスチックのテープの代わりに
バナナの葉や竹製のひもを使うことにしたのである。
(店の担当者)
「バナナの葉で包んだ方が新鮮に見え
 お客さんの反応も上々です。」
さらにいま注目されているのが
ある植物から作られた脱プラスチックの袋である。
インドネシア各地で栽培されているキャッサバから作られている。
キャッサバは日本でも人気のタピオカの原料としても知られるイモである。
バリ島で5年前に創業した会社が開発した。
キャッサバのデンプンを独自の技術で粒状に加工。
これを熱で薄く伸ばすことで
1日500キロの袋を生産している。
会社では
天然成分で出来ているため
たとえ海に流れても水に溶け
環境への影響もないとしている。
着色などもできるため注文に応じさまざまなタイプの袋を作っている。
(開発した会社の担当者)
「キャッサバはインドネシアでは安く簡単に手に入ります。
 しかも袋は80日以内に土に返るのです。」
バリ島でキャッサバ製の袋を使う店が徐々に増え
観光客にも好評である。
(オーストラリアからの観光客)
「とても素晴らしい。
 オーストラリアにあれば・・・。
 これがキャッサバなんて本当にすごい!」
ただキャッサバ製の袋は日本円で1枚5円ほど。
まだ大量生産できないこともあり
プラスチック製に比べて値段は5倍以上である。
庶民の台所となっている屋台では
今もプラスチック製の袋を使うしかないと頭を悩ませている。
(屋台 店主)
「プラスチックの袋無しで商売する準備ができていません。」
バリ島で始まった“脱プラスチック”の動き。
深刻な海洋汚染に歯止めをかけることができるのか。
世界から注目されている。


 

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立憲民主党の正念場

2019-08-14 07:00:00 | 編集手帳

7月22日 読売新聞編集手帳

 農家の方は見かけるものかもしれない。
<とうが立つ>。
「とう」は【薹】と書く。
難しい字だが、
野菜などを適時に収穫しないと、
伸びてくる花茎のことである。

花茎が伸びれば作物は食べ頃を逸する。
よって薹が立つは、
あまりいい意味に使われない。
政権与党への国民の意思を農家に例えれば、
まだまだ薹は立っていないとの判断だろう。
参院選は自民、
公明両党が合わせて、
改選定数の半数を超えた。

政権を選択する衆院選に対し、
参院選は中間選挙と呼ばれる。
政権への評価とみれば十分な及第点はもらったことになる。

野党では、
立憲民主党が議席を伸ばした。
この春の野田佳彦・前首相(無所属)の発言を思い出す。
「対自民党の決勝で勝つかどうかが大事なのに、
 準決勝のことしか考えていない」。
民進党から分裂した立憲民主、
国民民主の勢力争いを嘆いたものである。
とはいえ、
どちらが準決勝で勝ち王者への挑戦権を得るか。
それも注目点の一つだった。。
勝った立憲民主はこれまで以上に中身が問われよう。

