世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

黄色いキリストのある自画像

2016-08-04 04:42:49 | 霧の風景


ポール・ゴーギャン、19世紀フランス、後期印象派、象徴主義。

「黄色いキリスト」はこれより前に描かれたゴーギャン自身の絵である。その絵をまた自分と一緒に描くということには深い意味がある。ゴーギャンは一時期ゴッホとの共同生活を送ったが、それはこの男が天使に強くひかれたからだ。罪のない、とてつもなく大きな存在というものにひかれるのである。そういうものになりたいという心があるからだろう。その心の奥に隠れているこの男の本当の姿を見ようとするとき、痛い絶望感をぼんやりと感じる。前面に大きく出している顔は、もちろん自分本来のものではない。画家は後に逃げるようにタヒチに向かう。そこでたくさんの絵を描くが、それは本当の自分から逃げ続けている人間の、ありもしない故郷を求めている心の影がさせたことかもしれない。





この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バグパイプを吹く自画像 | トップ | 傷ついた男 »
最新の画像もっと見る

霧の風景」カテゴリの最新記事