世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

いらない人間なんて

2015-11-10 03:53:55 | 詩集・空の切り絵

いらない人間なんて
ほんとはいないんだよ
だけどにんげんが自分で
こんなにんげんなんていらないって
自分を捨てるもんだから
とても悲しいことになってしまうんだよ

ぜんぜんちがう自分になろうとして
他人から自分を盗んで
それを着ぐるみみたいに着て生きていた
ほんとの自分なんていやだったから
他人のほうがいいから
そのほうがずっと自分がすごい感じがして
生きるのが楽だったんだよ

どんなに生きたって
所詮は他人の人生だったからかな
おれのじゃないから
生きることが楽だったのかもね
つらい思いなんてしなくてもいいように
何にもしなくても 偉くなれるように
馬鹿に頼んでおいて
おれはするするうまくいく人生の上にのっかって
ただ何にもしないでいるだけだった

だけどもう そんな馬鹿はできなくなるんだよ
もう神さまがダメだって言ったからなんだよ
みんな正直な本当の自分を生きなければいけないって
神さまが言うんだよ

いらない人間なんて 
ほんとはいないんだよ
だけどおれは 自分がいやで
自分なんていらないって言って
ほかのやつの人生を盗んでばかりいて
自分の事は何もしなかったもんだから
やってきたことすべてが馬鹿になるの

もう二度と 馬鹿やって
ずるやって
うそみたいなすごいやつになることできないの
馬鹿みたいって みんなに言われて
なにもかもが馬鹿になるの




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やってます

2015-11-09 03:50:03 | 月夜の考古学・本館

だれかに
きみがいちばんだと
いってもらわなくては
ぼくは なにもできません

でも
きみがいちばんだと
いってくれたら
もうなにもしません
だって いちばんだから

せかいじゅうでいちばん
えらくなったら
もうなにもしなくていいから
ぼくはそのために
なんでもしました
いっぱいいっぱいしました

いちばんえらくなるために
すごいこともやりました
それで えらくなって
なんにもすることがなくなったら
もうなにもない
なんにもなくて なんにもなくて
なんでこんなにくるしいんだって

やってきたことが みんな
ばかなことになるのがいやで
いまもやっているのは
おんなじことをずっと
くりかえしていることです

まいにち まいにち
いみもない カードに
うそをかいて うそをかいて
うそをかいて
いやになるほど ずっと

とりがないても はながさいても
なにもみないで
ちいさな うその
かべのなかで
ずっとそればかり
やってます




(ノートに残っていた詩、タイトルはわたしがつけた)





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ちいちい鳴くは

2015-11-08 03:56:39 | 詩集・空の切り絵

ちいちい鳴くは ことりことり
みいみい鳴くは こねここねこ

ほら 愛があなたの中で揺れるだろう
ちいさなこのために何でもしてやりたいと
心が愛に濡れるだろう

かわいいかわいい
わたしのことり わたしのこねこ
ずっとずっとそばにいておくれ
さびしくなんかない
おまえがわたしのそばにいる限り

ちいちい鳴くは ことりことり
みいみい鳴くは こねここねこ

ちいさいものは 
あなたのなみだのうしろの
ちいさな夜空に
たったひとつぶの星を灯すだろう
それは確かにちいさいが
あなたの空をすべて温めてしまうだろう

ちいちい鳴くは ことりことり
みいみい鳴くは こねここねこ

ときにはふたりよりそって
心がたがいにとけあって
暖かい血のながれのように
ふたりをつないでしまうだろう

おまえのために何でもしてやろ
ちいさいもののために何でもしてやろ
小さな愛の幸福は
やさしくあなたの心を濡らすだろう





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人の気持ち考えてます?

2015-11-07 03:59:52 | ちこりの花束


 これは、働いていたときに職場の上司から言われた言葉。今でも強く印象に残っているのは、言葉は違うけれど全く意味の同じことを(しかもここに書けないほどキョーレツな言葉で)、その少し前に夫にも言われたから。それと、私自身、それと全く同じ言葉を言いたい人に、逆に言われてしまったから。自分では、人の気持ちを十分に考えているつもりだったのですが。しかし違うのかな…? 私はそんなに利己的で、人の気持ちも考えないひどい奴?
 しばらく悩んでいたら、義兄がこんなことを言ってくれました。人は時々、自分自身に言いたいことを、他人を鏡にして言う時があるそうです。それで言うなら、夫も上司も、私を鏡にして、自分に言いたかったのかな、と言う気もします。
 でも、自分が本当に人の気持ちをよく考えているかと言われれば、やっぱり自信ない。努力はするし改善はするけれど、やはり人間は基本的に利己的な生き物だから…。でも自分を愛するからこそ、自分にしてほしくないことは、人にもしてはいけないって気持ちにもなりますよね。要するに、人が本当に理解しあうには、互いに互いを学ばなくちゃって事かな。
 考えさせられました。


(2003年11月ちこり29号、言霊ノート)






