2019-04-14 / オペラ
フランチェスカ・ダ・リミニ(第1回ベルカントオペラフェスティバル)2019
作曲:メルカダンテ、指揮:セスト・クワトリーニ
演出:ファビオ・チェレーザ
美術(映像):フィリッポ・マルタ、衣裳:ジュゼッペ・パレッラ
演奏:東フィル
出演:フランチェスカ:レオノール・ボニッジャ
パオロ:アンナ・ペンニージ
ランチョット:アレッサンドロ・ルチアーノ
グイード:小野寺光、イザウラ:楠野麻衣
グエルフォ:有本康人
ベルカントオペラとはオペラ様式の事で、15世紀末からロッシーニの時代までのイタリアオペラの形式らしい。このオペラは1830年頃に作曲されたが、2度にわたって公演中止の憂き目に合い、2016年のマルティナ・フランカのヴァッレ・ディトリア音楽祭で初演された。今回はヴァッレ・ディトリア音楽祭の協力を得ての公演であった。2度目の中止はノルマに出演予定だったジュディッタ・パスタがパオロを演じるのを拒否したためだったらしい。
一応、セミ・ステージ形式ということで、舞台には椅子10脚程度とテーブル数台程度以外には何もない。舞台奥にプロジェクターで古い絵画らしきものを数多く映し出して変化を付けていた。おそらくコンピュータによって、絵のタッチをペン書きのように変形したものであろう。絵全体や一部が動くようになっているので、結構退屈しない。またダンサーが6人、かなり頻繁に出入りして踊っているので、それほど殺風景な感じではない。オーケストラはオケピ。
物語りは国王ランチョットに政略結婚で嫁いだフランチェスカが国王の弟のパオロと恋仲で、結局、国王に2人とも殺されるっていう話。それほど複雑な話ではないが実話がベースになっている有名な話で、他にもオペラ化や戯曲化がなされている。
オペラは典型的なベルカント方式で、アリアは緩・急の構成でそれぞれ繰り返しのあるもの。主役3人が前・後半にそれぞれ1曲づつ歌う。歌は美しいが、全体にまったりしているので退屈しないような演出が難しい。今回は初めてだったこともあり退屈しなかったが、歌と演出も良かったのであろう。
ペンニージの声は透明感があって美しく、高い装飾的な部分もごまかしなくしっかりと歌えていた。特に低い声の透明感はしびれるようなうっとりするような感じがした。とても良かった。ボニッジャも声が美しくアジリタもしっかりしていたのはペンニージと同様。声質が近いせいか彼女らの2重唱もとりわけ美しかった。ルチアーノは高い声がやや厳しい感じだったが装飾的な部分も含めて端正で美しくしっかりとした歌声だった。小野寺は太いどっしりとした感じ。楠野はしっかりとした印象だったが、芝居に熱心なのが見てとれた。演出意図でもあったのだと思うけれど、歌っていないときにしきりと動いて大きな舞台空間を埋めていた。
演奏は金管にややぎこちなさを感じたけれど、歌に良くアンサンブルしていたと思う。
19.03.27 ジーリオ・ショウワ
フランチェスカ・ダ・リミニ(第1回ベルカントオペラフェスティバル)2019
作曲:メルカダンテ、指揮:セスト・クワトリーニ
演出:ファビオ・チェレーザ
美術(映像):フィリッポ・マルタ、衣裳:ジュゼッペ・パレッラ
演奏:東フィル
出演:フランチェスカ:レオノール・ボニッジャ
パオロ:アンナ・ペンニージ
ランチョット:アレッサンドロ・ルチアーノ
グイード:小野寺光、イザウラ:楠野麻衣
グエルフォ:有本康人
ベルカントオペラとはオペラ様式の事で、15世紀末からロッシーニの時代までのイタリアオペラの形式らしい。このオペラは1830年頃に作曲されたが、2度にわたって公演中止の憂き目に合い、2016年のマルティナ・フランカのヴァッレ・ディトリア音楽祭で初演された。今回はヴァッレ・ディトリア音楽祭の協力を得ての公演であった。2度目の中止はノルマに出演予定だったジュディッタ・パスタがパオロを演じるのを拒否したためだったらしい。
一応、セミ・ステージ形式ということで、舞台には椅子10脚程度とテーブル数台程度以外には何もない。舞台奥にプロジェクターで古い絵画らしきものを数多く映し出して変化を付けていた。おそらくコンピュータによって、絵のタッチをペン書きのように変形したものであろう。絵全体や一部が動くようになっているので、結構退屈しない。またダンサーが6人、かなり頻繁に出入りして踊っているので、それほど殺風景な感じではない。オーケストラはオケピ。
物語りは国王ランチョットに政略結婚で嫁いだフランチェスカが国王の弟のパオロと恋仲で、結局、国王に2人とも殺されるっていう話。それほど複雑な話ではないが実話がベースになっている有名な話で、他にもオペラ化や戯曲化がなされている。
オペラは典型的なベルカント方式で、アリアは緩・急の構成でそれぞれ繰り返しのあるもの。主役3人が前・後半にそれぞれ1曲づつ歌う。歌は美しいが、全体にまったりしているので退屈しないような演出が難しい。今回は初めてだったこともあり退屈しなかったが、歌と演出も良かったのであろう。
ペンニージの声は透明感があって美しく、高い装飾的な部分もごまかしなくしっかりと歌えていた。特に低い声の透明感はしびれるようなうっとりするような感じがした。とても良かった。ボニッジャも声が美しくアジリタもしっかりしていたのはペンニージと同様。声質が近いせいか彼女らの2重唱もとりわけ美しかった。ルチアーノは高い声がやや厳しい感じだったが装飾的な部分も含めて端正で美しくしっかりとした歌声だった。小野寺は太いどっしりとした感じ。楠野はしっかりとした印象だったが、芝居に熱心なのが見てとれた。演出意図でもあったのだと思うけれど、歌っていないときにしきりと動いて大きな舞台空間を埋めていた。
演奏は金管にややぎこちなさを感じたけれど、歌に良くアンサンブルしていたと思う。
19.03.27 ジーリオ・ショウワ