武力を振るうロシア・中国の現実に適応せよ
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加瀬英明
ウクライナのプチン戦争が始まってから、3ヶ月目に入ったが、高齢 者、女性、児童の虐殺が続いている。
私は全世界が21世紀にあると思うと、誤っていると説いてきた。2022年 の常識は通用しない。
ロシアは15世紀にイワン3世(在位1440〜1505年)が周辺を 蚕食(さん しょく)して、ツァーリ(皇帝)、全ロシアの君主であるゴスダリを名 乗ってから変わっていない。イワン3世は、「イワン大帝」と呼ばれる。
中国も体質が秦の始皇帝が紀元前221年に、はじめて武力によって中 国全土を統一して中華帝国が生まれてから、まったく変わっていない。
プチン大統領はかつてのロシア帝国の再興をはかっており、習近平主席 もことあるごとに国家目標として「5000年の偉大な中華文明の復興」を呼 号している。
プチン大統領も、習近平主席も、平和を唱えるものの、「ロシアの平 和」「中国の平和」であって、武力しか理解できない。
プチン大統領は2008年に隣国で、関取栃ノ心の母国であるジョージ ア に侵攻して5日間で奪うことに成功し、2014年に4日間でウクライナからク リミ ア半島を?(も)ぎ取ることができたために、今回も電撃戦によって ウクライナの首都 キーウを数日で占領して、傀儡政権を樹立することが できると誤算した。そのために、 ウクライナ東部と南部を削り取ること を目標としている。
プチン大統領のウクライナ戦争は、日本の憲法改正の動きにとって強い 追い風となった。それでも護憲派の人々は、なぜか、目を覚まさない。
『月刊日本』という勝(すぐ)れ者(もの)の雑誌がある。右から左までの 論客が登場するので、よい勉強となる。発行人は南丘喜八郎主幹で好漢 だ。私が30代 でラジオ日本のトーク番組を持っていた時の担当者だった。
同誌の5月号に、神戸女学院大学名誉教授のU氏が寄稿している。
「憲法の理想にあわせて現実を作り変えよ」という見出しがあって、ロ シアが「力は正義だ」と振舞っているのに対して、「自民党周辺で憲法改 正や核共有の 議論が勢いづいています。(中略)ウクライナが激しく抵 抗すると、(注・自民党周辺 が)『武力より愛国心が大切だ』と言い立 てた。現実が変わるごとにころころと態度を 変える。(中略)」
「しかし、真のリアリストは現実に適応することよりも、現実を作り変 えることを重んじる人です。(中略)その理想はすでに日本国憲法に書か れていると思 います(後略)」
きっとU氏はプチン大統領や、習主席を説得して、日本国憲法の信者に 改宗させることができると信じておられるのだろう。
しかし羆(ひぐま)が町に現われた時に、日本国憲法を護符のように翳 (かざ)してみても、羆には文字が読めまい
昭和天皇は占領下で何回もアメリカ大使館に行幸されて、マッカーサー 元帥と会談されておられる。
新憲法が公布された後に、天皇は憲法が日本に軍を保有することを禁じ ているのについて、「アメリカはずっと日本を守ってくれるか」と御下問 になられた。 マッカーサー元帥は「そうさせていただきます」と奉答した。
アメリカは日本に防衛力を強めることを求めている。現実に適応すべき ではないのか。
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
頂門の一針 6165号
2022(令和4年)年 6月11日(土)より
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《全世界が21世紀にあると思うと、誤っていると説いてきた。2022年 の常識は通用しない。》
時は平等に流れるけれど、楽しい時は流れるのが早く、苦しい時は止まっているかのごとくに感じる。時の流れでさえ、飽く迄も主観でしか把握することは出来ない。
そしてその主観は、個々人は言うまでもなく個々人の思念を基に形成される社会だって同じだ。
だから「21世紀とは」という思いもまた、共通理解なんかできるわけがない。
そして、「できるわけがない」、と「覚悟」して、それでも話をしようとするのが「仁」なのかもしれない。
結果「アーニャを知れば世界が平和に!」・・・ならない。焦点がずれている。
「人は己の理解能力の範囲内でしか物事を理解できない」のだから、或る意味、シナもロシアも九条教信者も同じ・・・かも。