(1)今年も何かいいことがないかと常々気にかけてきたが、日常の細かいところを探せばどこにでも何かはあるものだが、たとえばこんな経験をした。小学生が自転車で追い越す時にちょっと驚くとすかさずスピードをゆるめて「すみません」が聞こえてきていい気分になる。良心的で社会性が高く身についていると実感する。大人の方がさっそうと通り抜けていくだけだ。
(2)今年は日本の被ばく団体の被団協の活動がノーベル平和賞を授賞した。明るいニュースのはずが被ばく者自身が悲惨な体験を伝える、伝えなければならない長年の努力、核兵器禁止、核廃絶に向けた活動は、パラドックスとして現在も世界から核兵器の恐怖がなくならないどころか核競争時代に逆戻りしている暗い現実世界がある。
(3)本来なら唯一の戦争被爆国日本の被ばく者、被団協が苦しくあるいは触れられたくない体験、経験を勇気をもって世界に伝えなくてもいい、必要のない時代、世界、国家、社会が実現していなければならないものを、そうではなくプーチン大統領がウクライナ戦争で核攻撃を示唆する発言が幾度か伝えられて恐怖が現実のものであり、中国は核兵器保有が6千発となり将来1万発を目指すといわれていては一体それだけの核兵器を何のためにいつ、どこに向けて使用するつもりか理解することができない事実だ。
(4)そういう意味では日本の被団協の活動がノーベル平和賞を授賞したことがけっして明るいニュースだけではなく、現実的に背景は暗い、世界の危機を伝えるものであることを実感させられる。
世界の核保有国の首脳からは日本の被団協のノーベル平和賞授賞に対して評価、コメントを聞くことはなかった。
(5)米国では今でも日本の広島、長崎への原爆投下を戦争を終わらせる正当な行為だったという意見が国民の中に多くあるという調査結果がある。オバマ元大統領は就任早々に演説で「核のない世界」実現に意欲を示して同じくノーベル平和賞を授賞したが、その後米露はそれまでの核兵器削減交渉を打ち切り再び核競争時代に立ち戻った。
(6)米露だけではない。日本は国連の120か国、地域以上が参加する核兵器禁止条約に米国など核保有国が不平等条約(すべての核保有国、開発国が参加していない)としてこれに追随して参加していない。
今年の日本の被団協のノーベル平和賞授賞は背景から明るいニュースだけではなかった。