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24国立劇場1月/梶原平三誉石切・芦屋道満大内鑑・勢獅子門出初台/歌舞伎

2024-04-09 | 歌舞伎・文楽
24国立劇場1月/梶原平三誉石切・芦屋道満大内鑑・勢獅子門出初台/歌舞伎

梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
 鶴ヶ岡八幡社頭の場

梶原平三景時:菊之助
大庭三郎景親:彦三郎
六郎太夫娘梢:梅枝
俣野五郎景久:萬太郎
青貝師六郎太夫:橘三郎
囚人剣菱吞助:亀蔵

芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
 葛の葉

女房葛の葉/葛の葉姫:梅枝
信田庄司:権十郎
庄司妻柵:萬次郎
保名:時蔵

勢獅子門出初台(きおいじしかどでのはつだい)

菊五郎、菊之助、彦三郎、梅枝、萬太郎、亀蔵、権十郎、萬次郎、時蔵
子供たち:尾上眞秀、小川大晴(梅枝長男)、尾上丑之助、坂東亀三郎


数年前と比べると、菊之助、梅枝、彦三郎など中堅俳優が皆貫禄を付けて、それぞれ幹部俳優としての重みがあった。萬太郎は元気ある若々しい芝居でその活力がこちらに伝わってきた。梅枝は姫様役が少し似合わなくなってきたものの中年役がしっかりと決まって美しかった。葛の葉では早変わりを綺麗に決めていた。梶原平三誉石切での亀蔵は出番が少ないものの、人形みたいな白塗りのメークと酒づくしのセリフ回しが面白かった。時蔵の保名は落ち着いて手慣れた感じ。菊五郎は勢獅子門出初台の最後に出演、あまり動けなさそうだったが最後をしっかり絞めた。

葛の葉では梅枝が舞台上の障子に「恋しくばたずね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」を筆で書いた。「信太の森の」を左手で左右反対に書いたり、最後は口に筆を加えて書いた。最初の方は下から書いていたかも知れない。

文楽の最後では葛葉は石になってしまうが、この歌舞伎では葛の葉は石にはならず、奴と戦ったあとに歌舞伎風に衣装を広げて大きく見得を切って楽しく終わる。

勢獅子門出初台は全員出演でお祭りの踊りを披露。菊之助と彦三郎の2人がコンビで軽快に踊った。梅枝が美しく踊り、時蔵が綺麗に渋く踊る、子供達の手古舞は結構な長さがあったがそつなく踊った。獅子舞もあって楽しい正月。お祭りだ。

国立劇場が建て替えで閉鎖。最初の正月公演は新国立劇場、中劇場での実施となった。

24.1.17 新国立劇場、中劇場
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23歌舞伎座10月/天竺徳兵衛韓噺・文七元結物語/歌舞伎

2023-10-28 | 歌舞伎・文楽
23歌舞伎座10月/天竺徳兵衛韓噺・文七元結物語/歌舞伎

天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)
序幕 北野天神境内の場
   同 別当所の場
大詰 吉岡宗観邸の場
   同 裏手水門の場
天竺徳兵衛:松緑
梅津掃部:坂東亀蔵
佐々木桂之介:巳之助
銀杏の前:新悟
奴磯平:吉之丞
山名時五郎:松江
宗観妻夕浪:高麗蔵
吉岡宗観:又五郎
蛇使いの源八:荒五郎

これはガマの油の妖術や大ガマが出てきたりする所が見せ場の芝居で、東南アジアを歴訪した実在の商人をモデルにした四世鶴屋南北の作品。松緑は余裕を持ってゆったりと大きな芝居を見せて貫禄十分だった。坂東亀蔵はきびしく鋭い中にも落着きのある芝居。巳之助は切れ味の鋭い容姿と芝居。新悟は長身で細身な体つきで、しっかりとした芝居。又五郎はかなりのふけ役で気迫があった。荒五郎はコミカルな所作やセリフがやや現代風で、登場場面の場がなごんで良かった。着ぐるみのガマはおどろおどろしい中にもかわいらしいデザインだった。大ガマの中は松緑で、着ぐるみの芝居は大変だったのではないかと思った。

文七元結物語(ぶんしちもっといものがたり)
演出:脚本山田洋次、脚本:松岡亮、美術:金井勇一朗、照明:千原悦子
左官長兵衛:獅童
長兵衛女房お兼:寺島しのぶ
近江屋手代文七:新悟
長兵衛娘お久:玉太郎
家主甚八:片岡亀蔵
角海老女将お駒:孝太郎
近江屋卯兵衛:彌十郎

2007年10月に、勘三郎からのリクエストで新橋演舞場での『人情噺文七元結』の補綴を手がけた山田監督が再び演出した作品。当時のキャストは長兵衛:勘三郎、お兼:扇雀、文七:勘九郎、お久:芝のぶ、鳶頭伊兵衛:亀蔵、和泉屋清兵衛:彌十郎、お駒:芝翫だった。

獅童はちょっと勘三郎風の芝居で、勘三郎の柔らかさと獅童の硬さの混じった、歯ごたえのある芝居だった。しのぶは抑えた芝居でじっと我慢して家を守るカミさんの役を好演した。長兵衛やお久を引き立てる芝居。玉太郎は大きな体を小さくたたんで健気な娘を好演した。孝太郎の硬いビシッとした歌舞伎っぽい芝居と良くアンサンブルしていて、冒頭の場面はすごく良いものになった。新悟はつっころばしという役だと思うけれど、弱々しい中にも強い芯を見せて爽快な文七を演じた。亀蔵は柔らかく、彌十郎は硬く、それぞれのふけ役はいつも通りに渋くて良かった。亀蔵は色々なのが出来てうまい。

