「デイ・イン、デイ・アウト」はジョニー・マーサーが1939年に作詞を手がけた軽快なナンバー。
マーサーは「20世紀最高の作詞家」と評されているが、たしかに、「ムーンリバー」、「酒とバラの日々」、「フールズ・ラッシュ・イン」、「サムシングス・ガッタ・ギヴ」など名だたる作品を列挙すれば、それもうなずけるだろう。
曲に合わせて、軽いタッチで訳してみた。
デイ・イン、デイ・アウト
明けても暮れても
いつものあの悪魔が僕を追いかけ回す
きみのことを思うだけで
僕のハートはいつもドキドキだ
ダーリン、明けても暮れても
きみのことばかり考えている
暮れても明けても
僕の一日がどう始まるかなんて
きみに話す必要はないけれど
目覚めはいつもビクビクと
ある可能性を考えてしまう
きみに会える可能性をね
降っても晴れても
もしきみに会えたなら
僕にとってはその日はいい日
そしてもしきみにキスできたなら
ハートのドキドキはもはや
荒れ狂う海のうなり声か
鳴り響く千の太鼓だ
どう考えたってこれは恋だよね?
疑問の余地などなく
そんなカンジで一日が明け
そして一日が暮れていく
DAY IN、DAY OUT (Johnny Mercer / Rube Bloom)
Day in-day out
The same old voodoo follows me about
The same old pounding in my heart
Whenever I think of you and darling, I think of you
Day in and day out
Day out-day in
I needn't tell you how my days begin
When I awake I awaken with a tingle
One possibility in view
That possibility of maybe seeing you
Come rain-come shine
I meet you and to me the day is fine
Then I kiss your lips and the pounding becomes
The oceans roar, a thousand drums
Can't you see it's love? Can there be any doubt
When there it is, day in-day out?
今日は私が管理者を務める、なめとこデイサービスの敬老会だ。
一日の定員40名のところへ40名全員がいらしているうえに職員まで加わって、ホールは大変な熱気に包まれている。
NPO法人なごやか理事長も出席しており、相談員たちの制止を振り切って、利用者様お一人お一人へお茶を注いで回っている。
職員たちによる踊りの余興が終わったところで、一人の女性利用者様から、『気仙沼音頭』をリクエストする声がかかった。
あいにく、三橋美智也が歌ったこの古いご当地ソングで盆踊りをした経験のある職員は私を含めて誰もおらず、しばし気まずい沈黙が流れていたのだが、「じゃあ、僕が踊りますか、みな見よう見まねであとについてくるといい」と理事長が前へ進み出た。
調子はずれの音頭をうなり、手踊りしながら彼は利用者様の席の間を練り歩き、私たちもその後ろにつき従う。
足腰の丈夫な利用者様が我も我もと席を立って列に加わる。
珍妙な大名行列のようで、恥ずかしいのだか、楽しいのだか、よくわからないながらも、大笑いしている利用者様がたのお顔を見て、私はこの一瞬が忘れられない思い出になりそうな気がしていた。
暑い夏がいつの間にか過ぎ、介護サービス事業所には敬老会シーズンが到来しています。
一関市にある社会福祉法人千珠会さんの、ケアハウスぽらんへおじゃましたところ、折しも、白寿、卒寿、喜寿などご長寿の方々への記念品贈呈式が行われていました。
各界から祝辞が届いていました。
