『かたづの!』
著者:中島 京子
集英社
『かたづの!』特集ページ - 集英社WEB文芸 RENZABURO
中島京子さんインタビュー - BOOK SHORTS
女領主と聞いて、『剣と紅』を思い出したのですが、あちらは戦国時代。こちらは江戸時代で、東北を舞台にした物語です。
歴史小説なのに、伝説を盛り込んだファンタジーでもあります。
遠野の伝説「片角様のお叱り」と「河童八戸起源説」が、ドロドロと暗く陰鬱になりそうな史実を、ふんわりと持ち上げて支えています。
武力ではなくて知恵、そして「人」こそが国を支える大切な宝であること。
恨んだり泣いたりするだけではない、前向きに「考える」生き方は、現在の不安定な世の中を乗り切る私たちにも勉強になります。
そして、どんなに強く賢い人でもやっぱり支えがいるということも、忘れてはいけない気がします。
なんと、フランスの有名なユニコーンのタピスリー(タペストリー)「貴婦人と一角獣(La Dame á la licorne)」まで登場します。物語の流れにはあまり関係ないですが、この本を読んだらきっと「貴婦人と一角獣」を見たくなると思いますので、見ることができるサイトを下記に紹介しておきますね。
タピスリーを見た後に『かたづの!』の表紙を見ると、また違った印象になるかもしれません。
<関連サイト>
・Tenture de la Dame á la licorne - Musée de Cluny(クリュニー中世美術館)
画像をクリックすると、ほかの連作タピスリーも、拡大された画像・動画も見ることができます。
・MMM - クリュニー中世美術館
・《貴婦人と一角獣》展 - NMAO : 国立国際美術館 過去の展覧会
・貴婦人と一角獣 - Wikipedia
<追記>
『かたづの!』は、第3回河合隼雄物語賞を受賞したそうです。
選考委員がまた素敵。「上橋菜穂子 小川洋子 宮部みゆき」……すごいですねぇ。