世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

傷ついた男

2016-08-05 04:21:09 | 霧の風景


ギュスターヴ・クールベ、19世紀フランス、写実主義。

クールベはナルシストであったらしい。自画像をたくさん描いているが、このように傷ついた姿で自分を描くというのも、誰かに甘えて自分を愛してもらいたいという気持ちの表れだろう。だがこの姿は本当の自分ではない。この男の本当の姿は、もっと小さく醜いのだ。そんな本当の自分を隠して、他人の姿を借りて生きている。それをことさらに見せて、愛を得ようとする。そんな男は多い。ナルキッソスが愛しているものは、本当の自分ではない。水に映った影なのだ。形だけのものなのだ。そんなものを愛して報われるわけがない。
本当の自分を愛するということは、もっと別のことなのだ。





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