07歌舞伎座4月/當年祝春駒、頼朝の死、男女道成寺、菊畑/歌舞伎
中村信二郎 改め 二代目 中村錦之助襲名披露
當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)
出演:獅童、勘太郎、七之助、種太郎、歌六
獅童は荒事の踊り、振り。他はおとなしく行儀の良い踊り。静の中の動。
頼朝の死(よりとものし)
出演:梅玉、歌昇、福助、歌六、芝翫
腰元の芝のぶに付き添われた福助の小周防(こずおう)は、恋に落ちてウキウキと、また自身の恋を恥らう幼き乙女なれど、前半の終りから筋の中ではずっと、泣き崩れ、悲劇にその役目を終わります。歌昇は、太い通る声、大音声でその苦悩を表現し、分かりやすい。前半の主役。後半の主役は梅玉で、照明を落とした中、うっすらと青緑に照らされた幻想的で静寂な縁側のような向こう側が外になっている位置に座り、世の無慈悲を思っているかのようだ。梅玉の理性的な声質は、頼りなく不安定な主人公の性質に、哲学的な人生観を与えているようで、真山青果の原作と良い相性だと思えた。前半の落ち着いた渋い色合いの寺の門の作り、後半の均整の取れた美しい屋敷の中の作りは、この物語の荘厳さ、大きさを良く支えていると思う。
長く続かない源氏の命脈に同情し、人の世の無慈悲、無残を嘆く思いが基底をなして、芝翫の演ずる北条政子の「家は末代、人は一世」というセリフがこの劇のテーマであるけれど、であるからこそ、人はその人生をせいいっぱい生きなければいけないと、真山青果、あるは梅玉が言っているようにも思えた。
男女道成寺(めおとどうじょうじ)
出演:仁左衛門、勘三郎
最初の金の烏帽子と赤い衣装に黒に金の輪が幾つも入った帯の2人連れの美しさは、それが仁左衛門、勘三郎とは、とても思えない。男に戻った仁左衛門はハキハキとメリハリのある踊り。勘三郎は可愛らしく、ピチピチと若々しい踊り。幕見の遠くからは、卓球の愛ちゃんのように見えてしまった。
菊畑(きくばたけ)
出演:錦之助、吉右衛門、富十郎、時蔵
劇中では白髪の爺さん役の富十郎の挨拶と錦之助自身の挨拶があった。コミカルな一面を出して柔らかい物腰の吉右衛門は智恵内(ちえない)実は鬼三太(きさんだ)。若さが前に出て、血気あふれる一面と上品な振る舞いの虎蔵実は牛若丸は錦之助。富十郎は鬼一法眼(きいちほうげん)で、智恵内を「智恵の無い、智恵内」と小馬鹿にする。軽く明るい軽喜劇。
07.04.15 歌舞伎座(幕見)
中村信二郎 改め 二代目 中村錦之助襲名披露
當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)
出演:獅童、勘太郎、七之助、種太郎、歌六
獅童は荒事の踊り、振り。他はおとなしく行儀の良い踊り。静の中の動。
頼朝の死(よりとものし)
出演:梅玉、歌昇、福助、歌六、芝翫
腰元の芝のぶに付き添われた福助の小周防(こずおう)は、恋に落ちてウキウキと、また自身の恋を恥らう幼き乙女なれど、前半の終りから筋の中ではずっと、泣き崩れ、悲劇にその役目を終わります。歌昇は、太い通る声、大音声でその苦悩を表現し、分かりやすい。前半の主役。後半の主役は梅玉で、照明を落とした中、うっすらと青緑に照らされた幻想的で静寂な縁側のような向こう側が外になっている位置に座り、世の無慈悲を思っているかのようだ。梅玉の理性的な声質は、頼りなく不安定な主人公の性質に、哲学的な人生観を与えているようで、真山青果の原作と良い相性だと思えた。前半の落ち着いた渋い色合いの寺の門の作り、後半の均整の取れた美しい屋敷の中の作りは、この物語の荘厳さ、大きさを良く支えていると思う。
長く続かない源氏の命脈に同情し、人の世の無慈悲、無残を嘆く思いが基底をなして、芝翫の演ずる北条政子の「家は末代、人は一世」というセリフがこの劇のテーマであるけれど、であるからこそ、人はその人生をせいいっぱい生きなければいけないと、真山青果、あるは梅玉が言っているようにも思えた。
男女道成寺(めおとどうじょうじ)
出演:仁左衛門、勘三郎
最初の金の烏帽子と赤い衣装に黒に金の輪が幾つも入った帯の2人連れの美しさは、それが仁左衛門、勘三郎とは、とても思えない。男に戻った仁左衛門はハキハキとメリハリのある踊り。勘三郎は可愛らしく、ピチピチと若々しい踊り。幕見の遠くからは、卓球の愛ちゃんのように見えてしまった。
菊畑(きくばたけ)
出演:錦之助、吉右衛門、富十郎、時蔵
劇中では白髪の爺さん役の富十郎の挨拶と錦之助自身の挨拶があった。コミカルな一面を出して柔らかい物腰の吉右衛門は智恵内(ちえない)実は鬼三太(きさんだ)。若さが前に出て、血気あふれる一面と上品な振る舞いの虎蔵実は牛若丸は錦之助。富十郎は鬼一法眼(きいちほうげん)で、智恵内を「智恵の無い、智恵内」と小馬鹿にする。軽く明るい軽喜劇。
07.04.15 歌舞伎座(幕見)