国民から党が立ったと見られるか、
野党の地位のまま薹が立ったと見られるか。
正念場だろう。


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イギリスから世界へ クラフトジンの魅力

2019-08-13 07:00:00 | 報道/ニュース

7月18日 NHKBS1「国際報道2019」


それぞれの生産地の特色を生かした「クラフトジン」。
いま世界では新たなクラフトジンが次々と誕生し
そのブームは日本にも広がり始めている。

都内で開かれたバー業界最大級のイベント。
日本のジンの輸入額は昨年は22億円余と
6年連続で増加。
その多くがクラフトジンである。
人気の秘密はバリエーションの多さ。
バラとキュウリを配合した珍しいクラフトジンは甘みとさわやかな口あたりが特徴のもの。
スコットランドのアイラ島などで採取されたミントやレモンなど31種類の植物が配合されたもの。
現在 世界では6,000種超のジンの銘柄が存在すると言われている。
(客)
「前に比べてボタニカル(植物由来の材料)で工夫しているジンが増えているので
 楽しい。」
「いろんなものを使っていると思うと飲みたくなりますね。」
このクラフトジンブームはどのようにもたらされたのか。
ブームのけん引役となった本場イギリスの蒸留所。
そもそもジンとは
麦やジャガイモなどを原料とした蒸留酒にジュニパーベリーというスパイスで味付けしたもの。
これ以外どのような材料を使っても自由である。
イギリス各地の蒸留所でクラフトジンの製造が開始されたのは10年ほど前。
蒸留酒製造の規制が緩和されたことで中小規模の蒸留所が急増。
地元で採れた辱物などを使い
独特な味を追求するクラフトジンが相次いで開発された。
(ジン蒸留所 ピールさん)
「うちは生産量は少ないですが品質には自信があります。
 バーテンダーも蒸留所も今どんどん新しいことに挑戦しています。」
やがてそれぞれの特徴を生かしたカクテルなどが若者を中心に人気となり
ファッション感覚でジンを楽しむブームが到来したのである。
「インスタ映えするの。
 ファッションみたいなものよ。」
そんな新しいジンの楽しみ方は日本でも広がりつつある。
ジンの輸入業者の高山さん。
イギリスとの間を頻繁に行き来しながら日本のクラフトジンの魅力を伝えている。
この日 高山さんは和食を提供するカフェで
ランチと一緒に気軽に楽しめるジントニックを提案した。
「けっこう軽い感じ。
 もともと度数自体は高いんですけど
 こういう感じにすると食中酒で食事と合わせていただけると思いますね。」
高山さんが和食とのマリアージュとして提案したジントニック。
スコットランドのハリス島のクラフトジンを使用している。
昆布を配合したフレッシュな甘みが特徴である。
「大葉とミョウガとライムです。」
「すごく合います。
 和食とジントニックって初めて。」
最近ではおしゃれなバーなどでも趣向を凝らしたカクテルをSNS上に投稿して
若者にジンの新しい楽しみ方をアピール。
クラフトジンは着実に受け入れられ始めている。
(輸入業者 高山さん)
「ジンの作り手たちも今までになかったものをどんどん提案してきたりしていて。
 海外の面白いジンの文化を伝えたい。
 新しい飲み方が広がっていけばいい。」
個性あふれるクラフトジン。
世界各地でお酒を楽しむスタイルに新たな変化をもたらしている。

 

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ラグビーW杯 開幕間近

2019-08-12 07:00:00 | 編集手帳

7月18日 読売新聞編集手帳

 ずぼらでちょっと下品な中年刑事が活躍する英国の小説、
フロスト警部シリーズ(創元推理文庫)はミステリーファンに人気が高い。

その一つ『冬のフロスト』に、
夜の酒場で暴れた大勢のフーリガンがバス1台に詰め込まれ、
警察署に連行される場面がある。
「こいつらサッカーしか頭にない、
 血の気の多いどあほうどもだよ」(巡査部長)。
春歌を叫び、
服は脱ぎ出すわ、
吐き散らかすわで署内は大混乱となる。

フーリガン対策に努めたサッカーW杯日韓大会を思い出す。
会場そばの繁華街は早くに店を閉め、
新幹線の酒類販売も中止に…。

同じ英国生まれの競技でも、
ラグビーは荒くれ者集団の心配はいらないらしい。
9月に開幕するW杯に合わせ、
横浜中華街では少なくとも50店が深夜0時頃までの特別営業を行うという。
横浜市も協力し、
決勝、
準決勝などを予定する日産スタジアムから、
中華街へのシャトルバスを運行する。
海外からの観戦客を運ぶバスに、
道行く人が手を振る光景が浮かんでくる。

