二銭銅貨

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愛の妙薬/ジーリオショウワ(日本オペラ振興会)2016

2016-04-30 | オペラ
愛の妙薬/ジーリオショウワ(日本オペラ振興会)2016

作曲:ドニゼッティ、指揮:園田隆一郎
演出:粟國淳、美術:川口直次、衣裳:パスクアーレ・グロッシ
演奏:ジーリオ・ショウワ・オーケストラ
出演:ネモリーノ:宮里直樹、アディーナ:光岡暁恵、
   ドゥルカマーラ:田中大揮、ベルコーレ:岡昭宏

青い澄んだ水色、
若い芽の緑、
濃い深い葉の色、
ゆっくり流れる空気の色、
落ち着いた風情の土と景色、
村と人々と建物、
恋の匂い、薬売りの歌声、
涙の足音。

テノールがこの芝居の肝で、今回は宮里直樹。楽々と高音が出て声量もある。電気刺激を少し感じて気持ちいい。乾電池を舐めた時のようにほんのりとビリビリする。かなりいいテノールだぞ。これがベルカントなのだろうか。全体に安定していたが「人知れぬ涙」はやや不安定だった。スローで抑制的な歌は難しいのかも知れない。

光岡暁恵は軽いソプラノで声はストレートで美しい。コロラトゥーラも美しく、ブッファが似合う。田中大揮は硬い感じのバス。体格が良く堂々としている。岡昭宏は端正なニ枚目風ベルコーレ。活発な合唱は良く揃って美しく、迫力がある。みんな楽しそうで元気。重唱や合唱に見どころ聴きどころが多い。ソリストと合唱との重唱が美しく華やかで気持ち良く聞ける。このオペラは合唱重唱を楽しむ軽いブッファでテノールが主軸。

プロダクションは1997年の粟國淳の演出家デビュー作品。2012年の昭和音大の公演では演出は馬場紀雄だったが、美術と衣装が使われた。

演奏は優しい感じで今回の公演に良く合っていた。

16.04.24 ジーリオ・ショウワ
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セヴィリアの理髪師の結婚/田尾下哲シアターカンパニー

2016-04-25 | オペラ
セヴィリアの理髪師の結婚/田尾下哲シアターカンパニー

作曲:ロッシーニ、モーツァルト
演出:田尾下哲、家田淳、衣裳・美術:塚本 行子
ピアノ:高田 絢子

出演:
フィガロ:村松恒矢、スザンナ:今野沙知恵
アルマヴィーラ(セヴィリアの理髪師):糸賀修平
アルマヴィーラ(フィガロの結婚):町英和
ロジーナ:澤村翔子、ケルビーノ:青木エマ
バルトロ:山下浩司、マルチェリーナ:林よう子
バジリオ(セヴィリアの理髪師):森雅史
バジリオ(フィガロの結婚):升島 唯博

フィガロの結婚とセヴィリアの理髪師を混ぜた公演。序曲も混さっていたようだった。フィガロの結婚を主軸に回想シーンとしてセヴィリアの理髪師を用いる構成。ボーマルシェの原作の戯曲のセリフも取り入れている。セリフは日本語でオペレッタ形式。3時間程度の上演なので、アリアや重唱は一部だけ歌われたものも多く、場面ごとカットも多かった。主要な歌はなるべく取り入れるようにしていたと思うが、基本的にストーリー重視だったように思う。

村松は軽快でしっかりした感じのフィガロ。今野はゆったりとした音色で美しい声。手紙の二重唱は、最後に向かうにしたがって良くなっていった。糸賀はロッシーニっぽくイタリアっぽく、でも日本人っぽい美しいテノール。町は堂々としたバリトン。澤村はメゾの歌手らしいが両方のロジーナを1人でやった。メゾはメゾで、ソプラノはソプラノでしっかりと安定して美しかった。特にセヴィリアのロジーナは低く安定していてアジリタも良かったし、堂々としていて良かった。全然ちがう2つのロジーナを1人がやるというのは歌舞伎の2役のようで面白かった。森のバスも良かった。どっしりと低く、また美しい。青木は元気良く情熱的だった。全体に皆さん芸達者。

ピアノははきはきと勢いのある感じ。元気良いピアノ。

16.04.09 JTアートホール アフィニス
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ウェルテル/新国立劇場15-16

2016-04-23 | オペラ
ウェルテル/新国立劇場15-16

作曲:マスネ
指揮:エマニュエル・プラッソン、演出:ニコラ・ジョエル
美術:エマニュエル・ファーヴル、衣裳:カティア・デュフロ
演奏:東フィル
出演:
ウェルテル:ディミトリー・コルチャック
シャルロット:エレーナ・マクシモワ
アルベール:アドリアン・エレート、ソフィー:砂川涼子
大法官:久保田真澄、シュミット:村上公太、ジョアン:森口賢二

マクシモワは声の低い本格的なメゾで、良く響いて声量がある。なぜこのオペラがメゾなのかが良く分かる声だった。情熱的なウェルテルに対して冷静なシャルロットという構図。コルチャックは情熱的で美しい声で、声量と迫力がある。エレートは落ち着いて冷静なバリトン。声は優しい。砂川は美しい声量のある良く通る声。

美術は欧風の石作りを思わせる大きな本格的なものだった。室外や室内を各幕ごとに変えるセットで豪華だった。分厚い石の壁が、ウェルテルとシャルロットの間を暗示していると感じさせた。衣装も豪華でオーソドックス。

演奏は迫力があったように思う。指揮に予定されていたミシェル・プラッソンは右腕骨折のため、息子のエマニュエルが交代した。

16.04.03 新国立劇場、オペラパレス
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