駅前の、タクシー会社の営業所。
入り口に小さいどんぶりが2つ並んでおいてある。
1つにはいつも水が入っていて、もう1つは大体空っぽ。
これは猫の食器なのだ。
タクシーの運転手さん皆さんで1匹の猫を飼っている。
黒トラでおなかが白い、きりりとした猫だ。
営業所の建物の横の狭い隙間にはダンボール製の猫の爪とぎまで置いてある。
いつも駅に行くときに、営業所の建物の中や廻りを必ずチェックする。
いたりいなかったり。
今日は駅からの帰り道、営業所の入り口に猫発見!
猫的正座で駅ロータリーを見つめていた。
その猫に話しかけるおじいさんひとり。
「あれまぁ、お留守番かい?」
当然猫は無視。
でも、私はそんなおじいさんを無視できなかった。
見ず知らずのおじいさんに話しかけてしまった。
「かわいいですね。この子、ここでゴハンもらってるんですよね」
するとおじいさんいわく
「ここで飼われてるんだよ。」
他のことなら絶対に見ず知らずの人にこんな風に話しかけたりしないけど、猫のことになると、なぜか心が開いてしまう。
街中で、猫モチーフの傘をさしている人。
猫のプリントのTシャツを着ている人。
カフェの隣のテーブルの女性のめがねケースが猫の形だったり
読んでいる本のしおりが猫の形をしていたり
そんな人々に
「猫、お好きなんですね」と声をかけたくなるのをグッとこらえる自分がいる。
でも地元だと、心が緩んで声をかけてしまうのだ。