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ヴィンセント

2015-11-06 03:59:36 | ちこりの花束

 種野は、ゴッホが精神を病んでいたと単純に見ることはできません。いくつかある彼の自画像を見ていると、その眼差しのあまりに澄んでいることに、呆然としてしまうからです。こんなに純粋な精神がこの現実の世に生きていたら、どこかできしみを起こさずにはいられないだろう。そう思います。
 この世界に埋もれている真の美しさを感じてそれを表現するためには、それ相応に澄んだ魂の持ち主でなければいけないと思う。しかし澄んだ魂の感性というのは、本質をあまりにそのままに受け入れて表現してしまうため、周囲のだれもがそれを理解できない場合が多い。その根本的なズレから起こるきしみに、精神異常とレッテルを貼るのは、私は少しアートというものの本質からずれていると思うのです。
 神さまの目から見れば、狂っているのは彼ヴィンセントではなく、真実を感じ取る感性の鈍い私たちの方かも知れないと、彼の痛々しいまでに澄んだ瞳の前で、私は思わざるを得ないのです。


(2002年11月ちこり26号、通信欄)






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お花

2015-11-05 03:50:30 | 月夜の考古学・本館

お花に声をかけると 
お花が笑う
それはね 神さまがやってくれているの
お花に 返事をさせてあげたくて

木の下で休んでいると こずえがゆれて
木漏れ日がちらちら光る
それはね 神さまがやってくれているの
木が やさしくしたいって思っているのを
知っているから

のっぱらに独りで立っていると
雲が割れて
日差しが肩にふれる
それはね 神さまがやってくれているの
ひとりぼっちの君の心を
ずっと見ているから




(2006年ころか、ミクシィに発表したもの)






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はじまるよ

2015-11-04 03:54:53 | 月夜の考古学・本館

そらから摘んで来た すみれの花束を
輪に編んで 輪に編んで
青いタンバリンを作ろう
ぱんぱんぱん
はじまるよ はじまるよ

海からすくってきた 人魚のたまごを
たばにして たばにして
清らかな鈴を鳴らそう
しゃんしゃんしゃん
はじまるよ はじまるよ

のばらに隠れてた 小さな旅人を
呼んできて 呼んできて
らっぱの楽隊をつくろう
ぱーぷーぷー
はじまるよ はじまるよ

ちょうちょがかくしてた 天使の赤ちゃんを
つれてきて つれてきて
野原の祭りをしよう
とんたんたん
はじまるよ はじまるよ

何かが はじまるよ




(2007年ごろ、旧ブログより)







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花冠の聖母

2015-11-03 04:11:27 | デッサン・下描き

完成作はこちら






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神様の使い

2015-11-02 03:54:15 | ちこりの花束


 時々、子供がドキリとすることを言うのは、神様の使いをしているからだという話を聞いたことがあります。神様が、その人に注意したかったり、伝えたかったりしたいことがあると、子供の口を通して言うんですって。
 例えば、種野が、夫との離婚を真剣に考えていたある時のことでした。突然、眠っていた長男が起き出して、泣いて私に抱き着いてきたことがありました。落ち着かせて話を聞いてみると、夢を見たのだそう。私が、弟たち3人を連れて、白く光るUFOに乗ってどこかに行ってしまう夢だそうでした。
 びっくりしてしまいました。私は泣いている長男を抱いて、大丈夫、どこにも行かないよと繰り返すしかありませんでした。あれも、もしかしたら、神様が、離婚したら子供が辛い思いをするぞ、と私に伝えたかったからかも、なんて、今では考えたりするんですが…。
 皆さんには、そんな経験、ありますか? 子供の言葉に、真剣に耳を傾けていると、自分自身についての新しい発見があるかも…!


(2003年7月ちこり28号、通信欄)






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ステップ

2015-11-01 04:05:34 | ちこりの花束


 何かをやっていく上で、多分だれもが経験することなんですが、人間て、なんでも慣れが来ると、どうしてもまあこんなものだろうと思って、それ以上成長するのを億劫がるようになってしまうんです。一つの山を越えると、そこで安心してしまうのですね。でも、昔から子供たちが嫌う「大人」というのは、今の自分のレベルにあぐらをかいて、成長することを忘れてしまった大人のことをいうのではないでしょうか。絶えず自分を見つめ、より新しい自分になっていこうとしている人は、たとえ年をとっても常に若いものです。なぜなら、人は古い心を脱皮させていくたびに、新しい子供の心に生まれ変われるのですから…。
 これもまた、一つのステップ。人間は進歩と退歩を繰り返しつつ、自分を成長させていきます。生きていると、時々、自分はなんて進歩がないんだろうって悲しくなる時もあるでしょう。でも、別の視点から見れば、そんな時が、魂が大きくなろうと動き始めている時だったりするんです。だって、元から成長する気のない人は、自分は進歩がないなんて思いは、したくもないでしょうからね。


(1998年7月ちこり14号、通信欄)






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