開幕まで約2か月に迫った。
世界が熱狂する舞台といっても、
そこへの世の歩みはどこか和やかである。


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AI兵器開発をめぐりアメリカで議論活発に

2019-08-11 10:00:23 | 報道/ニュース

7月18日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


AIの研究開発が盛んなアメリカ西海岸のサンフランシスコ。
6月にAI兵器の是非をテーマにしたシンポジウムが開かれた。
AI兵器に反対する活動家 マータ・コスミナさんは
世界50か国で展開する国際キャンペーンのメンバーの1人である。
(AI兵器反対派 コスミナさん)
「AI兵器は私たち人類に大きな害をもたらす新兵器になりかねません。」
コスミナさんら反対派が懸念するのは
AIを搭載した機械が人間の手から離れて自らの意志で人間を殺傷する
「自立型致死兵器」である。
そうした兵器の脅威を示すために作られた動画では
小型の爆弾を大量に積んだ自立型致死兵器が無差別に人を攻撃するさまを描いている。
(AI兵器反対派 コスミナさん)
「AIが画像やデータを蓄積し進化していくなかで
 次第に人間の統制から離れ
 最終的に機械が自ら判断する。
 自立型兵器になってしまうのが恐ろしいのです。」
コスミナさんら反対派の訴えとは裏腹に
アメリカ政府はIT企業と連携してAI兵器の研究開発を強力に進めている。
そのゴールはAIを搭載したドローンの戦場でに運用である。
政府の方針に賛同しているIT企業 アンドリル社。
この企業は国境の密入国を監視するAIを搭載したカメラやドローンをアメリカ政府などに納入している。
アンドリル社幹部 ブローズさん。
いまIT業界ではITの軍事利用に協力する企業が増えているという。
(アンドリル社幹部 ブローズさん)
「政府はAI技術に取り組む優秀なエンジニアを防衛産業に戻そうと
 高い報酬を払うシステムを作り始めています。」
さらにIT企業が政府に協力するようになってきた背景には
報酬だけでなく
中国とロシアの存在があるという。
ブローズ氏が今年5月 アメリカの有力外交誌「フォーリンアフェアーズ」に寄稿した論文。
そこで
中国とロシアはAI兵器の倫理的側面を考慮せずに開発を進めていると指摘し
アメリカの国を挙げてAI兵器の開発に取り組むべきだと主張している。
(アンドリル社幹部 ブローズさん)
「アメリカ政府の最大の優先事項は
 大国(中国やロシア)への抑止力を持つことです。
 反対派はこうした地政学や技術の現実からかけ離れています。」
一方のコスミナさんはいま最も力を入れているのがITエンジニアへの働きかけである。
座談会の企画やIT企業との面談などを通じてAI兵器の脅威を訴えている。
(IT企業関係者)
「“殺人ロボット”都の表現は過剰な印象ですが
 AIには心配すべき点がたくさんあります。」
大手IT企業ではAIの軍事利用の研究をやめるところも出ている。
グーグルは大勢の従業員の抗議を受けて
去年6月 ピチャイCEOが政府への協力を中止すると発表した。
AI兵器の開発を進めるべきか
やめるべきか
アメリカのIT企業の立場が分かれている。
(AI兵器反対派 コスミナさん)
「私たちの主張を支持しAI兵器の脅威を理解してくれるIT企業は多いですが
 残念なことにビジネスを重視する経営者もいます。
 世界中のさまざまなグループ・団体と連携し
 この問題を理解してもらい
 開発推進派への圧力になってもらうのです。
 AI兵器が運用されるようになってからでは手遅れだからです。
 パンドラの箱を開けることになるのです。」




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地域色豊か 都市対抗野球の応援

2019-08-10 07:00:14 | 報道/ニュース

7月18日 NHK「おはよう日本」


社会人野球の最高峰 都市対抗野球。
スタンドを彩る応援の数々。
36チームがそれぞれの地域をアピールする。
山形市のチームはサクランボに花笠踊り。
モータースポーツの町として有名な三重県岡崎市のチームはミニバイクを。
愛知県岡崎市のチームは家康を中心とした武将たちが勝どきを上げる。
なぜ徳川家康が応援しているかと言えば
「生まれたところというのはどこを探しても岡崎だけ。
 わしらも今後も全力で応援してまいる所存。」
ちょっと変わった応援で地域色を出していたチームがあった。
おそろいのTシャツを全員が着ているわけではなく
いろいろな年齢の方々が集まってきた。
大会唯一のクラブチーム
長野市の信越硬式野球クラブである。
選手たちはっさまざまな職場で働いている。
応援団もさまざま。
長野在住の人はもちろんだが長野で生まれ現在は東京や神奈川に住んでいる人も駆け付けた。
いわば“寄せ集め”の応援団だがその人たちの心をギュッとひとつに結び付けていたのが
長野県県歌「信濃の国」。
♪ 両方にそびゆる山々は
 御嶽 乗鞍 駒ヶ岳
 流るる川は いや遠し
 松本 伊那 佐久 善光寺
 四つの平は 肥沃の地
 海こそなけれ 物さわこ
 浅間は殊に活火山
 いずれも国の鎮めなり
 しかのみならず桑とりて
1899年(明治32年)に作詞され
長野の歴史や豊かな自然が綴られている。
小学校や中学校などでも歌い同窓会などでも歌う
長野県出身者にとっては大切な歌である。
試合前そして試合後に全員で熱唱。
試合には敗れたが
長野に住んでいる人も長野を離れた人も
「信濃の国」を歌うことでスタンドは一体感に包まれていた。
(東京在住の男性)
「上京してなかなか長野に帰ることがないので
 久しぶりに歌って
 長野県民っていいなと思った。」
(関東在住の男性)
「いいですね 気分満点!」
(長野在住の女性)
「すごく長野を誇りに感じるような
 地元を感じられてすごく楽しかった。」
(信越硬式野球クラブ応援団長)
「郷土愛が伝わったんだと思う。
 そんな思いがひとつになれる場所というところで
 都市対抗はいい場所だと思う。」

