院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

新幹線グリーン車の乗客

2015-07-04 05:11:23 | 経済

(東海道新幹線のグリーン車。)

 新幹線のグリーン車はとても高価で、結婚式の招待などで乗車券をいただく以外、自腹で乗ったことがなかった。わずか2,3時間の移動に豪華な居住性を求める必要もない。

 そんなグリーン車にわざわざ乗る人に昔は「変な人」が多かった。たとえば、短パンにゴム草履なのに腕にはロレックスを着けた男や、異常な厚化粧でかえって気持ちが悪い女など、常識人離れした人が多かった。(乗客が1車両に数人だったから目立ったのかもしれない。)

 現在、グリーン車は前よりも乗車率が増えたし、乗客もマトモな人になった。国民の経済レベルが上がったことを実感する。


※今日、気にとまった短歌

  どうしても覚悟ができぬ婦人科の診察台を拒絶する脚 (札幌市)星ゆう子

「オワハラ」は昔からあった

2015-06-27 04:34:15 | 経済

(会社説明会。経済プレミアより引用。)

 就活学生を他の企業に取られないために、無理に就活を終わらせようとさせることを「オワハラ」というらしい。

 「オワハラ」は昔からあったし、ハラスメントというよりはむしろ名誉なことだった。昔の「オワハラ」は一流学生に対してしか行われなかったからだ。

 呑めや歌えやの宴会を他の企業の行事にぶつけて、優秀な学生が確保された。でも、企業がそんなにしてくれるのは一流の学生だけで、普通の学生は誘われもしなかったのだ。

 「オワハラ」をされるのは、買われている証拠である。(鶏頭となるも牛後となることなかれ。)


※今日、気にとまった短歌

  この店が何時頃まで開いてるか尋ねてきたがもう来ないだろう (京都市)北大路京介

たくさん買うと安くなる!?

2015-06-21 06:48:50 | 経済

(札幌場外市場の八百屋。ゴッツォ山形のHPより引用。)

 「1個10円、5個45円」というような表示はよく見かける。たくさん買うと安くなるという常識的な値札だ。

 ところが次のような奇妙な値札を見たことはないだろうか?私はけっこう見かける。店主の思考回路が分からない。

  「1個10円、5個50円」


※今日、気にとまった短歌

  カウンターに東京からの客居りて涼しき高原の風を言うなり (栃木)高村利卉子

「同一労働同一賃金」と「成果主義」と「非正規雇用」の関係

2015-05-29 06:49:48 | 経済
 「同一労働同一賃金」と「成果主義」とはほぼイコールらしい。さらに、「同一労働同一賃金」を徹底しようとすると「労働者全員が非正規雇用にならなくてはならない」と竹中平蔵氏(小泉内閣の蔵相で経済学者)が言っていた。

 上の言葉の正確な経済学的意味は分からないが、「同一労働同一賃金」や「成果主義」はどうも「理想的な理念型」であり、現実には存在しえない概念のような気がする。

 「成果主義」で私が一番理解しやすいのは「歩合制」である。「成果」の測定を上司がするのであれば、客観性を失う。

 「同一労働同一賃金」は狭い地域の中でしか通用しないのではないか?そうでなければ「安い労働力」という考え方が成立しない。「安い労働力」を求めて、わが国の企業は中国から東南アジアにシフトしていったのではなかったか?(ここでのグローバリゼーションは「同一労働同一賃金」を否定している。)

 経済学に詳しいかた、解説をお願いしたい。上記の諸概念は互いにどう関係しているのか?


※今日、気にとまった短歌

  あの冬の家族旅行の宿泊はサービスエリアのミニバンの中 (熊本市)垣野俊一郎

タクシーの「天敵」

2015-05-27 01:58:41 | 経済

(豊鉄ターミナルホテル。阪急交通社のHPより引用。)

 タクシーは深夜に酔客を遠方の自宅まで送るのが大きな収入源だそうだ。先日、タクシーの運ちゃんに聞いた話。最近はそのような客が激減して困っているという。

 結論から言うなら、ビジネスホテルに泊まる酔客が多くなったのだという。つまり、ビジネスホテルがタクシーの「天敵」となった。

 東京ならビジネスホテルといえども高いが、豊橋のような地方都市だと一泊5,000円を切るホテルもある。泊まってしまえば翌日の仕事にも便利だし、タクシー代よりホテル代のほうが安い場合もある。

 「天敵」というのはタクシーの運ちゃんが使った言葉だが、商売をしているといつなにが「天敵」となるか分からないものだ。

(私のクリニックは上のビルに入っている。6階以上がビジネスホテルになっている。)


※今日、気にとまった短歌

  古希祝ふ同窓会の式次第先ずは黙祷全員起立 (世田谷区)大塚信也

さいきんのレジャー産業

2015-03-31 05:56:03 | 経済

(いちご狩り専用ハウス。私たち一行にはこのうちの1列が与えられました。筆者撮影。)

 30年前の真夏の海水浴場の海の家は”ぼったくり”でした。ぬるいサイダーを倍以上の値段で売っていました。今でも同じなのでしょうか?

