院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

再生可能エネルギー買取制度見直し

2014-06-19 00:15:29 | 経済

昭和シェル石油、環境新規ビジネスのHPより引用。)

 表題の見出しが昨日の朝刊の一面に載っていました。一面だから重大ニュースなのですが、面倒で読まなかった方も多いと思われますので、少し解説しましょう。

 再生可能エネルギーとはメガソーラーや風車によるクリーンなエネルギーのことで、エネルギー生産を化石燃料に頼るのではなく、クリーンエネルギーに置き換えましょうという政府の方針がありました。そのため、これらのエネルギーは政府が決めた「(高い)固定価格」で買い取られていました。

 ところが表題の記事は、「固定価格」ではもう買い取れませんよと伝えています。再生可能エネルギーはもともと化石燃料よりも割高で、こうなることは制度が始まった時から目に見えていたのでした。(いつまでも市場価格を無視して、政府が価格を保護するわけにはいきませんから。)

 割高な「固定価格」を維持するために、平成12年度は1,900億円が国民の電気料金に上乗せされました。(消費税値上がりの話題のためか、電気料金の上乗せはかすんでしまいました。)

 今年度の試算で、電気料金に上乗せされる金額は、なんと6,500億円に膨れ上がることなりました。さすがにこれではいけないと「固定価格」を引き下げることにしたのでした。そこには、このままでは電気の買取価格が制御不能になるとの経済団体からの要請がありました。でもまだ、再生可能エネルギー業者は「現在の固定価格を続けよ」と言っています。

 ここまででも再生可能エネルギー業者は(電気料金の上乗せによって)損はしていないのです。クリーンエネルギーを広めるのだという大義名分のもと、業者は発電設備をまだ増やしたいようです。(メガソーラーのために土地だけ確保されていて、まだ一台もソーラーパネルが設置されていない土地がいくらもあるようです。ソーラーパネルの値下がりを待っているのです。)

 メガソーラーの現実性について私は 2013-05-01 の記事で疑問を呈しました。その記事に対してソーラー発電の専門家と思われるSさんという方から、文献を明示した詳細な反論コメントをいただきました。少し勉強してから、私はSさんにさらに反論しました。このやりとりは今見ても面白いので、よかったご覧ください。

 そのとき私はクリーンエネルギー買取制度はドイツで失敗した前例があると書きました。表題の記事では、政府の人がこれからドイツに視察に行くと書いてありました。失敗した国になにを見に行くのでしょうか?後始末の方法でも習いに行くのでしょうか?

幕張新都心は寂れていくだろう

2014-06-14 05:06:12 | 経済

(幕張ベイエリア。ウィキペディア「幕張新都心」より引用。)

 滅び行くだろうという予測ばかりで申し訳ないが、幕張新都心も寂れていくだろう。写真の高層マンションはすでに述べた理由から、将来スラムになる。高層マンションの住人の多くはこの地を古里としない人たちだろう。だとすると、代が替わったら、もうここに住む必然性がない。マンションも旧式になり資産価値も激減しているはずだ。

 新都心全体がこれ以上発展せず、寂れていくばかりだとの予想は、わが国の人口減少も関係するがそれだけではない。計画都市は発展しないという有力な説があるからである。

 1970年ころポスト構造主義が流行ったとき、ドゥルーズとガタリが提唱したリゾームの概念を援用して、都市計画は成功しないと誰かが言っていた。その際、意外に発展しなかった計画都市、メキシコシティが例に挙げられていた。

 ポスト構造主義の哲学的な主張はきちんと理解できなかったけれども、内容的には「人間は学校の前に文房具屋ができることくらいまでは想像できるが、ビジネスホテルの横にコンビニができ、コンビニの従業員の住居がどこにできるかまでは想像できない」というような内容だったと思う。(ビジネスホテルの横のコンビニは、宿泊者にはたいへん便利である。こんなところにコンビニができるとは前もって予想できなかった。)

 都市は生き物のように周囲の状況によって変化しながら(根っこのようにリゾームが伸びて)発展していくものであり、人間の浅はかな考えですべてをあらかじめ設計することはできない、というほどの意味だと理解している。

 東京駅からの直線距離は幕張新都心は三鷹と同じくらいだろうか?三鷹は自然にできた都市だから無理なく発展してきたが、人工的な幕張新都心は三鷹のようにはいかないだろう。いずれあちこちに無駄な施設やスペースができてくると予想される。

虎ノ門ヒルズは生き残らないだろう

2014-06-13 00:03:37 | 経済

(虎ノ門ヒルズ。森ビルのHPより引用。)