 

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“司法通訳人”の育成塾

2019-08-09 17:17:12 | 報道/ニュース

7月18日 NHK「おはよう日本」


日本語が話せない外国人の取り調べや刑事裁判では
警察や裁判所が“司法通訳人”と呼ばれる人たちに通訳を依頼する。
ところがいま来日する外国人の増加にともなって
必要な司法通訳人が十分確保できない事態が起きている。

大阪市内で司法通訳人を育成する塾を開いている清水真さん。
司法通訳人は警察の取り調べや刑事裁判などで立ち会う通訳で
清水さんは自らの経験を生かして
全国でも珍しい専門の授業を行なっている。
実は清水さんは元兵庫県警の警察官である。
中国語を使える捜査員として30年以上にわたって外国人犯罪の捜査を担当。
そのなかで誤訳の危険性を感じてきた。
あるケースでは妻を殺害したとして逮捕された中国人が
“殺すつもりはなかった”と供述していたのに
通訳が“殺して黙らせようと思った”と通訳していたという。
(清水真さん)
「外国人の話した内容が誤訳されて
 違う方向
 思ってないような話になってしまうのは大問題。
 そういうことが全国で散見されていることを考えると
 司法通訳のトレーニングは続けていかないといけないし
 能力を上げることによって
 冤罪をなくし
 誤訳をなくし
 真相の究明をしたい。」
いま司法通訳人の必要性はますます高まっている。
来日する外国人の増加にともない通訳が必要な裁判が急増しているのである。
去年 裁判で通訳を必要とした被告の数は3,699人と
この5年間で1,6倍に増えている。
清水さんのもとには司法通訳にチャレンジしてみたいという外国人や一般の通訳が集まっている。
授業では実践的なトレーニングを心掛けている。
この日は中国語とタガログ語の通訳人約40人が参加した。
肩を軽く叩かれたことに逆上した男が相手の顔を殴ってけがをさせたという事件を想定した。
(警察官役)
「どの程度叩かれた?」
(司法通訳人役)
「どの程度殴られた?」
(容疑者役)
「強く殴ってきました。」
清水さんはこの事件では“叩く”と“殴る”の微妙な違いを伝えられるかどうかがポイントになると指摘した。
(清水さん)
「通訳は言葉の違い
 “軽く叩いた”“殴った”というのを同じように言わない工夫をしてほしい。」
(参加者)
「日本語のニュアンス
 どういうふうに訳したらいいか難しい。
 誤訳にならないようにもっと勉強します。」
育成塾を開いてから4年。
これまでに巣立った司法通訳人は50人近くにのぼる。
外国人が公正な捜査や裁判を受けられるようにしたい。
清水さんは取り組み続けている。
(清水誠さん)
「外国人犯罪が増えてくれば
 裁判官や検疫・検察と
 架け橋を結ぶ存在が必要になっくる。
 外国人だからといって操作が進まないということではけない。
 心を訳す
 本人がしゃべっている
 話者の心を訳してほしい。」

司法通訳人には資格は必要ないが
高度な技術が求められるため時給は6千円以上と高額になっている。
また仕事が不定期なうえ裁判などでは準備に時間がかかり
割に合わないとして
警察や裁判所に登録する人は減っているということで
育成が課題になっている。

 