 30年前、当時私が勤めていたデイケア施設で、患者さんたちといちご狩りに行きました。ひどいものでした。苺は酸っぱく、そうたくさん食べられない上に値段ばかり高かった覚えがあります。

 ところが、このたびの渥美半島のいちご狩りは違いました。誰も手を着けていない畝を与えられ、ものすごくおいしい苺が食べ放題なのです。一人1,700円、十分に元が取れた気分になりました。

 むかしと違って、若いカップルで来ている人たちが多かったですね。カップルが来るということは、クオリティーが高いことを意味します。(カップルは値段が高いところや、質が安っぽいところを嫌いますから・・。)


※今日、気にとまった短歌

  離り住む田の持ち主の跡取りが背広姿に立てる畦道 (防府市)久保敬

コンドルセのパラドックス--国民投票法に寄せて

2015-03-20 06:22:48 | 経済

ThePAGE より引用。)

 政策にA案、B案、C案があるとします。これを国民投票にかけると、とりあえず結果が確定します。

 しかしながら、国民の考えはさまざまで、「A案がもっともよいがB案も捨てがたい」とか「A案はダメだが、C案がB案よりはマシだろう」などと考える人もいるでしょう。このような個人の「好み」が投票結果に反映されることを期待して、次の3案で投票するように工夫したとします。

(1)A>B>C
(2)B>C>A
(3)C>A>B

 この(1)から(3)で投票を行うと、じゃんけんのグーチョキパーのように三すくみの状態になって、なにも決まらなくなってしまうことがあります。これが18世紀に発見された「コンドルセのパラドックス」です。

 (私の理解が正確ではないかもしれませんが)民主主義を徹底的に推し進めると、どうしても独裁者が必要になるという逆理を数理的に証明したのが、アメリカの経済学者アローです。この結論は当時の学者たちに衝撃を与えたそうです。(アローの不可能性定理。)

 アローは1972年にノーベル経済学賞を受賞しました。

 以上のことを私は放送大学で知りました。テレビでひな壇芸人が騒いでいる時間に、こんなに面白い番組を放送しているのですよ。私の手はどうしても放送大学にチャンネンルを移してしまいます。


※今日、気にとまった短歌

  いかにもの雨の音だが君たちの別れのための演出じゃない (仙台市)工藤吉生

日本マクドナルドの業績不振に寄せて

2015-03-02 05:27:56 | 経済

(ウィキペディア「日本マクドナルド」より引用。)

 マクドナルドの売り上げ急降下は、チキンナゲットの中国工場の不潔問題がきっかけです。あのときすっぱりナゲットを発売中止にしておけばよかったのではないかと私は思います。

 中国産からタイ産に移しただけで、「愛好者がいる」との口実で発売中止にしなかったのがマズかったのではないでしょうか?日本人にとってはどちらにせよ外国産で、中国とタイの違いがわかりませんから、ナゲットそのものに対する不信感を払しょくできませんでした。(未練たらしく発売を続けるのだな、という印象が残っただけでした。私の場合、経営姿勢に疑問を感じ、ハンバーガーも食べたくなくなりました。)

 私は業界に詳しい者ではありませんが、経営の名手といわれる原田泳幸氏が社長だった時代から、斜陽の影があったそうです。原田氏によって業績がV字回復してから、原田氏はすぐに「レジメニューの廃止」、「60秒チャレンジ」を始めました。

 「レジメニューの廃止」はレジで立ち止まって注文を考える客をなくし、客の流れをスムーズにさせるためです。「60秒チャレンジ」は注文から品出しまで60秒を切るようにスタッフに競わせたことです。

 ところがレジメニューでない背後や上の看板メニューはわかりにくく、評判がよくありませんでした。また60秒チャレンジでミスが多く発生するようになりました。

 そんな中での中国工場不潔問題の露見でした。やっぱりここは工場をタイに移すのではなく、チキンナゲットをすっぱり中止すべきだったと、素人ながら私は思っています。

(経営というものにはセオリーがないようですね。セオリー通りで経営ができるなら、他と差がつきません。だから「賭け」のようになります。原田氏は最初は「賭け」に勝っていたのですね。国の経営も同じではないでしょうか?アベノミクスも勝てば安倍さんは歴史に名を残すでしょう。負ければ逆です。いまのところ、東京オリンピック誘致に成功したり「運」が安倍さんに味方していますよね。日銀総裁の首をすげ替えたのも大きな「賭け」ですね。これまで日銀総裁を交代させた総理大臣はいなかったのではないでしょうか?)