 虎ノ門ヒルズという高層ビルができた。ホテルのスイートルームが一泊100万円。賃貸マンションの最高が292万円。分譲は70戸あるという。

 虎ノ門ヒルズは六本木ヒルズに勝てないだろう。なぜなら、まねっこだからである。一等賞でないからである。

 法隆寺の五重塔は世界最古の木造建築として有名だが、2番目に古い木造建築はだれも知らない。それと同じことが高層ビルでも起こるだろう。

 高層マンションがいまは富の象徴かもしれないが、いずれスラム化することは 2012-08-16 に述べた。

 ただし、六本木ヒルズだけは生き残るかもしれない。一方、虎ノ門ヒルズはもちろん、汐留や墨田や台場の高層マンションは朽ち果てる。築50年の古いマンションに誰も住みたいとは思わない。

 幕張新都心も寂れていくだろう。だが、これはまた別の要素による。

試験では測れない「実力」

2014-04-05 05:45:01 | 経済

(入社試験。りゅうせきブログより引用。)

 「サンヨネ」という地元の食品スーパーがある。この店は他店よりも安いということはないのだが、不味いものを売らないので地元ではファンが多いと昨日述べた。

 このたびの消費税値上げで3月末の駆け込み需要が多かった。4月1日の増税当日、テレビがあるスーパーを取材して、店員に「昨日まで大忙しだったのに、今日は閑古鳥ですわ」と言わしめていた。そんなこと当たり前ではないか!

 「サンヨネ」はどうしたかと言うと、4月1日と2日は消費税を値上げしなかった。そして3日目を休日として、おもむろに店内の消費税増税への対応を行った。そのため、混乱も閑古鳥もなかった。

 こういうのを経営者の「実力」というのだ。テレビで取材されたスーパーの経営者は凡庸である。

 企業が新入社員を採用するに当たりインターンシップを行なうのは、こういう「実力」をもった学生を試験だけでは識別できないからだと思われる。

レジ袋の取り扱いに見る「経営姿勢」

2014-04-04 06:04:42 | 経済

(ウィキペディア、「スーパーマーケット」より引用。)

 以前に、スーパーのレジ袋排斥運動がいかにナンセンスであるかを述べた(2013-04-12)。レジ袋排斥は環境のためには何の役にも立たないうえに、レジ袋代の5円なり10円なりは、そのスーパーの実入りになるだけで、お上に納められるわけでもない。

 コンビニはレジ袋代を徴収しない。コンビニ間の競争が激しいからそうなるのだろう。ただし、コンビニはなるべく小さいレジ袋をよこそうとする。レジ袋の大と小とで、どれだけ価格が違うのだろうか?違っても1銭2銭の単位だろう。

 地元のあるスーパーはレジ袋に5円とる。5円はそのスーパーの収入になると思うと行く気にならない。

 地元に「サンヨネ」という食品スーパーがある。他店より安いわけではないのだが、不味い商品をけっして売らないので人気がある。この店は、レジ袋に1円だけとる。だが、十分に大きなレジ袋をくれる。申し訳程度に1円をとるのは、お上の掛け声に逆らってはいませんよというアリバイのようなものである。

 この店の経営者は「何者か」である。明日もこの店の話をしよう。

ビットコインとスポーツ選手のサイン

2014-03-07 06:07:23 | 経済

サッカーキングHPより引用。)

 テレビ番組「なんでも鑑定団」を見ていると、スポーツ選手のサインが高値で取引されていることが分かる。愛好家には有名選手のサインはたいへん価値があるらしい。アメリカではサインビジネスというのがあって、業者が用意した色紙に有名選手が流れ作業のようにサインをして謝礼をもらうことがあるという。

 私はプロスポーツを見ないし、たとえ王、長嶋、ベーブルースクラスの有名選手であっても、彼らのサインを買おうとは思わないから、私にとってサインは猫に小判であるが・・。

 そこで考える。サイン愛好家にとってサインはお金のようなものである。だからサイン好きの建築家に設計料を支払うのに、サインを何枚も与えればそれで取り引きが成立するのではないか?その建築家はもらったサインを別のサイン愛好家の八百屋に譲って、野菜や果物に変えられるのではないか?

 そこで思いつくのは、ビットコインとはビットコイン愛好家の間だけで通用する通貨ではなかろうか?だからみんながビットコインに魅力を感じなくなると、サインと同様に価値がなくなる。愛好によって支えられている価値ならば、サインでなくて美術品でもよい。むかしは貨幣の代わりに米が使われた。
 

 さらに突き詰めると、ビットコインでもサインでも美術品でも米でもなくて、そもそも普通のお金でよいではないかと、話は元に戻ってしまう。価値とは愛好と信用でできている言い切ってもよいか、経済学に詳しい人に教えてもらいたい。

 銀行の金庫がものすごく分厚いのはおそらく実用のためではない。実はその必要以上の頑丈さを大衆に見せることによって、自らの信用を増そうとしているのではないか?要するに銀行の金庫はプロパガンダ用の見世物なのではないか?