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インドネシア 日本大使の“インスタ外交” 人気沸騰中

2019-08-08 07:00:00 | 報道/ニュース

7月17日 NHKBS1「国際報道2019」


料理の前でポーズをとるインドネシアに駐在する石井正文日本大使。
インドネシアの伝統衣装“バティック”を着て写真におさまる。
「いいんじゃないですか。
 これでお願いします。」
石井大使は去年10月からインスタグラムに昼食に食べるインドネシア各地の料理を投稿している。
「きょうは地元で“猫まんま”と呼ばれる干し魚などを使った混ぜご飯をいただきます
 ダイエットのため
 ご飯の量を減らしています」
「きょうはジャカルタ発祥の
 ソト・タンカール(ココナッツミルクベースの牛肉スープ)と
 ヤギのサテ(串焼き)です
 私のバティックと色が同じです」
時にはおどけたポーズをとりながら
インドネシアの料理を食べ続ける様子が話題となり
フォロワーの数は7万人を突破した。
(駐インドネシア 石井正文日本大使)
「正直びっくりしました。
 インスタグラムの発信力は非常に高い。」
インスタグラムに取り込んだ背景にはSNSが大好きなインドネシアの国民性がある。
イギリスの調査会社の調べでは
1日にSNSに費やす時間は平均で3時間26分
世界で4番目に長いとされている。
(市民)
「彼はナイスよ。
 友だちが何人もフォローしているわ。」
ほぼ毎日投稿される大使のお昼ご飯。
ある日の撮影。
午前11時半。
「今日のお昼はいかがですか?」
撮影を前に大使館のスタッフと念密に打ち合わせる。
「きょうはトマト柄のバティックを着ているので
 スマトラ料理はありますか?
 スマトラのコーヒーもあるし
 一緒にいっちゃおう。」
「わかりました。」
多様な文化を持つ島々からなるインドネシア。
よく文化も豊かである。
この日はスマトラ島の“ルンダン”という煮込み料理に決定。
出前で注文することになった。
料理が届いたらまず1枚。
「いただきます。」
食後には完食した証拠としてもう1枚パチリ。
この1枚が反響を呼ぶのだそうだ。
「すごく辛いソースを全部食べるとすごく喜ばれます。
 残すと“残ってる”と言われます。」
投稿からわずか5分でついた“いいね”は600件以上。
最終的に1万2,000件にまで増えた。
”我々の国インドネシアの料理を愛してくれて
 石井さんに感謝します!” 
このインスタ外交に地元メディアも注目。
(地元メディア記者)
「日本の大使自ら発信していることが
 ユニークでとても効果的な外交です。」
石井大使の投稿は料理ばかりではない。
日本の支援でインドネシア初の地下鉄が開通した際には
ジョコ大統領とのツーショット掲載。
日本とインドネシアとの関係に理解を深めてもらうのにも手ごたえを感じている。
(駐インドネシア 石井正文大使)
「食べ物を出しながら
 いろいろなフォロワー層を増やしていく。
 同時に日本がこういうことをやっていますということを
 幅広い人に分かってもらう。
 インスタが日本とインドネシアの関係増進につながるのであれば
 うれしいこと。」

 

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“脱プラスチック” アルミ製ストロー開発

2019-08-07 07:00:00 | 報道/ニュース

7月17日 NHK「おはよう日本」


職人が研磨機で1本1本丁寧に磨いているのはアルミ製のストロー。
従来の使い捨てのプラスチックストローに代わるものとして
3年前商品化された。
新潟県燕市の金属製品メーカー。
アルミ製のストローを開発した アイデア セキカワ 常務の関川さん。
きっかけとなったのは海のゴミの問題だった。
サーフィンが趣味で毎週のように長岡市沖の日本海へ通っていた関川さん。
そこで目にしたのはペットボトルやプラスチックは容器のゴミだった。
(関川さん)
「海がどんどん汚れていくのを見ると
 他人事ではないかなというところで。」
金属加工の技術を生かして少しでもプラスチックごみを減らしたい。
関川さんはアルミ製のストローの開発を決心した。
しかし立ちはだかったのは父親で社長。
(社長)
「ストローを作って売れるのかって言ったんですね。
 僕の考えは“ストローは使い捨て”。
 大反対ですね。
 売れるはずがないと。」
(関川常務)
「反対されたときはダメかなって思いましたけど。
 最近になって海洋プラスチックのニュースが多くなってきている。
 日本にもそういったニュースがどんどん入ってきて
 やっぱり ぎゃふんと言わせるくらい販売数を伸ばしてやろうという思いでした。」
飲食業界の環境への取り組みを後押しに
父親の反対を押し切った関川さん。
こだわったのはストローを口にしたときの感触である。
表面だけではなく内側までステンレス製の小さな球で1本ずつ磨き上げていく。
磨く前と磨いた後のストローでは
金属を切断したときにできる凹凸が消え
内側までなめらかに仕上がっている。
燕の金属加工技術を集めたアルミ製ストロー。
価格は1本700円と使い捨てストローよりも値は張るが
今では国内外から問い合わせが相次ぎ
去年の出荷本数は前の年に比べて1,4倍に増えた。
横浜市のカフェ。
去年8月から店内のプラスチック製ストローの提供をやめ
全て関川さんのアルミ製ストローに切り替えた。
アルミは熱が伝わりやすいため
冷たい飲み物は冷たいまま。
(来店客)
「飲み物が冷たく感じるからすごくいい。」
「口に入れた時にザラザラ感とかもないですし
 すごく違和感なく飲めます。」
さらに
「可愛い。
 夏っぽい。」
色が鮮やかでインスタ映えするとカメラに収めるお客さんも。
(カフェオーナー)
「評判はいいですね。
 アルミ製のストローにしたことによって洗う手間や衛生管理の難しさがあるけど
 繰り返し何度も使えることと
 無駄にごみを捨てなくて済むこと
 いいと感じましたね。」
そして今
関川さんは今後
身の回りのさまざまなプラスチック製品が別の素材に置き換わっていくと考えている。
いま開発しているのはアイスクリームやアイスケーキ用のスプーンである。
プラスチックごみを減らそうと進められる商品開発。
関川さんは
環境意識の高まりは燕の金属加工技術を生かすチャンスだと考えている。
(アイデア セキカワ 関川常務)
「人それぞれだと思うんですよね エコって。
 この技術を生かして
 ストローだけではなくもっと違うエコな製品を作っていきたいなと考えて
 アイデアのある製品を作っていきたい。」




