![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ae/c821b8288c1b5ee7af8b3aea4de55fd3.jpg)
かなしみを くしといて
風に揺れる あなたの黒髪をなでる
あなたは美しかった
だがあなたは
その自分の美しさを
まるで知らなかった
だれもあなたを
美しいとは 言わなかったからだ
あなたの髪は今も
少女のようにやわらかい
滑らかに指の中に流れる
それはあなたの髪が
あなたの心から生えていたからだ
だれかが あなたの髪に
触れれば
その柔らかさに
呆然としたろう
なぜあなたはそんなにも
きれいなのかと
なぜひとは
一度も あなたに
問わなかったのか
触れたいと思っても触れられない
あなたの黒髪を
人は泥のようなことばで汚した
だがわたしは今
わたしだけは
あなたのやさしい黒髪に
触れることができる
美しいあなたを
心から愛していると
これからの人生を
その言葉を千万回言うことに費やしても
いいと思うほど
あなたを 愛している
美しい人の 長い黒髪を
わたしは大切に
くしといてゆく