ハムレット/MET09-10舞台撮影
作曲:アンブロワーズ・トマ
演出:パトリース・コリエ、モーシュ・ライザー
指揮:ルイ・ラングレ
出演:サイモン・キーリンサイド、マルリース・ペテルセン
ジェニファー・ラーモア、ジェイムズ・モリス
渋い色合いのセットと渋い演出。演劇的な演出。オペラのあらすじは原作とは異なるものの、ハムレットの精神的彷徨にフォーカスしている点は同じ。サイモン・キーリンサイドがハムレットで、これも演劇性の強い芝居だった。マルリース・ペテルセンがオフィーリアで、急にデセイの代役で出たとのこと。急ごしらえに割りは問題無くそつなくこなしていた。強靭な感じのソプラノで、狂乱の場のコロラトーラも強く太い印象だった。狂乱の場の散らかされた白い花が印象的で、濃い紺の背景色に良く映える。そしてその最期の場面はミレイのオフィーリア風で美しかった。
ジェニファー・ラーモアは女王で、これはディズニー風のメイクで芝居も歌も良く、このオペラ全体の土台になっていた。強力な歌声でオーケストラやパートナーの歌手とのアンサンブルが良いと思った。ジェイムズ・モリスが王で、歌がしっかりしているだけでなく、王の心の苦しみの表現もうまかった。
舞台は比較的シンプルでセットを移動させながら場面を転換し、幕間を連続させて緊張感が途切れないように工夫していた。休みのある幕間は1回だけだった。
ハムレットは、もともと狂気の話。人の狂気、人類社会の狂気、狂気の引き起こす悲劇について考察した話である。
狂気とは何であろうか?通常は健常者と狂人は区別されるけれども、あまり病的でない狂気まで含めて考えれば、人は多かれ少なかれ生まれつき狂っている。その狂いをなんとか、かんとか、マネジメントして社会生活を送っているのが人間であるように思える。
狂気は悪いことのように思われているけれども、実はその狂いが社会の進歩にとっては重要なんじゃないかと思う。狂気が現代社会に今もって生き残っているのはそれが人類社会にとって必要だからなのではないだろうか?そうだとすれば、狂気というものは人の背負った宿命だとも言えて、古代よりそのアイテムが文学的な研究課題になっている理由はそのためなんじゃないかと思う。
10.04.16 東劇
作曲:アンブロワーズ・トマ
演出:パトリース・コリエ、モーシュ・ライザー
指揮:ルイ・ラングレ
出演:サイモン・キーリンサイド、マルリース・ペテルセン
ジェニファー・ラーモア、ジェイムズ・モリス
渋い色合いのセットと渋い演出。演劇的な演出。オペラのあらすじは原作とは異なるものの、ハムレットの精神的彷徨にフォーカスしている点は同じ。サイモン・キーリンサイドがハムレットで、これも演劇性の強い芝居だった。マルリース・ペテルセンがオフィーリアで、急にデセイの代役で出たとのこと。急ごしらえに割りは問題無くそつなくこなしていた。強靭な感じのソプラノで、狂乱の場のコロラトーラも強く太い印象だった。狂乱の場の散らかされた白い花が印象的で、濃い紺の背景色に良く映える。そしてその最期の場面はミレイのオフィーリア風で美しかった。
ジェニファー・ラーモアは女王で、これはディズニー風のメイクで芝居も歌も良く、このオペラ全体の土台になっていた。強力な歌声でオーケストラやパートナーの歌手とのアンサンブルが良いと思った。ジェイムズ・モリスが王で、歌がしっかりしているだけでなく、王の心の苦しみの表現もうまかった。
舞台は比較的シンプルでセットを移動させながら場面を転換し、幕間を連続させて緊張感が途切れないように工夫していた。休みのある幕間は1回だけだった。
ハムレットは、もともと狂気の話。人の狂気、人類社会の狂気、狂気の引き起こす悲劇について考察した話である。
狂気とは何であろうか?通常は健常者と狂人は区別されるけれども、あまり病的でない狂気まで含めて考えれば、人は多かれ少なかれ生まれつき狂っている。その狂いをなんとか、かんとか、マネジメントして社会生活を送っているのが人間であるように思える。
狂気は悪いことのように思われているけれども、実はその狂いが社会の進歩にとっては重要なんじゃないかと思う。狂気が現代社会に今もって生き残っているのはそれが人類社会にとって必要だからなのではないだろうか?そうだとすれば、狂気というものは人の背負った宿命だとも言えて、古代よりそのアイテムが文学的な研究課題になっている理由はそのためなんじゃないかと思う。
10.04.16 東劇