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新潟県 休日も練習したい 意欲に応える公設クラブ

2019-08-06 07:00:00 | 報道/ニュース

7月12日 NHK「おはよう日本」


教員や生徒などの過度な負担をなくそうと
スポーツ庁は去年3月
中学校や高校の運動部の部活動について
週2日以上休養日を確保するなどとした運用指針をまとめた。
しかし生徒からは「もっと練習をしたい」という声も上がっていて
新潟県燕市では6月から
休日でも部活動の練習ができる新たな取り組みを始めた。

日曜日 燕市の体育館で中学生のバレーボールの練習が行われた。
一見 普通の部活動のように見えるが
練習しているのは市内の5つの中学校のバレーボール部員である。
指導するのは中学校の部活動顧問ではなく
市のスポーツ協会から派遣されたバレーボール専門の指導者である。
(指導者 堀さん)
「試合に出てかっこよく輝けるような選手を育てていきたい。」
この取り組みが生まれた背景にあるのが教員の長時間労働である。
燕市は教員らの負担を減らすためスポーツ庁が去年まとめた運用指針を受けて
4月から部活動の時間を減らした。
国の指針に沿って
部活動の1日の時間を平日は長くても2時間程度とし
週2日以上休養日を確保することを定めている。
顧問の教員からは
練習時間が減ったことで時間を有意義に使えるという声も上がっている。
(燕北中学校 顧問 教諭)
「ガイドラインができたおかげで
 自分の体もそうですけど
 リフレッシュする機会とか家族のために使える時間が増えた。」
一方で生徒からは部活動の時間が減ったことに戸惑う声も上がっている。
(燕北中学校 バレーボール部の生徒)
「めっちゃ悲しいです。
 バレーボールが大好きなのでもうちょっと練習したい感じ。」
「うまくなるためにはもっと練習しているチームもあると思うので
 まだ少ないと思う。」
燕市が市内の全ての中学校で行ったアンケート。
部活動に入った目的で
“うまくなりたい・記録を伸ばしたい”という回答が最も多く
部活動に意欲的な生徒が多いことが分かった。
そこで燕市が設置したのが部活動のない休日に開設する
つばくろいきいきスポーツクラブである。
たとえばバレーボールの場合
練習に参加したい生徒はアプリを通して教育委員会に出欠を連絡する。
教育委員会は参加人数に応じて
スポーツの指導者が登録されているスポーツサポーターバンクに指導者の派遣を依頼する。
生徒たちは1回500円を払って参加し
指導者は一定の謝礼を受け取って練習会場で指導にあたる。
第1回目の活動には22人の生徒が参加。
県内トップクラスの実業団の指導者ら6人が指導にあたった。
ふだん中学校の顧問から指導を受けている生徒にとって
レベルの高い指導を受けられる貴重な体験となった。
(スポーツクラブに参加した生徒)
「いつもは2年生とかから教えてもらっているけど
 改めて専門の先生に教えてもらえてすごくうれしい。」
「教えてくれるコーチが多いので細かいところまで見てもらえた。」
(指導者 加藤さん)
「本当にバレーボールをやりたい子どもはその時間が無くなるわけなので
 その補充という形でこういう場を設けるのは本当にいいことだと思う。」




