今日の講座で印象に残ったいくつか。
①5月の歌は「かきつはた」
現在は[かきつばた]と濁るが、万葉集では「かきつはた」と濁らないのだそう。
「かきつはた 衣に摺り付け ますらをの 着襲(きそ)ひ狩する 月は来にけり」
内舎人だった大伴家持が、聖武天皇が紫香楽宮に行幸中で、奈良の家にいて作った6首の歌の内の1首。
(かきつばたで摺り染めにした衣を来た朝廷に仕える立派な男たちが、着飾って狩りをする。そんな時期になった)というような意味。
狩りとは薬狩りのことで、旧暦5月5日は立夏で、薬狩りの日だったそうだ。
気になる「摺り染め」
花や草を直接布に摺り付けて色を擦り込むという。
以前の講座でも「月草(つきくさ)」=ツユクサ や、「韓藍(からあゐ)」=ケイトウ の「摺り染め」の歌の話を聞いた。
ツユクサは花弁をさわると指が青い色に染まるのでわかる。
ケイトウで色がつくのかと思って試してみたら、確かに赤い色がついて納得した。
2020年9月24日のブログ参照 ここ
今回は「かきつばた」近くにないが、色が付くのか機会があれば試してみたい。
それならアヤメや、他の色の付いた花弁の花どれでもできそうだけど・・
疑問は、摺り染めの衣。
1枚の着物を摺り染めにするのに、どれだけの花がいるのだろう?
色がついただけでいつまで色が残るの?
手間の割には色持ちしないはず。
万葉人は、はかない色、移ろいやすい色に情感を重ねたのだろうな。
ネットで調べると、摺り染めには、他にも、ニワウメ(薄赤 はねず色)・コナギ(深緑)・メハジキ(緑)・ヤマアイ(青)などを染料としてつかったらしい。
おしゃれにかける情熱がすごい。
堅牢な染色技術がある現在、摺り染めを試してみる人はないかなあ。
②霍公鳥(ほととぎす)は夏を告げる鳥。
先の大伴家持の6首の内4首に歌われる。
高橋虫麻呂の歌の霍公鳥。(長歌1首と反歌1首)
ホトトギスはカッコウの巣に托卵することで有名。
長歌(ウグイスの卵の中にひとり生まれたホトトギス。育て親カッコウの父に似た声で鳴かず、母に似た声でも鳴かず、卯の花の咲いた野辺から飛び立って、鳴きながら飛び、橘の花を散らし一日中鳴いている。よいものだなあ。贈り物をするから霍公鳥よ、遠くへ行かないで、うちの家のタチバナにずっと留まっておくれ)
反歌(雨の降る夜、ホトトギスは鳴きながら飛んでいくよ。切ない鳥よ)
私は今年はまだホトトギスの声を聞いていない。
卵を他の鳥の巣に産み付けて、自分で子育てせず、他人に任せて・・
しかもホトトギスの雛は自分より小さいウグイスの雛を巣から落としてしまうこともあるという。
なんてちゃっかりした鳥だ。と思っていたが、虫麻呂さんの歌を読むと、ホトトギスが哀れに思われてきた。
住吉(すみのえ)の浅沢小野の名残か?浅沢神社にはカキツバタが植えられている。(1度行ったことがある)
万葉集の中で、鳥の歌の中、霍公鳥を詠んだ歌は153首と一番多いそうだ。(ネット)
万葉人には夏になったことを感じる、なじみのある鳥だったようだ。
ホトトギスの声を聞きたくなってきた。
日本書記の乙巳の変のお話もあった。
それらに関して、政治上の風刺や社会的事件を民衆が謡う作者不明の歌謡「謡歌(わざうた)」というものがあるのを知った。