ビットコインとは何か?

2014-01-26 06:03:09 | 経済
 ビットコインというものが出回っており、お金と同じ役割を果たしているそうだ。最近それが100倍にも値上がりしたという。中国の投機マネーによるものらしい。

 だが、そもそもビットコインとはなんなのか?誰が発行して、どういう機能をもっているのだろうか?

 先日、NHKの「クローズアップ現代」でビットコインについて報道していた。しかし、私の疑問は解けなかった。

 番組では、闇社会で利用されて、違法薬物の決済やマネーロンダリングに使用され、ゆゆしい事態だとしか言わない。ビットコインが経学済的にどういう意味をもっているのか、解説がいっさいなかった。NHKの人もきちんと理解できていないのではないか?

 ビットコインの価値に変動が起きないように、総量規制がされているという。ニセのビットコインは絶対に造れないのだろうか?ついでに言うと、スイカやマナカの仕組みもわからない。ICカードだから偽造がしにくいと言っても、駅の機械で簡単に金額を補充できるのだから、ICの仕組みをしっている人なら簡単に偽造できそうなものだ。

 番組では専門家がビットコインは「債権と同じだ」と言っていたが、それなら利用者が現金をビットコインに変えたら、ビットコインの発行元に大金がはいるはずだ。発行元がその大金に手を付けないのだろうか?株式や社債なら当然、発行元(会社)が使う。

 日銀券(紙幣)なら一応信用ができるが、ビットコインは信用できるのだろうか?どこの誰かも分からないビットコインの発行元をそんなに信用していいのだろうか?NHKの番組は、これらの肝心な部分を解説してくれなかった。

グローバリゼーションとは何か?

2014-01-03 05:00:52 | 経済
 昨日の深夜、NHKテレビで「グローバリゼーションとは何か?」というテーマで討論番組をやっていた。

 参加者は30代の若手学者と若手起業家だった。いろんな意見が出た。

グローバリゼーションに乗り遅れるなといういうが、乗り遅れてはいけないのか?
グローバリゼーションとは要するにアメリカ化ではないか?
グローバルに活躍できる人と、そうでない人が階層化している。
半径5キロしか移動しない人のコミュニティーをどう考えるか?etc.

 結論として私にはたいして面白くない討論会だった。議論が生煮えなのである。若手学者は理屈のための理屈のようなことを言う。そういうのを嫌って、そういうのを否定したくて諸君はあえて学者になったのではないの?

 若手学者の「論理」に押されてか、若手起業家からは実践から出てきた重い発言がなかった。ある女性起業家の「東南アジアに市場があると見るから行くのであって、グローバリゼーションを意識しているわけではない」との発言が印象的だった。

 「地産地消」という言葉はついに出なかった。グローバリゼーションの対概念としてこの言葉は外せないはずのなのだが・・。

 この欄で先日述べた「経済のグローバリゼーションとは労働力を買いたたくことである」という観点が欠如しているから、言葉が宙を舞うような議論になってしまうのだ。

 もっともテレビによる公開討論という形式そのものが、本音を言いにくい構造になっているのかもしれない。その上、漠然とグローバリゼーションについて論ぜよ命じられてもねぇ。

 名古屋市役所に奉職していたころの係長研修で、被差別を題材にした劇映画を見せられ、そのあとに「みなさん、ご自由に討論してください」と言われたのを思い出す。

経済のグローバル化によるミャンマーへの文化浸食

2013-12-20 08:14:25 | 経済

4travel.jp より引用。ミャンマーの庶民。)

 あるエコノミストによれば、経済のグローバリゼーションとは労働力を買い叩くことだという。グローバル企業は賃金の安い国へとシフトしていく。日本の企業も最近まで中国だったが、中国の賃金上昇にともない今ミャンマーを狙っている。

 グローバル企業は必ずしも母国にお金を落とさない。税金の安い国を捜していくことはマイクロソフト、グーグルで見たとおりである。

 わが国の企業は、ミャンマーを勤勉で真面目な仏教国として、その労働力に期待している。資本が投入されればミャンマー人の収入は上がるだろう。しかし、伝統の「タナカ」は瞬く間に姿を消すだろう。

