拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林でも紹介のカタクリで有名な髻山(もとどりやま)へ、セリバオウレン(芹葉黄連)の群生地を探しに行きました。信濃毎日新聞の記事でも紹介された平出の車道沿いの杉林の群生地ではなく、明るい広葉樹林にある群生地を捜すのが目的です。実は1週間前にも行ったのですが、発見できませんでした。今回は長男を伴なって探索。その結果、前回は群生地まで20mの所まで行きながら発見できなかったことが判明しました。今回は二カ所の群生地を発見しました。道もない藪山の中なので自分がどこにいるかが確実に分かっていないと遭難します。
足の踏み場もないほどの群生地。凄すぎて言葉もありません。しかし、ここに至る道はありません。イノシシの獣道があり、掘り返した跡やヌタ場があります。地元の人ももう知らないでしょう。この群生地を知っている人はほとんどいないと思われます。すごく分かりにくい所ですから。さらに50mほど離れた場所に、もうひとつの群生地があります。まだ他にもあるかもしれません。昔、薬草としていい値で売れたのでしょう。
セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白ですね。中央の赤紫のものは、退化した雌しべ。
朝早く行ったので瑞々しく可憐です。花の直径は1センチ程度と、かなり小さいものです。しかし、群生すると華やかです。薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。
小さいけれど、見飽きないほど可憐な花です。ここも昔は薬草畑だったのでしょうか。しかし、登山道からもすごく離れているし、ここを発見するのは非常に困難です。貴重な群生地なので場所の公表は控えます。また、里山というのは、景色が茫洋としていて目印になるものが少なく非常に迷いやすいのです。セリバオウレンは純白の花なので、背景に暗いバックを選ぶといいのですが、これがなかなか困難でした。
雄花のアップ。透明感のある萼や花弁が魅力的。内側の淡い黄色の花弁が分かると思います。芹葉黄連という名前の由来は、古代には、カクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、カクマグサ、ヤマクサと同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記しています。
両性花。内側に順に雄しべ,雌しべ。両性花は雄花に比べて黄色っぽいことが多く、そういう個体も散見されました。
これは日当たりのいいところの両性花。アントシアニンが少なく、緑がかっています。
セイヨウミツバチが吸蜜にたくさん訪れていました。静かな雑木林にぶ〜んという羽音が響きます。ニホンミツバチが見られないのが残念です。
コナラの根元に咲く雄花。ここのものは生育がいいのか、草高が20センチぐらいのものまであります。
雄花の方がたくさん見られます。周りではダンコウバイも咲いていました。アブラチャンももうじき咲くでしょう。山蕗をたくさん見つけたので採取。今回は、アンチョビーと我々がしている原木栽培の椎茸とでパスタにしてみましたが、見栄えはともかく味は絶品でした。次はイカ墨スパゲッティに加えてみようと思います。
(左)髻山山頂。貴重な天測点もあります。低山ですが眺めは抜群です。髻山という奇妙な山名については、拙書でその説を記しています。もちろん上杉謙信とも深い関係があります。(中)アズマイチゲ。日当たりのいいところで数輪が咲いていました。カタクリの葉も散見されました。満開になると、登山道にも咲き乱れます。(右)ウバユリの実。種はほとんど飛んでいました。これから出る若葉は山菜です。
帰りに妻女山奥の陣馬平へ貝母の生育状況を見に行きました。成長が早いです。2016年と似ています。この状況だと4月15日頃には満開になるかも知れません。見頃は月末まで。森の杏の開花も早そうです。情報は千曲市観光局のサイトで確認を。信州の春は短く、梅、杏、桜、林檎と続けて咲き乱れ、あっという間に初夏になってしまいます。
髻山のセリバオウレン群生地 その1 YouTubeではハイビジョンで大きなサイズでご覧いただけます。
花言葉は、「揺れる心 」。春のまだ冷たい風に細かく揺れていました。セイヨウミツバチがたくさん吸蜜に来ていました。
髻山のセリバオウレン群生地 その2
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
足の踏み場もないほどの群生地。凄すぎて言葉もありません。しかし、ここに至る道はありません。イノシシの獣道があり、掘り返した跡やヌタ場があります。地元の人ももう知らないでしょう。この群生地を知っている人はほとんどいないと思われます。すごく分かりにくい所ですから。さらに50mほど離れた場所に、もうひとつの群生地があります。まだ他にもあるかもしれません。昔、薬草としていい値で売れたのでしょう。
セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白ですね。中央の赤紫のものは、退化した雌しべ。
朝早く行ったので瑞々しく可憐です。花の直径は1センチ程度と、かなり小さいものです。しかし、群生すると華やかです。薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。
小さいけれど、見飽きないほど可憐な花です。ここも昔は薬草畑だったのでしょうか。しかし、登山道からもすごく離れているし、ここを発見するのは非常に困難です。貴重な群生地なので場所の公表は控えます。また、里山というのは、景色が茫洋としていて目印になるものが少なく非常に迷いやすいのです。セリバオウレンは純白の花なので、背景に暗いバックを選ぶといいのですが、これがなかなか困難でした。
雄花のアップ。透明感のある萼や花弁が魅力的。内側の淡い黄色の花弁が分かると思います。芹葉黄連という名前の由来は、古代には、カクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、カクマグサ、ヤマクサと同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記しています。
両性花。内側に順に雄しべ,雌しべ。両性花は雄花に比べて黄色っぽいことが多く、そういう個体も散見されました。
これは日当たりのいいところの両性花。アントシアニンが少なく、緑がかっています。
セイヨウミツバチが吸蜜にたくさん訪れていました。静かな雑木林にぶ〜んという羽音が響きます。ニホンミツバチが見られないのが残念です。
コナラの根元に咲く雄花。ここのものは生育がいいのか、草高が20センチぐらいのものまであります。
雄花の方がたくさん見られます。周りではダンコウバイも咲いていました。アブラチャンももうじき咲くでしょう。山蕗をたくさん見つけたので採取。今回は、アンチョビーと我々がしている原木栽培の椎茸とでパスタにしてみましたが、見栄えはともかく味は絶品でした。次はイカ墨スパゲッティに加えてみようと思います。
(左)髻山山頂。貴重な天測点もあります。低山ですが眺めは抜群です。髻山という奇妙な山名については、拙書でその説を記しています。もちろん上杉謙信とも深い関係があります。(中)アズマイチゲ。日当たりのいいところで数輪が咲いていました。カタクリの葉も散見されました。満開になると、登山道にも咲き乱れます。(右)ウバユリの実。種はほとんど飛んでいました。これから出る若葉は山菜です。
帰りに妻女山奥の陣馬平へ貝母の生育状況を見に行きました。成長が早いです。2016年と似ています。この状況だと4月15日頃には満開になるかも知れません。見頃は月末まで。森の杏の開花も早そうです。情報は千曲市観光局のサイトで確認を。信州の春は短く、梅、杏、桜、林檎と続けて咲き乱れ、あっという間に初夏になってしまいます。
髻山のセリバオウレン群生地 その1 YouTubeではハイビジョンで大きなサイズでご覧いただけます。
花言葉は、「揺れる心 」。春のまだ冷たい風に細かく揺れていました。セイヨウミツバチがたくさん吸蜜に来ていました。
髻山のセリバオウレン群生地 その2
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。