MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

なんでもありの女神様! 『シュメル神話の世界』

2009年05月09日 | BOOKS
『シュメル神話の世界』 岡田明子・小林登志子 著(中公新書)

 学生の頃、世界の神話に興味がありました。
 日本にも世界にも、いろいろな神がいて、いろいろな遺跡があって……。
 ギリシャ・ローマのような美しい物語に語られる神々だけでなく、エジプトやインド・中南米などの不思議な神々と、その神々を信じていた時代の解明されていない謎が面白くて……。図書館で「世界の古代文明」などの写真図鑑を見るのが大好きでした。

 この本は新聞の書評のコーナーで紹介されていたもので、題名だけでワクワクして他館から取り寄せて借りてきました。(ありがたいことに、市内の図書館にあったのです!)

 読みやすい本ではありません。
ちょっと複雑で、時間があればメモを取りながら読みたいぐらい。
(同じ神様の別名が多いのも、ややこしいのです)
でも、歴史背景や説明などの難しいところは後から読むことにして、まず神話の部分だけを楽しむという読み方もいいと思います。


 今から5000年も前。
 チグリス・ユーフラテスの河畔。今のペルシャ湾あたりにあった都市文明シュメル。粘土に刻まれた文書は残っているのですが、その民族も言葉も歴史の中に消えていってしまった文明です。
 それなのに、この現代の私たちが彼らの神話を読むことのできる、この不思議!!


 神話には、「ノアの箱船」にそっくりな『大洪水伝説』をはじめ、ローマ神話・ギリシャ神話などとの繋がりを感じさせるストーリーがいくつもあります。中には日本の神話と似ているものも。人間の本質的なものから発生する類似なのでしょうね。

 とくに個性が強いのは「イナンナ女神」。
 ほかの神様も英雄も彼女のハチャメチャぶりには、かないません。
 明星を司り、アッカドでは「イシュタル」、ローマでは「ウェヌス(ビーナス)」にあたる愛と美の女神ですが、シュメルでは戦いと勝利の神・破壊神でもある、なんでもありの女神様。
 とにかく強く美しく、押しが強くて、優しくて意地悪で可愛い。好奇心たっぷりでおねだり上手。清らかな乙女で娼婦で、母で娘。女性の2面性を、思いっきり描いたような女神様なのです。
 自分が冥界から帰るために旦那様を代わりに差し出しちゃうあたりなんて、ほかの神話では見られないのでは。

 こんなパワフルな女神様を信じていたシュメル人の女性って、どんなだったんでしょうね?
 「かかあ天下」だったのかしら!
 
コメント
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