今日は8月6日
広島原爆の日
戦争が過去の出来事と
捉えらえなくなっている今、
早乙女勝元さんの「平和は
歩いて来ない」という言葉が
重く響いてきます。
ノーベル物理学賞を受賞した
益川敏英さんは「憲法9条は
日本の宝。改憲を叫ぶ人は
交戦権が欲しいのでしょう。
二百年たったら戦争はなくなる
僕は人間を信じているから…」
と、言われていたそうです。
二百年か…
その時まで地球が持ちこたえて
いるだろうか…なんて思って
しまうのです。
過去から学ぶことが大切で
あることを歴史は語っています
8月6日に、いつも読む詩を
今年も読もう…
『生ましめんかな』
こわれたビルディングの
地下室の夜だった。
原子爆弾の負傷者たちは
ローソク1本ない暗い
地下室をうずめて、
いっぱいだった。
生ぐさい血の匂い、死臭。
汗くさい人いきれ、
うめきごえ
その中から不思議な声が
聞こえて来た。
「赤ん坊が生まれる」と
言うのだ。
この地獄の底のような
地下室で今、若い女が
産気づいているのだ。
マッチ1本ないくらがりで
どうしたらいいのだろう
人々は自分の痛みを忘れて
気づかった。
と、「私が産婆です。私が
生ませましょう」と言ったのは
さっきまでうめいていた
重傷者だ。
かくてくらがりの地獄の底で
新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は
血まみれのまま死んだ。
生ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨つとも
栗原 貞子