書き忘れていた。
コーティングを頼んだ車を受け取る前に、書店の下にあるスーパーマーケットで買い物をした。
昨日手に入った生協の新しいカードを出してレジ打ちの人に渡す。
レジの人は一瞬、受け取るのをためらうような素振りを見せる。
ん?どうした?とカードを提示したままでいたら、やっと受け取り、言う。
「これ・・・、コープさんのカードですけど」。
そうだ。ここは神戸電鉄のスーパーマーケットだった。
知らなかったけど神戸の人はコープと言わず、わざわざ「さん」を付ける。
生まれも育ちも神戸の人はそれが当たり前なんだそうで、就職で神戸に来た人間としては、
「『生活協同組合』なんだから組合員がさん付けなんて会社員が自社名を言うとき『~さん』ってつけるようなもんじゃないか」
と思う。
実際今のコープ神戸の前身は播磨生協と灘神戸生協で「コープ」という名称は比較的新しい。「昔からコープさん」はないだろう。それとも「さん」だけが伝統で、それまでは「生協さん」って言ってたのか?
・・・ん?あれ?「生協さん」って聞いたことがあるような気もする・・・。
中高生の頃住んでいた西播では播磨造船所の社員のために作られた共同購入部の施設が、社員外でも利用できるようにと播磨生協になったということだから、感謝の意味を込めて「さん」付けをするのはおかしくはないけど・・・。
あ、そんなことはどうでもいい。問題は、生協じゃないのに新しいカードになったんだからそれを出さなきゃ、としか考えていなかったこと。
思考の視野狭窄。さすが老人。思考も視野狭窄になるのか。
しかしこれ、自慢じゃないが何度もやっている。この二つのスーパーマーケット間で。
衝撃を受けたのは、ここではない。これ自体は「つい、何も考えずに」というやつだから、そそっかしいとか慌て者とかで片付けることができる。
けど、これまでなら恥ずかしくて真っ赤になりながら言い訳をしていただろうし、自身は見えなくても真っ赤になっているだろうことは分かっていた。
それがこの時は
「あ、ほんとだ。ちょっと待って下さいね」
といいながら、別に急ぐこともなくショルダーバックから十数枚のカードを引っ張り出して、一枚ずつ確かめる間、恥ずかしいとも何とも思っていない。
ただ、呆れながらカードを繰っている。
老人力、意外と良いかも。