(1)岸田首相の減税、17兆円補正予算の経済対策が国民から評価されずに、岸田内閣支持率が21%(直近の世論調査)と最悪となった。その前の防衛費増額、少子化対策拡大の財源を増税でまかなうとしたことの方が国民には敏感に映りインパクトが強かった。
(2)増税の後の付け足したような定額減税論では国民から政府対策の足元をみられて、それでも恒久減税ということならそれなりの評価もあるのだろうが国債頼りの膨らむ国家財政赤字ではできるはずもないことで、来年6月1回限りの減税では評価のしようもないということだ。
(3)国民感情、意識が減税よりも増税に敏感と書いたが、減税は期間限定が中心であり増税は実施すると財源、財政上も元に戻すのはなかなかむずかしいこともあり、国民には負担増と映る。東日本大震災では復興税が新設されたが、これは大震災復興に向けの緊急対応に必要な財源でありやむを得ない対策であったがいまだに東日本大震災の復興は進まずに復興税は存続されて、岸田首相の防衛費増額でも復興税を財源にする考えも出て、批判を受けた。
(4)政府の赤字国債による財政赤字が1200兆円にまで膨れ上がり財政健全化が必要な時に、減税論というのは時代に逆行した考え方であり、岸田首相の減税論は時代遅れ(anachronism)の印象が強い。そういう国民意識、感情がモロに出た岸田首相の17兆円経済対策のあとの岸田内閣支持率21%の低迷が続く要因だ。
(5)防衛費増額のあとの所得税、住民税の定額減税というのも困窮者も富裕層も同じ効果では矛盾した政策であり、定額減税と給付という経済対策、税対策というのもわかりにくい。定額減税来年6月1回限りを補う給付ということが減税の意味、効果をなくしている。
臨時国会の代表質問で自民党世耕参院幹事長が与党ながら岸田首相の政治姿勢を言葉強く批判して、何をしたいのかわからないと酷評したが、こちらの方は政局がらみの思惑もみえてしかし自民党内からも岸田首相に対して厳しい指摘も聞かれるようになった。
(6)こんな政治状況で岸田首相が狙う政権安定のための解散総選挙に打って出れるのか、ますます自責点が重なって挽回の解散も遠のくばかりだ。臨時国会も後半に入り岸田首相も今年の解散総選挙は見送って岸田内閣支持率21%では、来年早々の通常国会は波乱含みも考えられる岸田首相、政権の不安定だ。
(7)こうした時に岸田首相が自ら、閣僚などの給料を上げる(国庫に返納する意向)改正法案を国会に提出するなどとは時代錯誤でしかない。考えてみれば岸田首相、政権の2年はほとんどが閣僚、政務官のドミノ辞任で岸田首相の任命責任、判断能力が問われ、政権担当能力が疑われる事態の連続だ。