二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

白痴

2008-11-30 | 邦画
白痴  ☆☆
1951.05.23 松竹、白黒、普通サイズ
監督・脚本:黒澤明、脚本:久板栄二郎、原作:ドストエフスキー
出演:原節子、森雅之、久我美子、三船敏郎、志村喬、東山千栄子
   柳永二郎、千秋実、千石規子、三好栄子

原節子は身を持ち崩した妖艶なねばりけのある悪女、
久我美子は清廉の中に細かい棘をからだ一杯に張り出している娘、
森雅之は病的なまでに純粋で純朴な青年。

原節子の妖艶、久我美子のつっぱり、森雅之の無邪気、
そのいずれもが、それぞれの役者の持ち味でなく、
何か凄い気合で頑張っているように見え、
それがこの映画の気迫になっているように感じた。
そもそも監督自体がこの文芸作品にフィットしているようには見えず、
その分かなり頑張って作っている、
気合を込めていると感じた。
だから、ものすごく気迫と気合が感じられたのです。

そんな中で一人、三船敏郎だけが、
水を得た魚のように楽々と演じていたようだった。

難しいドラマだ。

08.11.16 NFC
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赤西蠣太

2008-11-29 | 邦画
赤西蠣太  ☆☆
1936.06.18 千恵蔵プロダクション・日活、白黒、普通サイズ
監督・脚本:伊丹万作、原作:志賀直哉
出演:片岡千恵蔵、杉山昌三九、毛利峯子

片岡千恵蔵が赤西蛎太と原田甲斐を二役をやる。
対極の性格、仇どうしの二役をやるというのが面白い。

赤西蛎太は、ちょっと間の抜けたボーッとした風の、
風采の上がらない侍。
喜劇役者のノリなんだけれども、
ちょっと真面目で、
一本気な所もある。

原田甲斐は硬派でタフでマッチョな侍。
びしっと顔が引き締まっている。
こちらがいつもの片岡千恵蔵。

伊達騒動を題材にした、ちょっと軽快な物語。
軽快で楽しいテンポ、
そつの無い演出。

息子の伊丹十三の映画の軽快さと、共通のものを感じた。

08.11.16 NFC
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サロメ/MET08-09舞台撮影

2008-11-28 | オペラ
サロメ/MET08-09舞台撮影

作曲:リヒャルト.シュトラウス、演出:ユルゲン・フリム
指揮:パトリック・サマーズ
出演:カリタ・マッティラ、ユーハ・ウーシタロ、イルディコ・コムロージ

触れてはならぬ腐敗した、情熱の炎が赤黒く、燃えさかる人の心の奥底を、おそるおそる覗いた物語なのだろうか?昔話にはこんなのが多いけれども、それにしてもその欲情の闇の深さ、深遠なことに気持ちが釘付けになる。

預言者が入れられた地下の牢獄のブルーの輝きが、その情念の対極のようでもあり、理性の象徴なのだろうか。しかしながらマッティラが表現するサロメの情欲の強烈さは圧倒的で、その理性もかすんでしまうように見えた。

ウーシタロの声量が巨大。釣鐘の轟音のよう。
コムロージはヘロディアスで落ちついて安定した芝居、歌。
マッティラの7つのヴェールの踊りはストリップ・ティーズを模したもの。

劇の衣裳、美術は現代に置き換えられている。クラシックな感じのものも観てみたい。

08.11.28 東劇
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