INAXライブミュージアムに着いたのは午後3時。
よく知らずに来たのだが、INAXライブミュージアムというのは
『「世界のタイル博物館」「窯のある広場・資料館」「土・どろんこ館」「陶楽工房」「ものづくり工房」「建築陶器のはじまり館」の6つの館からなり、ものづくりを見て、学んで、体験できる参加型の施設』だという。
広い敷地に建物がたくさんあり、窯業の煙突も見えた。
「世界のタイル博物館」へ。
「世界のタイル博物館」
『山本コレクションとINAX独自の資料による装飾タイルを展示公開し、来館者が「観て、学んで、発見」する、日本で唯一の研究博物館』
クリスマスツリー 青いタイルに縁取りされた常設展展示室に入る。
入口から1歩入った所 細かい丸いタイルが天井までびっしりと貼り詰められている。すごい!! 圧倒!!
右)これはグレイペグという円錐形のやきものを土壁にモザイク模様に並べたもので5500年前のウルク人の装飾壁の再現との説明書き。
円筒を輪切りにしたものを並べて貼り付けたと思っていたが、違った。
ウルク人はすべて手作りしていたというので、なおびっくり。
タイルの歴史がわかる。
神と信仰のため、不変で永遠の美を求めてタイルが生み出され、壮大な装飾が作られたのがタイルのはじまり。
BC2650年頃の最古のタイル
エジプトの世界最古のピラミッド「ジュセル王の階段ピラミッド」の地下空間に今も残っているという「魂のための扉」を再現 深い青のタイルが神秘的。
19Cのイスラームタイル貼りのドーム式天井(再現) きれい!
タイルは壁や暖炉やトイレなど使用が広がり、ヴィクトリアンタイルは広く一般に使われるようになり、日本も近代化の中でイギリスタイルを学び発展させていく。
二階へ。
階段の蹴込み部もタイル。
2階 山本コレクションなど世界のタイルを展示
山本氏はタイルに魅せられ「タイルのルーツを探る」ことをライフワークに世界各国を訪れて現地でタイルを蒐集。集められたタイル6000点を常滑市に寄贈されたのが、この博物館ができたきっかけとか。
メソポタミアで日干し煉瓦の装飾としてグレイペグが使われた。
日干し煉瓦から焼成煉瓦へ。そして施釉タイルへとたくさんの展示品
18~19Cのイランの多彩物語図組み絵タイル
モロッコのカットワークモザイク モザイク部分
左の四角い1枚は、厚めの色釉タイルを粗く割って、ハンマーで縁を打ち欠き右のようないろんな形のモザイクを作り、それを組合せてある。全部手仕事との。ヒェ~! 気が遠くなる作業を思う。
パキスタン・シリアスペイン・・
金属光沢をもつものが出来たり、型押しでモザイク製法を簡便化したり、白地に多彩や藍彩やマンガン彩など・・
白地藍彩タイル 白地マンガン彩タイル 紫色
多彩レリーフタイル イギリスのタイルメーカーのタイルの裏側を見せた展示も面白い。
イギリスのタイルメーカーといっても、ウエッジウッドしか知らなかった。
チューブライニングタイル 単色レリーフタイル
イギリスでも産業革命以後需要が高まり、多様な様式のタイルが造られるようになる。
象嵌タイル・銅版転写タイル・チューブライニングタイル・単色レリーフタイル・多彩レリーフタイル・単色レリーフタイル・・たくさんの展示を見ていくうちに、「これは単色レリーフやね。これはチューブライニングや。これは組み合わさってるね・・」下の娘との会話。ちょっとわかってきた?気がしてきた??
技術が向上して大量生産ができるようになるが、手仕事が見直されるようにもなる。
日本でもイギリス・ヴィクトリアンタイルを模倣してタイルが作られるようになり、やがて、日本独自の発展をしていく。
瀬戸染付本業敷瓦 敷瓦とは『床や地面に敷く陶板のことで、タイルという言葉を正式に取り入れる大正11年頃までタイルに相当する呼び名の1つとして使われた』本業タイルは磁器と区別して陶器質の焼き物をいうそうだ。
右)和製マジョリカタイル 多彩な色を用いて凸凹のレリーフを施した装飾タイル。
古代の敷瓦 仏教と共に伝来し、寺院の基壇や床に敷かれた。
右)大正から昭和中頃まで、銭湯の浴室の壁を飾ったタイル絵。
オランダタイルの製造工程などの展示もあった。
16:10 だいぶ時間が遅くなった。
企画展「和製マジョリカタイルー憧れの連鎖ー」を見に行こう。
敷地内にある「土・どろんこ館」へ。
入ったところでは親子が、光る泥団子づくりをしていた。おもしろそう。
さて、企画展示の協力者への謝辞のパネルに上の娘の名が出ている。
タイル好きであちこちタイル探訪に出かけているが、海外へも何度も行っていて、今回、台湾でお知り合いになっていた台湾花磚博物館 館長 徐嘉彬氏を紹介し、台湾花磚博物館や台湾のタイルのすばらしさを紹介した。
台湾花磚博物館 館長徐嘉彬氏を紹介したパネル。オープニングイベントで来日し講演された。
右)娘が台湾のタイルを紹介したパネル。台湾で撮った写真も。下には友人の文。
台湾花磚博物館はタイルのコレクション約5000点を有し、1500点を超える和製マジョリカタイルが展示されている。
徐氏は学生時代から、再開発が進んで美しいタイルが使われた建物が壊される前に、オーナーに交渉してクレーンでタイルを救出し、タイルに付いたモルタルなどの除去も独自研究をされた方法で美しく甦らせておられる。
約20年にわたり蒐集されたタイルはほとんどが20世紀初頭に作られたものだという。
日本のマジョリカタイル
日本で発展をしていった和製マジョリカタイル。
温泉や銭湯・遊郭を美しく彩ったタイル
右)マジョリカタイルが描かれたタイルパネル(タイルの中にタイル)
レリーフタイル・チューブライニングタイル 右)和製マジョリカタイル
佐治タイルの販売網
これを見ると、世界の隅々まで日本のタイルが運ばれていることがわかる。
近代化の流れの中で、イギリスタイルの模倣から始まり、日本独自に発達したタイルは世界各国へ輸出されるようになる。その背景には洋風建築が盛んになり、需要が増えたことと、技術の確率で高品質の国産タイルができるようになったことがあるらしい。
マジョリカタイルの回廊があった。 きれいだがプリントしたものだ。
でも、この中に「本物」が混じっていて、それを来館者に探してもらおうというなかなか楽しい企画だ。
残念ながら時間が少なくゆっくり探せなかった。
ミュージアムショップに立ち寄っていたらもう17時。駅へと急いだ。
娘との旅ではマラッカでも台湾でも街中のタイルを見る。
今回はタイルの歴史や技術も少しはわかって?、次に行くときには(誘ってくれるかな?)今までより少しは見方がわかるかな?
娘はこの連休も「台湾に行って徐さんにもあってくるよー」と旅立った。
時間があれば、もっともっと見たいところもあったINAXライブミュージアム・常滑の町だった。
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