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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山陣場平の貝母は週末まで。カタクリ、キブシも残花。クサボケやヤマツツジが開花。信州の春は超特急で過ぎて行く(妻女山里山通信)

2022-04-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 陣場平の貝母(編笠百合)は、全て満開になりました。今週末まではなんとか見頃が続くと思います。厳冬の春は、急激に暖かくなり超特急で過ぎ去るのが常ですが、それにしても今春は速い。体がついて行けません。来週は菜種梅雨になりそうです。朧月夜が見られるでしょうか。貝母の開花期はできるだけ現場で作業をしながら案内をしたいと思っています。だいたい10時から12時ぐらいまでです。見かけたら声をかけてください。

 天城山林道のカタクリが気になっていました。保全作業がけっこう大変で先送りしていたのですが、咲き終わってしまうかなと危惧しつつ群生地へ。やはりほぼ咲き終わっていました。なんとか撮影に耐えられるものを見つけて。花びらの体温が25度になるとひっくり返ります。

 カタクリも200種以上あるといわれるアリ散布植物です。誘引物質のエアライオソームでアリを引き寄せ、アリは糖分を餌にして種を捨てます。それが種まきになります。

 林道天城山(てしろやま)線からの風景。千曲川対岸の篠ノ井の町並みと、一番奥に戸隠連峰の西岳が見えます。手前に見える尾根は、斎場山から土口将軍塚古墳や薬師山の尾根。

 林道沿いに咲くキブシ(木五倍子)の花。キブシ科キブシ属。雌雄異株の落葉低木で、別名はキフジ。江戸時代には、タンニンを含む果実がおはぐろ用の五倍子(ふし)の代用として使われました。

 メギ(目木)メギ科メギ属。枝や葉の付け根に鋭い棘があります。枝や根を煎じた汁は黄色で、煎じ液で洗眼すると目の病気に効くということから目木となりました。漢方では、小蘗(しょうばく)といいます。秋に赤い実がなります。樹高は、1~3m。

 クサボケ(草木瓜)バラ科。別名は、ジナシ(地梨)。草ではなく、高さ50センチぐらいの低木ですが、鮮やかな朱色の花を咲かせるので意外と目立ちます。また、低木ににつかわしくない梅のような大きな実は薬用酒になり、貧血や疲労回復、不眠症に。煮だし汁は入浴剤になるそうです。

 陣場平の貝母は、半日陰の林床のものも満開になりました。昨年と違って、受粉するセイヨウミツバチやハナアブが少ないのが気になります。

 見上げると、カスミザクラやヤマザクラが満開です。ウグイスが鳴いていました。繁殖期のホイホイホイがつかない月日星と鳴くサンコウチョウも。

 妻女山山系に多いサンショウ(山椒)も若葉が出てきました。

 何組かの女性たちが若葉を摘んでいました。山椒味噌に。私はもう少し大きくなってから摘みます。

 逆光に透けるリョウブ。若葉は、リョウブ飯といって食べられますが、美味しいウコギ飯と比べると非常食ですね。

 リョウブ(令法)リョウブ科 リョウブ属。初夏から夏にかけて白い小花を穂状(10〜20cm)に咲かせます。樹皮ははがれやすく独特の模様をしているので分かりやすい。太さ10センチ以下のリョウブは、しばしばニホンジカやニホンカモシカの角研ぎに利用されます。リョウブは、深く根をはる直根がありません。そのため根が浅く倒れやすい。そのかわりでしょうか、根元に不定芽が準備されていて、急速に発芽し再生します。防火帯などの刈払い地に二次林ができやすいのはそのためです。鏡台山の防火帯に群生地があります。

 あちこちでヤマツツジも咲き始めました。まだつぼみののものがほとんどですが、来週末には満開になるでしょう。

 ヤマブキ(山吹)バラ科。「七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞ哀しき」兼明親王(後拾遺和歌集) 実のと雨具の箕をかけています。太田道灌の逸話で知られる花。 古今亭志ん生『道灌』は一聴の価値あり。花を乾燥させて煎じたものは、慢性のせきに効くそうです。

 妻女山のソメイヨシノは葉桜ですが、標高の高い皆神山は満開です。手前の象山の桜は散りました。根子岳、四阿山にはまだ積雪が。GWも冬山の装備が必要です。

 妻女山展望台の少し下から見上げる陣場平と斎場山分岐の長坂峠。手前のヤマザクラの向こう側は、欅の春紅葉です。この時期は、樹種により葉の色が異なるので最も美しい春の景色。やがて皆濃い緑になり、遠目では見分けがつかなくなります。

 野沢菜の菜の花越しに見る斎場山。畑の桃の花が満開です。

 春の山菜。左から原木栽培椎茸。ウド、タラの芽、コゴミ。右は左からウド、タラの芽、スギヨのビタミン竹輪にコゴミを刺した天ぷら。原木椎茸も天ぷらに。ヒマラヤ岩塩でいただきます。週末は、10時頃から2時頃まで保全作業や案内をしています。お気軽に声をかけてください。

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