いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

琉球王朝と習主席発言。 Ryukyu dynasty and Xi speech

2023-07-19 20:13:56 | 日記
 (1)中国は言論、自由統制、人権抑圧問題で他国が批判すればこれを内政干渉として強く突っぱねるが、習近平主席は最近沖縄の琉球王朝時代に言及して(人民日報報道)中国と沖縄の関係の深さを強調してみせた。
 中国の国家指導者が尖閣諸島領有権問題で日中の対立が続く中で、沖縄の琉球王朝時代の中国との関係をことさら強調してみせるなどとはこれこそ日本への内政干渉そのものであり、こうした中国政府の一方的な偏向対応はこれまでも常態化して、よくぞそこまでやるなという国家としての品性、品格にかかわる問題だ。

 (2)中国は南シナ海の埋め立て領域、領土化を進め、東シナ海では尖閣諸島領有権で実効支配する日本と対立して覇権国家体制を強くしている。中国は今やGDPで日本を抜いて米国に次いで世界2位を占めて、巨大人口消費力、市場経済化で世界経済でも大きな影響力を占める地位にあり、しかし国家としては共産主義一党独裁国家として国民の言論、自由統制、人権抑圧政策を敷いて国家統制の厳しい政治体制にある。

 (3)14億人の巨大人口に広大な国土を統治するには民主主義は不都合であり国家指導者の独裁政治体制は必要(国家規模としては大きすぎる)ともいえるが、ようやく巨大市場経済を背景に国際社会でも存在感が増している中ではそれに見合った責任、融通性、柔軟性、協調性は求められる。
 とにかく中国に不利益なことへの批判には他国を一方的に批判、排除し、利益には無条件で他国の同意を求めるというのはその落差が大きくはっきりしているので、国家としての信頼性、同調性を著しく欠くパラドックス性(paradoxical)だ。

 (4)こういう国が国連安保理で拒否権を持ち(ウクライナを軍事侵攻した露拒否権もある)、世界GDP2位の経済大国であることが問題だ。習主席がここに来て中国と沖縄の琉球王国時代との関係に言及したのは、尖閣諸島領有権問題を有利に展開しようという中国の意図が感じられるもので、日本が台湾有事に備えて南西諸島に自衛隊配備を常駐化したことに対する警戒感、対抗意識が伝わってくるものだ。

 (5)しかし、今更沖縄の琉球王朝時代を持ち出して日中関係をけん制するような習主席発言には、70年代に中国は尖閣諸島を日本の領土と認めていた経緯もあり、時代感覚のズレが大きすぎて理解に苦しむ。
 日中首脳会談があれば両首脳は両国の発展のために協力し合うと合意しながら、尖閣諸島の日本領海内に連日中国公船が侵犯する事態が放置される(海上保安庁が撃退対応)という事態は、それさえも制御できない両国関係というのは裏表があって、日本の世論調査では両国の信頼関係は極めて低い。

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