O防衛大臣からも毎年頂戴しているとのことです。
お昼の祝い膳をいただいてしまいました。彩りが美しく、食欲をそそりますね。ごちそうさまでした。
二度映画化されているアイラ・レヴィンの大傑作ミステリー小説「死の接吻」(1953年)。
早川文庫版の訳本の325ページに、主人公が作成したヒロイン三姉妹の長女でコロンビア大卒のマリオンのお気に入りリストが載っている。
「プルースト。トマス・ウルフ。カーソン・マッカラーズ。「不思議な国のアリス」。エドワード・ホッパー。ヴァン・ゴッホ。バーナード・ショー。テネシー・ウイリアムズ。」
さらに270ページ-マリオンの誕生日のデートの様子。52丁目のステーキ・ハウスで食事をとり、劇場で「聖ジョーン」[註]を観たあと彼女のアパートメントへ。壁に掛けられたチャールズ・デムスの絵を二人して眺め、プルーストについて語り合い、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番のレコードを聴く。知らないひとにはまるで意味がないけれど、知っていれば(データとして読み取れれば)マリオンがどんな女性なのか、本に書いてある以上のことが分かる。あるいは、記述以上に豊かに彼女を想像できる。また、読みとらせ、想像させるのが、実在の人名を散りばめた作者の意図だろう。
[註]「聖(セイント・)ジョーン」はジャンヌ・ダルクを題材にしたバーナード・ショー作の戯曲。オットー・プレミンジャーが映画化、オーディションで選ばれたジーン・セバーグのデビュー作となった。
私のお気に入り
トーマス・ピンクのシャツ
ブルックス・ブラザースのゴールデン・フリース・ポロ
ハミルトンのアメリカン・トラベラー
フレッド・ペリーのポロ
ヘレン・カミンスキーをかぶった女性
コール・ハーンのローファー
ラルフ・ローレンを着た女の子
ボウタイ
ウエスタンシャツ
ボーダー柄のTシャツ
カラーピン ※①
タンタン&スノーウィ
パーカーのソネット(ボールペン)
モレスキンのハードカバー手帳
ステッドラーの色鉛筆
デュラレックスのプリズム・マリン(グラス)
ジャクリーヌ・ケネディ(元ファーストレディ)
ジャガーXJ(英国車)
キャデラック・コンコース(米国車)
リンカーン・コンチネンタル(米国車)
ロバート・ジョンソン(ブルースシンガー)
ザ・クラッシュ(パンクバンド)
ザ・スペシャルズ(スカバンド)
ニック・ロウ(ロッカー)
イギー・ポップ(ロッカー)
ザ・ビートルズ
ゴフィン&キング(ソングライターチーム)
バディ・ホリー(ロッカー)
シーナ&ロケット(日本のロックバンド)
ルースターズ(日本のロックバンド)
エドワード・ホッパー(画家)
「ピグマリオン」(バーナード・ショーの戯曲、「マイ・フェア・レディ」の原作)
テネシー・ウイリアムズ(戯曲作家)
カーソン・マッカラーズ(作家)
トルーマン・カポーティ(作家)
※②
アーウィン・ショー(作家)
ニック・キャラウエイ(小説「ザ・グレート・ギャツビー」の登場人物)
ヘンリー・スレッサー(作家)
アルフレッド・ヒチコック(映画監督)
マーティン・スコセッシ(映画監督)
「グッドフェローズ」(1990年)より、コパカバーナでの長回しシーン。BGMはクリスタルズの「キッスでダウン」
(ウォール・オブ・・サウンド)だ。
オーソン・ウエルズ(俳優・映画監督)
フランソワ・トリュフォー(映画監督)
パトリシア・ハイスミス(ミステリー作家)
ジーン・ティアニー(女優)
レスリー・キャロン(女優)
ジーン・セバーグ(女優)
ブリジット・バルドー(女優)
マリー・ラフォレ(女優・歌手)
※③
マリアンヌ・フェイスフル(女優・歌手)
セルジュ・ゲンスブール(歌手・作曲家・映画監督)
ピーター・オトゥール(俳優)
セシル・ビートン(写真家・衣裳デザイナー)
※④
イディス・ヘッド(衣裳デザイナー)
ジョージ・ガーシュイン(作曲家)