演出は古い松竹映画を思わせる細やかなもので、通行人や小道具などの演出を通して、ちょっとしたゆったり感や安心感が表現されていた。美術は家屋や橋の骨組みだけを主に使ったもので、歌舞伎スタイルでは無い現代的な本格的セットだった。特に冒頭の色街の家屋はピンク主体の花柄のような背景と照明が美しく、お久とお駒の場面を静かに盛り上げていた。橋は水色主体の照明で、演出としては橋を2回回転させて場面の構図を変える工夫をしていた。

当時、文七という有名な元結がいて、それが落語のモデルだったらしい。

23.10.05 歌舞伎座
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20国立劇場1月/菊一座令和仇討/歌舞伎

2020-03-07 | 歌舞伎・文楽
20国立劇場1月/菊一座令和仇討/歌舞伎

菊一座令和仇討(きくいちざれいわのあだうち)

序幕  鎌倉金沢瀬戸明神の場
    飛石山古寺客殿の場
    六浦川堤の場
二幕目 朝比奈切通し福寿湯の場
    鈴ヶ森の場
三幕目 下谷山崎町寺西閑心宅の場
    大音寺前三浦屋寮の場
    元の寺西閑心宅の場
大詰  東海道三島宿敵討の場

菊五郎、時蔵、松緑、菊之助、片岡亀蔵、梅枝、右近、萬太郎
彦三郎、坂東亀蔵、竹松、橘太郎

風呂屋の前での芝居が、江戸時代の銭湯ってあんな感じのなんだと興味深い。ふんどし一丁のさんすけも出てきて、客の時蔵のマッサージをしたりする。シットコム的で楽しい。

菊之助と松緑が若い仲間で、それぞれの妹が梅枝、右近で、それぞれ恋人という設定。この4人が紛失(ふんじつ)した重宝(ちょうほう)探しと仇打ちをするという、お約束ストーリー。菊之助が剣の達人、松緑が弓の達人という設定。菊五郎はいつも通りの極悪人。

今回の公演の前月に行われた、歌舞伎化「風の谷のナウシカ」で左腕を骨折した菊之助が、この舞台でも左腕に傷を負うというのが出来すぎの偶然だった。

四世鶴屋南北の「御国入曽我中村」の改訂版

20.1.11 国立劇場
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19国立劇場1月/姫路城音菊礎石/歌舞伎

2019-01-12 | 歌舞伎・文楽
19国立劇場1月/姫路城音菊礎石/歌舞伎

姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ)

序幕  曽根天満宮境内の場
二幕目 姫路城内奥殿の場
    城外濠端の場
三幕目 姫路城天守の場
四幕目 舞子の浜の場
    大蔵谷平作住居の場
    尾上神社鐘楼の場
大詰  印南邸奥座敷の場
    播磨潟浜辺の場

菊五郎、時蔵、松緑、菊之助、片岡亀蔵、梅枝、右近、萬太郎
彦三郎、坂東亀蔵、竹松、橘太郎、寺嶋和史、寺嶋眞秀

和史、眞秀の2人が大活躍。かなりの長時間、舞台に出てセリフも多かった。この2人のための舞台という感じ。外題がそもそも、音羽屋、菊五郎、礎石からできている。

冒頭は暗闇の中、舞台の幕に姫路城をマッピングし、鳥の妖しげな鳴き声を聴かせる演出。その後は、ぱーっと明るく幕が開いて、確か紅白の梅を背景にした、今はやりの「da pump USA」をアレンジした歌で始まる。10人程度の男女の町人による踊り。そのあとは地味に複雑なプロットと人物関係の物語が続く。渋い演目。

1779年初演の並木五瓶の作品「袖簿播州廻」の改訂版。1991年に国立劇場で初演以来の復活をし、今回、外題を変えてさらに改訂した。

19.1.04 国立劇場
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18歌舞伎座9月/金閣寺・鬼揃紅葉狩・河内山/歌舞伎

2018-12-02 | 歌舞伎・文楽
18歌舞伎座9月/金閣寺・鬼揃紅葉狩・河内山/歌舞伎

金閣寺
梅玉、児太郎、彌十郎、幸四郎、松緑、福助

梅玉はいつもながらのクールな感じの此下東吉実は真柴久吉。常に冷静で優しく正直で寛容。児太郎は雪姫で一所懸命に大役を務めた。彌十郎は貫禄と安定の十河軍平実は佐藤正清。幸四郎はちょっとひ弱な直信。直信は雪姫の旦那で出番は少ないが、幸四郎はこの後の2演目も出演で大活躍。松緑は気合いが入ってキレの良い松永大膳。福助は病気後の初舞台。座った形でちょっとだけ慶寿院尼で登場。しっかりと良く通る声を披露した。会場は待ってましたの掛け声に続いて大拍手。

鬼揃紅葉狩
幸四郎、錦之助、高麗蔵

能の紅葉狩から来る歌舞伎の紅葉狩の別バージョン。舞台が松羽目で、最後に鬼女が侍女と一緒に毛振りをする。振付も多分違うのだろう。錦之助の維茂はスッとした感じ。幸四郎は難なく軽々と踊る。演奏は左右に常磐津、長唄、御簾に竹本。どうも、鬼女が常磐津で、維茂が長唄らしい。

河内山
吉右衛門、幸四郎、又五郎、歌六、魁春

宗俊が最後に「バカめ~」というのがこの芝居の要らしい。典型的な悪党もの。真の悪党は体制側にあり、そいつを懲らしめる悪党こそがヒーローだっていう事で溜飲を下げる趣向。それぞれ硬くて渋い役者がそろって年季の入った芝居となった。

18.09.17 歌舞伎座
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