
ホセ・デ・リベラ、17世紀スペイン、バロック。
これは人間の複合的な罪の結果である。足に障害を持つ少年は手に「神に施物を給え」という紙を持ち、それは彼がものを言うこともできず、物乞いをして暮らしているということを教えている。この少年の目にはきつい障害ゆえに秘められた攻撃性がある。心の奥に、だれも見てはならない、純粋でつつましいながらも絶望的な夢があるのだ。画家はモデルに同情することなく、現実をそのまま描いている。だがこの少年に、みすぼらしいながらもあたたかい服を着せたのは誰なのか。髪をきれいに刈ったのは誰なのか。見捨てずにいるのは誰なのか。きっと母親なのだろう。