 タナカとは写真左下の少女が顔につけている白粉のようなもので、日焼け止めと皮膚の保護を兼ねた昔からの化粧品のたぐいである。

 生活レベルが先進国化すれば、タナカが絶滅することはアウン・サン・スーチーさんがタナカをつけていないことからも分かる。

 そして、ミャンマー人の安い労働力が利用できるようになると、日本国内の労働者の賃金が下がるだろう。こういうことをグローバル化というらしい。

記念切手収集という趣味

2013-12-15 05:24:18 | 経済

古民芸骨董・水馬ホームページより引用。)

 私が小学校2年生のころ、切手の収集が大流行した。「月に雁」という切手が非常に高価で、当時から1枚1,000円くらいした。今では5枚シートで8万円である。(上の写真。)

 「月に雁」は買えなかったけれども、今の記念切手を買っておくと将来「月に雁」くらいに値段が上がると信じていた。子どもだけではなく大人もだった。

 最初に買った記念切手は「関門トンネル開通記念」で1958年発行ものだった。その後、何年間か記念切手が出ると買っていた。

 結論から言うと、現在それらの切手はまったく値上がりしていないどころか、額面よりも安くなっている。古い記念切手を実際に郵便に使用することもできるのだが、そのような郵便をもらった人は変な気分になるから使えない。

 郵便局で現在の切手に交換しても、手数料を取られる。だから古い記念切手は額面よりも安く評価されるのだ。現在でも高い切手は、私が小学生の時から十分に高かった。

 ものはやたらに値上がりするものではないと知るのに50年かかったことになる。大勢がやっていることを、やってもダメだということも分かった。



メガソーラー構想、はや崩壊!

2013-12-10 06:09:58 | 経済

(Wikipedia "Hokkaido Electric Power Company" より引用。)

 北海道電力がメガソーラーを歓迎しなくなったという。それでメガソーラーを開発している不動産業者が困っているというニュースを聞いて、今年5月に私が心配していたことが早くも現実になったかと驚いている。

 5月に私は、メガソーラーに投資するファンドを疑った。売電は儲けが出ない制度だと思ったからだ。初め政府は売電価格を高く設定した。これは任意だからいくらでも高く設定できる。でも、電力が一般の市場にさらされたら値下がりして、10年後にはファンドは損をするだろうと予言した。

 プロのファンドは政府が税金を投入した「公定価格」が通用している間に(税金から)儲けて、あとで電力価格が市場経済に曝されて暴落したら知らん顔だろうとも述べた。(ドイツがそうだった。)

 それに対して、ソーラーシステムの専門家と思われる方から、文献まで提示した恐縮するほど詳しい反論をいただいた。私は文献を細かく調べてからその意見にさらに反論した。(それらについては本欄の「メガソーラーを疑う」を参照されたい。)

 この討論の決着を見るのは何年も先だろうと思っていたら、北海道電力が不動産業者の立てた(まともな)計画で電力を買ったら利用者の電気料金を値上げしなくてはならなくなるなぞと言い出したのだ。(不動産業者は素人向けのファンドで開発を行おうとしたと推察される。難色を示した北海道電力はむしろ良心的である。)

 これでプロのファンドは手を出さなくなるだろう。(プロはすでに織り込み済みのはずである。)素人はもう、メガソーラー売電ファンドに手を出すべきではない。ソーラーパネル付き住宅を購入する人は、売電で儲けようと思わない方がよい。まさか、わずか半年で先の討論の決着を見るとは思わなかった。

(5月に詳しくご説明くださったSさん。北海道電力の挙動に対する私の理解が間違っていたらご指摘ください。)

発展途上国のインフラのあるべき姿

2013-11-27 06:31:16 | 経済
世界の秘境に嫁いだ日本人妻


 「秘境」といわれるような国の奥地に嫁いだ日本人妻をレポートする番組が流行っている。

 それを見て気づくことは、それらの国に鉄道がないことだ。現地の空港に降りると、あとはすべて大型バスや小型バスだ。一番先に整備されるのは道路のようだ。

 鉄道が作られる前に自動車が流入してきたからだろう。自動車の方が鉄道より経済的なのだろうか?

 同じような現象として、それらの国では固定電話よりも先に携帯電話が普及した。インフラの整備が簡単だからだろうか?