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タジキスタン シルクロードの味 シャシリク

2019-08-05 07:07:45 | 報道/ニュース

7月11日 NHKBS1「国際報道2019」


国土の9割以上を山に覆われた旧ソビエトのタジキスタン。
人口は約930万人で
かつて遊牧民が多く暮らした伝統が今も引き継がれている。
首都ドゥシャンベは東西の文明をつないだシルクロードの交易でも栄えた都市である。
交易で行きかう人々がひと息ついた憩いの場所の名残りとして今も伝わるのがチャイハナ
家族や友人と訪れてゆったりとお茶を楽しめるカフェである。
食事もできることから時代を超えて市民に人気のスポットとなっている。
(常連客)
「この小さな個室がとてもいいんだ。
 古い様式が再現されていてね。」
店の奥から良いにおいが漂ってきた。
このチャイハナ1番のメニュー シャシリクである。
シャシリクは下味をつけた肉を金串に刺し炭火でじっくりを焼き上げた炙り肉のこと。
かつて遊牧民が羊の肉などを剣に刺し豪快に焼いて食べたとも言われる伝統の肉料理である。
さまざまな香辛料をふんだんに使うのがタジキスタン流。
さらに新鮮なレモンの果汁に肉を漬けて肉を柔らかくするのがおいしさの秘訣だという。
(料理人)
「塩 数種類のスパイス
 天然水とレモンで肉をマリネします。」
ジューシーでスパイシーな味わいは昔からお祝い事のごちそうとされてきた。
(店長)
「うちの肉は脂がのっていておいしいんです。
 肉を柔らかくする仕上げが重要です。」
東西の文明が交差するタジキスタンで
人々の空腹を満たしてきたシャシリク。
飾り気のない調理方法がシルクロードの味を今に伝えている。


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フランス アフリカの文化財 返還をめぐり議論高まる

2019-08-04 07:00:00 | 報道/ニュース

7月11日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


アフリカの文化財の多くはヨーロッパの美術館や博物館で展示されている。
しかし7月
古代エジプトの王ツタンカーメンの石像が
イギリスのオークションで6億円余で落札されたことにエジプト政府が強く反発するなど
保護の在り方が論議を呼んでいる。

かつてアフリカの国々を植民地としたフランス。
国内にはアフリカ地域の文化財が約9万点あるとされる。
フランス南西部ボルドーのアキテーヌ美術館の倉庫には
アフリカに起源をもつ文化財がずらりと保管されている。
この美術館では約2,500点が保管されているが
植民地時代に持ち出されたものや
どのような経緯でフランスに持ち込まれたのか
分かっていないものもある。
フランスでこうした文化財をめぐって議論が高まったきっかけが
去年11月マクロン大統領が
かつて植民地だったベナンの文化財26点を返還すると発表したことである。
19世紀後半
フランス軍が今のベナンと戦争中に王族から略奪した文化財が中心で
パリのケ・ブランリ美術館に保管されている。
しかし返還について訪れた人たちの意見は分かれている。
(賛成)
「変換することはいいこと。
 アフリカの文化遺産なのですから。」
(反対)
「作品の状態にもよるけど
 アフリカの管理体制が心配です。
 前例を作ると後が大変。」
美術史研究者 ベネディクト・サボワさんは
返還すべきだという政府への報告書をまとめた。
アフリカでは文化財を管理できないなどの強い批判も受けたが
それでも変換することがアフリカ諸国の人たちに必要だと考えている。
(美術史研究者 ベネディクト・サボワさん)
「アフリカの若者が先祖が築いた文化遺産と触れ合うことができないのは問題です。
 作品がアフリカに戻ることで
 さまざまな新しい交流が生まれてくるのです。」
6月アフリカの文化財の返還についてより身近に考えてもらおうと行われた演劇。
「きょうはみなさんと悲劇的な話を考えるために来ました。」
略奪された文化財がヨーロッパで競売にかけられてしまうという物語。
演じている多くはアフリカにルーツを持つフランスの若者たちである。
演劇の指導を行ったエマニュエル・カデさん。
異文化交流をテーマにしたNGOで活動するなか
なぜフランスにアフリカの文化財があるのかと
子どもたちが問いかけてきたことをきっかけにこの演劇を始めた。
(エマニュエル・カデさん)
「ヨーロッパの美術館では歴史を説明せずに文化財が展示されています。
 子どもたちは歴史の事実を知りたいと痛切に願っています。」
演劇では
略奪された文化財の扱いをめぐってアフリカの王妃とフランスの政治家が激しく対立する。
(王妃)
「この文化財はイギリス人が植民地から略奪したものなのよ。」
(政治家)
「違う。
 これは私たちのコレクションだ。
 渡すことはできない。」
演劇の最後は観客を巻き込んで議論に持ち込む。
Q.あなたの考えは?
(反対)
「フランスで保管するべきです。
 返還したらなくなってしまうかもしれません。」
(賛成)
「多くのアフリカの人がここに来ることができないんだ。
 “人類の文化財”の人類とは?
 世界中を旅行できる人だけが人類だとは言えません。」
(エマニュエル・カデさん)
「アフリカ文化財の返還に関して問題意識を持つことが必要です。
 旧植民地の人たちとの関係を変えていき
 皆で話し合うべきだと思います。」



