電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

通勤の車中ラヴェル「弦楽四重奏曲」を楽しむ

2005年05月25日 20時48分38秒 | -室内楽
ここ一週間ほど、通勤の車中でラヴェルの弦楽四重奏曲を聞いている。例のブックオフ全集分売CDのうちの一枚。ヌオーヴォ・クァルテットのこの演奏(GES-9245)は、1985年4月にフィレンツェ近郊のルフィーナ、ヴィラ・ディ・ボッジオ・レアーレにてデジタル録音されたもので、ドビュッシーの弦楽四重奏曲も一緒に収録されている。
第1楽章の優しく物憂い音楽や、第2楽章の印象的なピツィカートも、前半の印象は叙情的な性格の強いものだ。一方、第3楽章の緊張感のある音楽や生き生きとした激しさのある第4楽章など、後半の印象は一転する。ハイドンやボッケリーニなどをしばらく聞いていた身には、ラヴェルの感覚的な響きはやけに新鮮に感じられる。渡部和著『クァルテットの名曲名演奏』によれば、この曲はラヴェルがまだ世に認められる前の若い時代の作品だという。それにしても伝統的な弦楽四重奏曲の形式に立ちながら、斬新な響きの世界を構成したことと感嘆する。

通勤の車中から、自宅の部屋に持ち帰り、ステレオ装置であらためて聞いてみた。やはり弦楽合奏の響きがぐっと繊細にやわらかく感じられる。スピーカーの差だろうか。少しボリュームを上げて聞いてみると、おたがいに音を聞きあって演奏しているんだろうな、と思う。

参考までに、演奏時間を記す。
■ ヌオーヴォ・クァルテット
I=9'19" II=6'53" III=9'27" IV=5'59"
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