院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

スーパーコンピュータ

2009-12-27 23:23:34 | Weblog
 民主党の「仕分け作業」で、美人の国会議員が(スーパーコンピュータは)「なぜ1位でなくてはいけないのですか?2位ではダメなのですか?」と質問して、ノーベル賞学者たちを激怒させた。美人議員らしい素朴な疑問で、その素人ぶりに私もほほえんだ。

 現在、我が国のスーパーコンピュータは世界31位である。それで、1位をめざそうというのである。だが、それでも無理である。つまり1位にはなれないということだ。問題のスーパーコンピュータが完成するころには、ヨーロッパやアメリカでもっと速いコンピュータができてしまう。

 スーパーコンピュータが速くなければ、それだけ技術革新で水を開けられてしまう。技術立国の我が国は、そんな瀬戸際に立たされている。そんな状況での美人議員の質問だったのである。

 どこかの大学の先生が、秋葉原で売っているような部品を使って、わずか3800万円で日本最速のスーパーコンピュータを造ったという。要するに、日本最速と言ってもそんなレベルなのである。

 その先生は300個のCPUを接続して最速を実現したというけれども、300個も繋いでいてはダメだ。世界はそんなレベルではない。1個のCPUで300個分の能力がなくては世界1はおぼつかない。

 常識で分かるだろう。電子の速さは光速に近い。けれども、スーパーコンピュータの世界は、電線を短くして速度を速めようとしている。昔からだが、液体窒素を使って、電線の抵抗をゼロにしようとしている。

 本当に世界最速のスーパーコンピュータを作ろうとするなら、電線を使わない。すなわちワンチップの中に300個のCPUを入れなくてはならない。その基礎技術がまだない。そのような技術開発にこそ予算を使うべきだろう。

 どうしても電線を使わなくてはならないと言うのなら、液体窒素を使うべきである。

 でも、ほんとうは従来のチップや液体窒素という技術からまったく離れた、根本的に別の技術が必要だと思うけれども、残念ながら我が国には基礎研究に金を惜しまないという風土がない。