(1)日本の政治は反省もしなければ検証もしない政治だ。だからいつも同じ過ちをして平然としている。独は日、伊とともに連合軍と第2次世界大戦を戦って敗戦したが、大統領がいち早く大戦敗戦を検証して謝罪をして当時の相手国だった英、仏など世界から認められEUの先導国として世界外交に復帰している。
(2)日本は今でも自民党保守派の中には第2次世界大戦は正しい戦争だったと主張するグループがいて、アジア侵略植民地支配を受けた中国、韓国とは歴史認識問題で対立、批判が続いている。
戦後50年の年に当時社会党の村山富市革新連立政権が初めて大戦への首相談話を閣議決定して発表した。旧日本軍による「植民地支配と侵略」に言及して「痛切な反省」、「心からのおわび」を表明した。
(3)その後10年ごとに政権、首相が交代していることもあり、それぞれに首相談話(premier speech)を発表してきた。石破首相も今年戦後80年を迎えて、閣議決定による首相談話に意欲をみせていた。
10年ごとの節目に大戦に対する首相談話を発表することがどうなのか、これまではそれぞれに政権、首相が交代しており意味はあったのかもしれないが10年ごとに当時の政権、首相が大戦に対する考え、談話を発表することがどういう意味があり、アジアを中心とした諸外国からどう受けとめられるのかは考えなければならない。
(4)独のように国家として大戦を検証して、国家として謝罪することで世界から理解されて認められることが必要といえる。石破首相としては自民党保守派から、支持されてきた安倍元首相の戦後70年での談話発表、謝罪外交で戦後に区切りがついているとして、戦後80年談話、あらたな談話に反対する意見が強いとして今年戦後80年の政府談話を見送る意向とみられる。
(5)党内基盤の弱い石破首相としては政権運営、政治、政策遂行で独自性(石破カラー)がみられずに、押し切られたようだ。しかし10年ごとの大戦への時の首相談話がどういう意味があり、いつまでも続けるのか、中国、韓国とは外交問題、歴史認識問題として対立、批判が続いていることを考える必要がある。
(6)独のように国家として「けじめ」をつける検証、表明が必要で、二度と戦争責任を起こさない国家意思として区切りの表明こそが重要だ。