※今日、気にとまった短歌

  駅弁を食べた後にはひと眠りこだまが一番ゆっくりできる (浜松市)松岡良枝

プライベートブランドの隆盛

2015-02-23 05:20:54 | 経済

(筆者撮影、豊橋市の「アピタ向山店」。手前は桜の名所、向山緑地。「アピタ」はスーパー・ユニーの傘下です。)

 プライベートブランド(一流品ではなくスーパーなどが独自に作った食品など、PBと略)は、むかしからあったらしいのですが、私が初めて知ったのはスーパー・ダイエーのPBでした。安いが2級品というイメージがありました。ところが最近はそうだとも言えなくなってきました。

 ひとつには「スタイルワン」などのPB開発専門メーカーが出てきたことです。

 もうひとつは、なんと一流メーカーがブランド名を捨ててPB商品を出荷するようになってきたからです。

 一流メーカーがなぜPB商品を提供するかというと、まず一括買い上げで返品がないからだそうです。もう一点は(これが重要なのですが)、コンビニが1カテゴリー1商品だけを置く主義にしているので、棚に置かれなければ質がどうの言っていられないからです。

 ネスカフェが、ダイエーに意地悪をして商品を卸さなかった30年前がかえって懐かしくなりますね。製造と小売りの立場が逆転してしまいました。


※今日、気にとまった短歌

  椅子ふたつならべて仮眠とりし日々実験ノート一冊残す (所沢市)中津川勒坐

ピケティ学説に寄せて(格差問題)

2015-02-12 05:41:37 | 経済

(マッサンとエリー。ハフィントンポストのHPより引用。)

 ピケティー氏の本が出版されてから格差論議が盛んです。結論から言うと、日本の明治から戦前にかけての格差と現在の格差は質的に違っており、同列に論じることはできないように私は思います。

 話は跳ぶようですが、NHKの朝の連ドラの時代は決まって明治大正です。「花子とアン」の村岡花子は明治26年生まれ。マッサンは同27年生まれ。なんと「おしん」は明治34年生まれでもっとも若いのです。

 それでいて「おしん」の生活の貧しさは群を抜いています。当時は10歳で丁稚奉公に出るのが「普通」でしたが、「おしん」は7歳という幼さで出されたので余計に哀れを誘いました。

 村岡花子は今の東洋英和女学院で英語の勉強をしました。(山梨の農村出身者がなぜ東京の女学校に入れたのか、ドラマをきちんと見ていなかったので未知です。)

 マッサンは現在の番組進行では北海道でウイスキー造りをやっていますが、住まいの応接セットの立派なこと。今でもあれだけの家具がある家は少ないでしょう。

 平成の現在、「おしん」と花子やマッサンほどの決定的な格差が社会にあるでしょうか?そこをしっかりと押さえておかなくてはならないでしょう。(少なくともただいまの日本では事実上、飢餓はありません。)


※今日、気にとまった短歌

  黒雲に磨かれいでし満月に亡夫の笑顔見えた一瞬 (豊橋市)竹内とき子

1円でも安いトイレットペーパーを求めて

2015-02-02 05:49:32 | 経済

(「野菜の日」の品川ジャスコ。47NEWS より引用。)

 節約家の主婦ならスーパーのチラシをを見て、1円でも安い店に行くでしょう。しかし、そのスーパーがふだん行く店より1,2km離れていたらどうでしょうか?徒歩にしても自転車にしても、何カロリーかは余分に使うでしょう。それでも安い店に行く人もいるといいます。(10キロカロリー余分に使うとして、牛乳なら8ml程度です。1円で牛乳8mlは買えません。)

 会社などの節約運動で、鉛筆は5cmまで使え、コピー用紙は裏も使えというようなお触れが出ることがあります。細かいところまで節約すれば、当然大きなところでも節約するだろうとこのお触れは期待しています。

 でも、このようなお触れは1円でも安いスーパーに行くことと似て、細かいところに注目するあまり別のところで損をする可能性はないでしょうか?または、精神論で終わってしまい、実効性はないのでは?

