いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

プロフェッショナルの道。 the road of professional

2021-06-19 20:04:30 | 日記
 (1)政府コロナ分科会の尾身会長、感染症などの専門家集団が東京五輪開催問題で政府、組織委に提言を提出した。当初尾身会長はこの事態での(五輪)開催はありえないとの見方を示していたが、提言にはなく、無観客での開催が感染拡大リスクが最も低く望ましいとしている。観客を入れるにしても政府方針(まん延防止基準)よりはさらに厳しい判断を求めている。

 (2)誰が考えてもわかる根拠を述べたものだが、結論は同じでもその道の専門家の分析、判断、決定プロセスは国民のそれとは異なる。尾身会長は会見で「われわれプロフェッショナルは」という言葉を用いていたが、専門家としての矜持、自負がみえてその領域では従ってほしい面目が伝わってきた。それなら当初述べていたようにこの事態での開催はあり得ないと語ってほしかった。

 (3)尾身会長の「われわれプロフェッショナルは」の言葉を聞いて、菅首相の日本学術会議の任命拒否問題が思い浮かんだ。菅首相が権限にもとづいて推薦人6名を任命しなかったもので、政治が本来自由で自主、独立の専門家、プロフェッショナルを選別したものだ。

 日本学術会議にとってはこれまでの政府方針とは異なる対応に右往左往して、自由で自主、独立のプロフェッショナルとして毅然とした態度、専門学的、学術的、理論的な反対行動がとれなかったことで、専門家組織としてのぜい弱さを露呈したものだ。

 (4)もちろん専門家、プロフェッショナルも間違いはある。東日本大震災は専門家の歴史的見分からいつかは起きる可能性について指摘はあったが、対策までにはつなげられずに結果を受けて地震学会は地震予知からの撤退を表明せざるを得なかった。

 コロナ分科会の尾身会長は緊急事態宣言中の外出、移動自粛でも若者中心に人流が増加し感染増加傾向にあることに、SDGsをテーマにとりあげる漫才コンビの若者と対話して若者が緊急事態宣言を知らない発言を聞いてコロナ対策の実効性があがらないことについて考えさせられていた。

 (5)前出例のようによく言われることだが、学問的、学術的専門学と社会、生活、現実構造学とは違うこと(経済原論、成長、デフレ、インフレ、格差の矛盾など)はあり、プロフェッショナルを強調されると現実性、社会性、生活感とのかい離がみえて実効性につながらない危険、危惧はある。

 (6)近年、政治にほんろうされるプロフェッショナル、専門家集団をみていると、立場、影響力は重要であるだけにそのひ弱さが目立つのは残念だ。

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