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欧州の旅は鉄道で 広がる「飛び恥」運動

2019-08-03 07:00:00 | 報道/ニュース

7月10日 NHKBS1「国際報道2019」


これからバカンスの季節を迎えるヨーロッパでは
いま飛行機ではなく鉄道で旅行しようという動きが広がっている。
背景にあるのが
法律ばかりを重視して飛行機を使うのはやめようという
スウェーデン語で「flygskam=飛び恥」と呼ばれる運動の拡大である。
EUヨーロッパ連合の試算では
温室効果ガスの排出量が同じ条件の下では航空機の移動は鉄道に比べて20倍も多いとされている。
ヨーロッパでは
格安の運賃で近年航空路線を急速に拡大させたLCCが
環境に悪影響をもたらしているという指摘も出ていて
運動を活発化させているという。

「国内では飛行機には乗りません。
 この夏はそれでも行けるところにしたんです。」
「環境への影響を抑えることはとても大事なことだと思います。」
この「飛び恥」運動が盛んな国の1つがスウェーデンである。
都市環境プランナーのエルフォーシュさん。
5年前
“休暇には鉄道を使おう”と呼びかけるため
フェイスブックで情報交換のためのページを起ち上げた。
(鉄道旅行サイト運営 エルフォーシュさん)
「彼女は3~4週間の旅行にお金がどのくらいかかるのか知りたいみたいね。」
ヨーロッパでは国ごとに鉄道を運営する会社が違い
チケットの予約や購入の手続きが煩雑である。
サイトではそうした問題を解決するための具体的なノウハウが活発にやりとりされている。
「コペンハーゲンからプラハまで列車で行った人はいる?」
「ドイツ北部のキールから直通があります。」
「ありがとう。」
続々と投稿される旅行の体験もページの大きな魅力となっている。
「多くの人がベルニナ急行について書いているのを知っていますが
 先週 我々も行ったのでシェアしなければなりません。
 この夏旅行するみなさんはこちらをお勧めします!」
「夢のようね ワオ!」
鉄道の旅が一気に注目されるようになったのは
去年から1人の少女が行ってきたある戦いがきっかけだった。
グレタ・トゥーンベリさんは
去年の夏から毎週金曜に議会前で温暖化対策を訴え続けたところ
若者のあいだに活動が広がり
一躍世界に注目される存在になった。
さそのトゥーンベリさんのこだわりが
飛行機を使わないことだった。
その後 “鉄道を使おう”と呼びかけるフェイスブック上のメンバーは去年の3千人ほどから急増。
10万人に届く勢いである。
こうした動きに触発され
フランスでは
鉄道で2週間余かけて日本を目指そうという若者も出てきている。
(フランスの若者)
「飛行機では見られないものが見られるはずです。」
ヨーロッパ全土に広がる運動は鉄道会社にとって追い風となっている。
スウェーデン国鉄では今年初めの3か月間の利用者が
去年に比べて8%以上増えた。
航空機の国内線の利用者が5%減ったのとは対照的である。
(スウェーデン国鉄 広報部長)
「利用者が増えるのはありがたい。
 需要に応えるのは我々にとっても挑戦です。」
この運動は環境問題に積極的に取り組むスウェーデン政府も後押ししている。
鉄道による移動がより便利になるように
ヨーロッパ各国に働きかけていく考えである。
(スウェーデン イザベラ・ロビン環境相)
「国民が気候に配慮した生活を送りやすくすることが政府の優先事項です。
 例えば
 ストックホルムとベルリンやパリを結ぶ夜行列車の運行のその1つです。
 ほかのヨーロッパの国々との間で
 どう解決できるか模索しています。」




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