(ある行動が予想通りの結果にならない分かりやすい例は明日。)


※今日、気にとまった短歌

  「もう行くか」「うん、また来る」で父と子は一年分のさよならを済ます (船橋市)鈴木久吉

ポイントカード商法

2015-01-31 05:24:22 | 経済

(グリーンスタンプ、アメリカ版。Ju-co net より引用。)

 すべての店がポイントカードを採用すると差別化ができず、自分の店だけに客に来てもらうことはできません。店側のメリットは客の個人情報と買い物傾向の把握だけになります。(それだけでも十分店のメリットになります。)

 むかし上の写真のようなグリーンスタンプというのがありました。(いまでもあります。)スタンプでは顧客情報が回収できません。だから採用する店が激減したのでしょう。

 スタンプの会社はスタンプを店に売ります。会社はその収入を全部景品にして客に還元することになっています。では、スタンプ会社はどのようにして儲けるのでしょうか?客にはスタンプを捨てたり死蔵したりする人が一定割合でいます。その分だけがスタンプ会社の収益となります。ですから、すべての客がスタンプを使い切ったらスタンプ会社は商売にならないわけですね。


※今日、気にとまった短歌

  野球部に聴かせるためじゃないけれど暗い校舎でフルートを吹く (栃木県)河野麻沙希

貧乏人が喜ぶ本

2015-01-28 05:10:49 | 経済
    (みすず書房刊。)

 上の本は6,000円近くするのによく売れています。しかも学術書の一種です。(私は未読)。

 本書は要するに過去の先進国の経済を通覧して、けっきょく汗水たらして働く労働者よりも資本が生む利益のほうが大きく、金持ちと貧乏人の格差は拡大していくという結論を導いているのだそうです。

 この本が世界的によく売れているわけは、人口の多数を占める貧乏人が買うからだと指摘した人がいます。まったく鋭い指摘だと思います。自分が貧乏なのは努力が足りないからではなく、構造的なものだと貧乏人は納得することができるからです。

(売れるためには多数者の興味を引くことが重要だと私は言っているだけで、内容を論評しているわけではありません。)


※今日、気にとまった短歌

  祖父と行くハワイ旅行は行けずじまいチケットながめ涙を流す (文京区立第九中学校)住吉立成

「トリクルダウン」って当たりまえ過ぎ!

2014-12-14 05:58:00 | 経済

(サッチャーとレーガン。The Guardian より引用。)

 「金持ちの富を減らせば、貧しい人はより貧しくなる」と言ったのはサッチャーさんだそうで、(金持ちから貧乏人へ)富がトリクルダウン(したたりおちる)することによって、富が行きわたるという考え方があるようです。昨日の中日新聞愛知県版はレーガンさんもトリクルダウンを採用したため、英米共に貧富の格差が拡大したと批判していました。

 英紙ガーディアンによれば「OECDはトリクルダウンを捨て去った」のだそうです。でも、資本主義国家で雇用者と被雇用者がいる以上、税制や社会保障による富の再配分を除けば、トリクルダウン以外の富の拡散方法はありうるのでしょうか?つまり、雇用者が儲かる前に被雇用者の賃金を上げることが可能なのでしょうか?

 OECDがトリクルダウンを捨てようが捨てまいが、雇用者から被雇用者へ富が降りてくるのは当たりまえのことであって、トリクルダウンなぞと麗々しく命名するほうがむしろ不自然なのではないでしょうか?

 トリクルダウンを否定するなら、資本主義経済や自由主義経済を否定して共産主義経済にしなくてはなりません。OECDや中日新聞は共産主義経済を求めているのでしょうか?

 もう一点、格差格差と言いますが、「食える」と「食えなくて餓死する」という格差と、ポルシェかカローラかという格差をわざと混同させて論じているのではありませんか?

経営手法とは結果責任ではないでしょうか?

2014-12-01 06:08:57 | 経済

(池田総理所信表明演説草案。資料に見る日本の近代より引用。)

 経済的な難しいことは分かりませんが、財政政策とはすなわち国の経営のことではないでしょうか?京セラの稲盛さんがJALの立て直しに成功したのは、稲盛さんが経営の名人ということもあるでしょうが、運も大きいと思います。

 誰でも成功するような経営モデルがあるわけではありません。(そんなのがあったら、みんなやります。)だから、経営は結果責任しか問えないと思います。やる前や、やっている最中に文句を言うのは早すぎるでしょう。

 池田勇人の所得倍増計画は成功しました。私はそのさ中に思春期を過ごしましたが、まさか本当に倍増するとは思っていませんでした。池田さんは随分批判もされました。ですが、実際に所得が倍増したので誰も文句を言えなくなりました。

 アベノミクスを批判している野党が多いですが、まだ少し早いのではないでしょうか?繰り返しますが経営とは結果責任であって、結果が出る前から別の手法のほうがよいとは誰にも言えないのです。