(1)国民の信託を受ける人の処分が2日続いた。ひとつは3日にSNSで裁判内容にかかわることをくり返し発信し、被害者、家族を傷つける発言、行動をしたとして仙台高裁の判事が国会の裁判官弾劾裁判所から罷免され、4日には自民党党紀委員会から裏金議員39人が処分対象となった。
(2)これが順番が逆になれば裏金問題で処分を受けた議員議会の国会の裁判官弾劾裁判所から判事が判決処分を受ける所以はないと反感も出そうなところで、国会の裁判官弾劾裁判は自民党党紀委の前日となったのはうなずける少々うがった考え方でもある。
(3)自民党党紀委の処分は1年、半年というもので、これで処分といえるものなのかは疑問だ。1年、半年過ぎれば復党し、役職にもつくことが可能であり、これまでもそうしてきたのが政治の世界だ。二階元幹事長は派閥会長として自ら責任を取って次回衆院選には立候補しないと表明したが、記者会見で引退かと問われてそれは県民が決めることだとはっきりさせなかった。
(4)自民党処分以外議員も含めて90名近い裏金議員には次回選挙での国民の厳しい審判、判断が待ち受けており、安泰としてはいられない。岸田首相が率先して自ら在籍した岸田派解散を決めて党派閥解消に向かわせたが、麻生派は裏金にかかわっていないとして派閥を存続し、茂木派も政策勉強会に移行を決めて事実上派閥形態は残ったままだ。
(5)岸田首相は派閥のパーティ、人事権は禁止すると決めたので事実上派閥は残らないと明言しているが、これまでも自民党は派閥弊害から派閥解消に向かいながらいつしか復活した経緯もあり、派閥解消を党則上もはっきりさせない現在の状況では派閥解消が進んでいるとはいえずに復活の道は残り、麻生派存続に手を打てない岸田首相(総裁)への不満はある。
(6)国会の裁判官弾劾裁判は当判事の法曹資格を失い、退職金も支払われない、不服申し立てもできない厳格なもので、あとの自民党処分決定の甘さ、緩み、形がい化が浮き彫りになる処分だ。