 昔から鉄道網や電力網が発達している国に、これらの国は追いつけるのだろうか?別の言い方をすれば、蒸気機関の時代を経ないで、いきなり電気やガソリンに跳んでしまってもいいのだろうか?ということである。

警察と医療の違い・女子高生ストーカー殺人事件に寄せて

2013-10-11 06:04:52 | 経済

東京新聞電子版より引用。)

 せっかくストーカー被害を警察に届けたのに、その日に殺害されてしまった気の毒な女子高生の話が問題になっている。警察はなぜ敏速に動かなかったのかと。

 なんの関係もないようだが、じつはこのような国民の感覚が医療費を膨張させている。

 脳外科にたんなる頭痛で来院する人がいる。脳外科医は脳のMRIを撮る。結果は99.999・・%正常だが、10万人に一人くらい脳腫瘍が見つかることがある。

 脳外科医は儲けようと思ってMRIを撮るわけではない。脳外科にまでかかったのに脳腫瘍を見逃されたと世間に糾弾されるのが怖いのだ。どんな珍しい疾患でも見つけるのがプロだろうと責められるのが・・。

 その結果、残りの9万9千999人は、無駄な医療費を支払うことになる。この20年間で国民医療費は2倍になった(19兆円→38兆円)。だが、医者や看護師の数はさほど増えていないし、給料だって上がっていない。医療費の増加分はMRIや腫瘍マーカーなど、コンピュータを含む電子機器会社や、化学検査会社など高度な医学的検査を行う会社が持って行ったのである。医療関係で食べていく人が増えたのだ。

 悲しいかな警察には医療従事者ほどの数がいないし、予算にも限界がある。医療費のように無際限な膨張が許されたならば、警察はすぐさまストーカー被害者をかくまっただろう。だが、そのためのシェルターが必要になるし、シェルターを警備する人員も必要になる。

 ここにあるのは、つまり警察の意識の問題というよりもお金の問題なのだ。

消費税増税に寄せて

2013-09-11 03:43:37 | 経済
 この欄では極力政治の話はしないようにいている。私たちは政治について全ての情報をマスコミからしか得られないので、議論が近視眼的になる。要するに床屋政談に堕するからである。

 このたびの消費税値上げも半分は政治の話だが、半分は経済の話なので、少し疑問を述べよう。

 消費税の値上げは財政健全化の意味もあるそうだが、財政健全化とは赤字国債を減らすという意味を含んでいるのだろうか?消費税を3%上げると、税収はおおざっぱに7兆円ほど増えるのだそうだが、1000兆円の赤字をすべて補てんするには、増税分を全部つぎ込んでも140年かかる。利息を計算に入れればもっとかかる。そんなの意味があるのだろうか?

 増税分は多くを社会福祉に使うと言うが、社会福祉とはどこまでを含んでいるのだろうか?年金や健康保険にどれだけ投入するのだろうか?

 税金とは富の再配分の意味がある。消費税は全員が負担するから、富の再配分の機能があるのだろうか?年金も健康保険も受益額は貧富で差がなく、自分で支払った分を自分でもらうだけになるような気がするのだが、どうか?



(消費税の値上げは遅延なく満額行われるはずである。国民の多くが反対していない今は千載一遇である。延期とか段階的増税とか、つべこべ言っていられないのは明らかだ。)

(お忘れの方が多いのだが、小沢一郎さんはまだ自民党にいるときには消費税推進論者だった。消費税を15%にすれば所得税は要らなくなると言っていた。いま消費税増税に反対しているのは君子豹変すということか?)

失業の種類

2013-07-30 04:25:21 | 経済
 失業者が多い。完全失業率は4%台だが、非正規雇用は38%を超える。非正規雇用には健康保険が付いていないものもある。退職金もない。だったら、昔の学生アルバイトと同じではないか。

 識者によれば失業には3様態があるという。まず、不景気による失業。次がミスマッチによる失業。ここまでは分かる。

 最近顕著になった第三の失業形態として、テクノロジー失業というのがあるそうだ。つまり、テクノロジーの進歩によって、その人の仕事をコンピュータがやってしまうようになったための失業だという。

 本の電子書籍化によって本屋がなくなるといったことである。大手書店はすでに次への策を考えている。図書館が電子化されて、蔵書の管理はすべてコンピュータがやることになるだろう。そこで司書が失業する。

 寿司を一人前に握れるようになるには10年かかる。ところが現在では、10年間修行した職人と同じくらいにシャリを握れる寿司ロボットがある。回転寿司では重宝しているそうだ。確実に寿司職人のニーズは減っている。

 心電図はすでに医者より間違いなく内蔵コンピュータが読むとは、昨日掲載した文章に書いた。コンピュータは数値を扱うのが得意だから、数値にたよる部分が多い科は、まっさきにコンピュータ化されるだろうともいつぞや書いた。

 コンピュータ化がもっとも遅れると思われるのは、精神科だと思うのだが、これは手前味噌だろうか?でも、それさえも時間の問題だと予想して、ため息をついている私である。