(続き)
豪州も同じころ先住民淘汰のピークを迎え、そのころの呼び名「スカル・クリーク」(死体処分場)が今、地名として残っている。
ここでの先住民殺しは20世紀も続けられ、シドニーの州立図書館所蔵の1928年の日記に「今日の収穫アボリジニ17匹」(降旗学『残酷な楽園』)とある。
旧約聖書では約束の地カナンに入ったユダヤびとは神の命で先住の民を殺しまくった。男は1歳の子供まで皆殺しにされ、妊娠した女は腹を裂かれて胎児も殺された。処女は神からの贈り物、みんなで弄ぶがよいともある。
豪州の元首相ジョン・ハワードはアボリジニ殺しについて「私たちの倫理観はユダヤ教、キリスト教から来ている」(朝日新聞2月18日)と語る。
白人が有色人種を殺すのはキリスト教的倫理観に適(かな)い、むしろ神が望まれているのだと言っている。
同じ19世紀末、来日したラドヤード・キプリングは「日本はいずれ米国の植民地にされ、ボタンを作る工場にされる」と予言した。
実際、その翌年には米国がハワイ王国を潰し、英国はビルマ王国を植民地にした。ビルマ国王ティポーはインドに流され、王女はインド兵に下げ渡された。次はキプリングが言うように日本の番だった。
安倍談話の冒頭の「百年以上前の世界」とはこんな状況だった。有色人種は国家主権どころか生きる権利すら持てない時代だった。
そんな時に日本が立ってロシアを倒した。白人は神ではなく、ただの残忍な文化の破壊者だったことを日本人が世界に教えた。
イスラムの国々は狂喜し、ネルーはドーバー海峡の船の上で飛び跳ねた。
孫文も「日本人にできるなら支那人にもできる」と言った。他の国はともかく、お前たちには無理だ。
日露戦争はそれほどの重みと意味があった。
朝日新聞は日露戦争百周年の折「ロシアは極東進出の意図はなかった」「日本の侵略戦争だった」と社説に書いた。たまには歴史を直視して記事を書け。
(2015年9月3日号)
高山正之著
変見自在
「朝日は今日も腹黒い」より
新潮文庫
変見自在
「朝日は今日も腹黒い」より
新潮文庫
註 70年談話:安倍晋三首相談話
終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代 を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなけれ ばならないと考えます。
百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていまし た。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せまし た。
その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。
アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。
日露戦争は、植民地支配の もとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。
世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地 化にブレーキがかかりました。
(以下略)
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「見方」なのか「味方」なのか、ということで、「ミカタ」にしてみました。
「日露戦争」を通しての世界の「見方」か。
「日露戦争」を誰の「味方」として捉えるか。
>「ロシアは極東進出の意図はなかった」「日本の侵略戦争だった」
って・・・。
ロシア語で「ウラジオストク(東方を制圧せよ)」なんて名付けた地に軍港を置く国に「進出の意図はなかった」?
この戦争で日本はどこを侵略した?