二銭銅貨

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真珠採り/MET15-16舞台撮影

2016-02-21 | オペラ
真珠採り/MET15-16舞台撮影

作曲:ビゼー、指揮:ジャナンドレア・ノセダ
演出:ペニー・ウールコック
出演:レイラ:ディアナ・ダムラウ
   ナディール:マシュー・ポレンザーニ
   ズルガ:マリウシュ・クヴィエチェン

多分、舞台全面に半透明のスクリーン、その奥に普通のスクリーン、間に宙吊りのパフォーマを置いて、水中深く泳いでいるように見せかける。時々出る泡の位置が良く人に合っていて、これは人間が場所とタイミング合わせて出せるようにしていたらしい。凄く本物の映像っぽくて、ちょっと驚く。映像っぽい仕掛けを映像で見ているので、本物の凄さは良くわからないけれど。これが出だしの映像。

中盤の夜の場面では、床に引いた布で波を表現し、音楽のリズムに合わせて小舟に揺られる女性を配することでゆったりした雰囲気を維持していた。

そこへ津波が押し寄せる。津波が村を飲み込むイメージは迫力があった。飲み込んだ後も、波は素知らぬ顔で同じリズムでゆっくりと大きく揺れている。

話はやや単純で幕切れもあっけない。どちらかといえば歌に力の入っているオペラ。それも重唱と合唱にこだわっているように見えた。かなりの人数をそろえた合唱は迫力があった。重唱は最初が有名な男性2重唱、さらにソプラノとテノールの重唱がある。こちらのソプラノの歌い始めは祈りの歌で透明感のある美しい歌。後になると力強い歌や変化の激しい歌が出て来るので、ソプラノの技術レベルは相当高いレベルが要求されているように見えた。ダムラウは難なく歌っていた。後半ではソプラノとバリトンの激しいやり取りを重唱にしたものがあって、これは圧倒的な厳しさがある。クヴィエチェンは硬質で強い。ポレンザーニは高貴で真面目な感じのテノール。

演奏は真面目で正々堂々とした感じ。

15.02.07 横浜ブルグ13
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ルル/MET15-16舞台撮影

2016-02-06 | オペラ
ルル/MET15-16舞台撮影

作曲:ベルク、指揮:ローター・ケーニクス
演出:ウィリアム・ケントリッジ
出演:ルル:マルリース・ペーターセン
   令嬢:スーザン・グラハム
   シェーン博士:ヨハン・ロイター
   アルヴァ:ダニエル・ブレンナ
   父:フランツ・グルントヘーバー

新聞紙あるいは雑誌記事の上に黒と赤の墨で描いた絵をプロジェクターで舞台上に映す趣向の美術。スライドショウ、あるいは動画で人物やものを動いているように見せる。最初から最後までこれをやっているので、作成された映像はかなりの長尺だ。舞台上の人物もそれに合わせた振付で動いているし、小物や衣装も新聞紙っぽいもので出来ているものを頻繁に使っていた。大きな手袋や頭にかぶる円筒形の筒など。黙役のダンサーっぽい男女の2人がほぼ出ずっぱりでマイムを演じていた。舞台上の物には色が付いているけれども墨の印象が強烈すぎて、全体にモノクロの雰囲気の中に時々鮮烈な赤が現れるという感じがした。

オペラのオリジナルもこのプロダクションも時代設定は恐慌前後の退廃したムードのヨーロッパを舞台にしたもののようだったが、プロダクションからは現代の殺伐無慈悲な印象が強く感じられた。滑らかに腐り墜ちて優美に熟成されたような部分もあるオペラだと感じたが、このプロダクションではそう言った甘い部分はあまり出さずに、ディジタルに世の中を切り裂く切り裂きジャックのような厳しい演出だった。

音は現代音楽なので良く分からない。デボラによる各歌手へのインタビューによると何度も聴いていると良さが分かるらしい。

ペーターセンは安定して良く声の出るソプラノで芝居が良い。スーザンは声が綺麗、安定している。沢山歌手が出て来ていたが、全般に皆さん声が綺麗だなと感じた。演出があまりにも殺伐としているので、ちょっと気付きにくかったがそう思った。

印象にのこるインパクトのある演出で、現代音楽の無調と良く合っていたけれど、それだけに刺激の強さも倍以上だった。

15.01.17 横浜ブルグ13
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