みどりの野原

野原の便り

5月29日 万葉植物野外講座 石舞台~威徳院(尾曽)ホトトギスやウグイスの声といっしょに。

2022年05月29日 | Weblog

万葉集に詠まれた植物を見ながら石舞台から尾曽の威徳院へ。


石垣いっぱいにテイカカズラが咲いている。
テイカカズラ(古名は「つの」) 古名はあまりなじみがない。
「つのさはふ 石見の海の・・」
「つのさはふ 磐余も過ぎず・・」
「つのさはふ」がよくわからないが、後の石見の「いは」や磐余の「いは」を導く枕詞になっているという。


ウツギ(古名うのはな)も見ごろだった。
「卯の花もいまだ咲かねば ほととぎす・・・」大伴家持
卯の花とホトトギスの組み合わせ。

道中、ホトトギスの声、ウグイスの声が私たちに付いてきた。


クリ(古名はクリ)
「瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして偲ばゆ ・・」 
反歌「銀も金も玉もなにせむに・・」と共に山上憶良の歌。


センダン(古名あふち) 花
「妹が見し あふちの花は散りぬべし 我が泣く涙いまだ干なくに」
太宰府で奥さんを亡くした大伴旅人に、その気持ちに寄り添って山上憶良が詠んだ歌。わがことのように詠んだ歌。 

上の子供の歌もこの歌も、好きな歌だ。

講師の先生が「夏が来ぬ」の歌の4番に「あふち」が出てくると歌ってくださった。1番の「卯の花の匂う垣根に・・」はよく知っているが、4番は知らなかった。「楝(おうち)散る川辺の宿の 門(かど)遠く水鶏(くいな)声して 夕月すすずしき夏は来ぬ」初めて聞いた。
夏の風物詩がたくさん歌詞に取り込まれている。


マタタビ 葉が白くなった葉が目立つ。つぼみもある。


シュロの葉に シュレーゲルアオガエル


気都和既神(説明板には読み方は「きつわきじんじゃ」のローマ字があった。わたしは「けつわき・・」と言っていたが)
境内は、藤原鎌足が、飛鳥板葺きの宮で暗殺した蘇我入鹿の首に追われてここまで逃げきて「もうここまでは来ぬだろう」と言ったとかで、「もうこの森」と言われる。


フジ(古名ふじ)樹齢? 恐ろしいほどの高齢に見える。

ここから尾曽威徳院への登りの道
車も出してくださったが、もう少しもう少しと頑張る。


威徳院(明日香村尾曽)久しぶりで来た。


本尊は毘沙門天(秘仏らしい)
ここでお昼を食べて、下る。

クヌギ(古名つるばみ)が詠まれた歌
「紅はうつろふものそ 橡(つるばみ)の なれにし衣になほしかめやも」
奥さんがありつつ、うかれ女に夢中になっている部下に大伴家持が諭す歌。
共感。

チガヤ(つばな)・ノビル(ひる)・シキミ(しきみ)ガクアジサイ(あじさゐ)・ノキシノブ(しだくさ)・アカメガシワ(ひさぎ)・エゴノキ(ちさ)・イヌビワ(ちち)・ケヤキ(つき)・・・
あたりにある植物はたいてい万葉歌に詠われている。
今よりもっと自然が身近にあり、自然と共に生活していた時代。

鳥の声・水の音・・なつかしい風景・・暑くてちょっとくたびれたけど、やっぱり明日香の景色はいい。

コメント
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