キャメロット(アーサー王伝説に登場する理想国家)
リバティ(イギリスのデパート)
ヨガ
ストーンヘンジ
ボイヤール砦(映画「冒険者たち」の舞台)
タラハウス(「風と共に去りぬ」に登場する建物)
グローブ座(シェイクスピアの座付き劇場)
ウォール・オブ・サウンド(フィル・スペクターが考案した音楽スタイル)
ペーパーウエイト
ティファニー・ブルー
「ゴッドファーザー・サーガ」(映画を再編集したテレビシリーズ)
「さらば青春の光」(映画)
「素晴らしき哉!人生」(映画)
「アラバマ物語」(映画)
「摩天楼」(映画)
「ブレードランナー」(映画)
「見知らぬ人でなく」(映画)
「インテリア」(映画)
あのひと-アイリーン・アドラー(「ボヘミアの醜聞」に登場するシャーロック・ホームズの好敵手)
「オーバー・ザ・レインボウ」(スタンダード・ナンバー)
「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ」(モータウン・ヒッツ)
ラットパック(フランク・シナトラ一家)
オリーブ・オイル(OYL)のようにひょろひょろの女の子
セルゲイ・ラフマニノフ(作曲家・ピアニスト)
「旅愁」(1950年)より、新進ピアニストのヒロイン(ジョーン・フォンテーン)による「ピアノ協奏曲第二番」の
演奏シーン(2:18~)。衣裳デザインはイディス・ヘッドだ。
「ザ・ホワイトハウス」(TVシリーズ)
「ミステリー・ゾーン」(TVシリーズ)
ソール・バス(グラフィック・デザイナー)
フォード・ストック・カンパニー(ジョン・フォード一座=フォード監督作品の常連たちの総称)
「星の王子様」
ジャック・ダニエルズ(バーボン)
ダシール・ハメット(ハードボイルド作家)
ジョン・カサヴェテス(俳優・映画監督)
「殺人者たち」(1964年)より。のちの合衆国大統領にパンチを入れている。
ジョゼ・ジョヴァンニ(作家・映画監督)
ツリー・ハウス
88(マイ・ラッキー・ナンバー)
「幸福な王子」(オスカー・ワイルドの童話)
小津安二郎(映画監督)
資生堂パーラー
アップルパイ
ローズ・ギャラリー(花屋)
桐島かれん(女優・モデル)
芦川いづみ(女優)
夢野久作(探偵小説作家)
「それから」(夏目漱石の小説)
宮沢賢治(詩人・童話作家)
チャグチャグ馬コ
NPO法人なごみ
※①トム・ブキャナン(「ザ・グレート・ギャツビー」の登場人物。)ラウンドカラーのクレリック・シャツにカラーピン。外した時はこうしとくんだ、と勝手に学んだ。クレジットはないが、衣装デザインはラルフ・ローレンが手掛けている。
※②セシル・ビートン(右)とカポーティ。タンジールで。
※③「太陽がいっぱい」(パトリシア・ハイスミス原作)より。宗教画家フラ・アンジェリコに関する論文を書いている大学生役。
※④衣裳を手がけた「マイ・フェア・レディ」のセットで。
雨降りお月さん (野口雨情 中山晋平)
1番(雨降りお月さん)
- 雨降りお月さん 雲の蔭
- お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
- ひとりで傘(からかさ) さしてゆく
- 傘(からかさ)ないときゃ 誰とゆく
- シャラシャラ シャンシャン 鈴付けた
- お馬にゆられて 濡れてゆく
2番(雲の蔭)
- いそがにゃお馬よ 夜が明けよ
- 手綱(たづな)の下から ちょいと見たりゃ
- お袖でお顔を 隠してる
- お袖は濡れても 干しゃ乾く
- 雨降りお月さん 雲の蔭
- お馬にゆられて 濡れてゆく
なめとこデイサービスの玄関戸を開けると、利用者様がたの元気な歌声が聞こえてきた。
歌の時間らしい。
曲は「雨降りお月さん」だった。
僕は心の中でそっと手を合わせた。
自称三国一の晴れ男が出席していながら、肝心な時に力を発揮できなかったことに。
最高の秋日和をプレゼントできなかったことに。