二銭銅貨

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07歌舞伎座7月/NINAGAWA十二夜/歌舞伎

2007-07-30 | 歌舞伎・文楽


07歌舞伎座7月/NINAGAWA十二夜/歌舞伎
出演:菊之助、菊五郎、時蔵、錦之助、亀治郎、翫雀
 シェークスピアの十二夜を、歌舞伎版に翻案した新しくて楽しい恋の喜劇。
 舞台が開くと一面ハーフミラーで観客が映る。1、2、3階の客席はほぼ満席で、こんなにも多くの人が来ている、山盛りの見物人。出だしの場面は桜色、満開のしだれ桜が鏡に映る豊かな風情、桜に染まるその舞台にハラハラ落ちる花弁のもとで、チェンバロを弾く異人さんと、合唱する異人の子供たちの高域の音が主要な不思議な世界。歌舞伎とは思えない現代的なスタートは、いたるところに張られた鏡の白銀と黒の印象。そこに、錦之助と松也が花道より登場する。

 二役の早替わりを何度もやる菊之助が乗る大船は、大きな布の波に揺られ揺られて今にも沈没寸前。波にさらわれる菊之助、霧、いかずち、大雨、大風、暴風雨。北斎の神奈川のような背景画。

 憂い深き紳士的な貴族、品の良い錦之助。やり手で小悪党だけど、憎めないしっかりものの腰元の亀治郎はきっぱりとしていて、ハギレが良い。道化師のようにアホーものの役を、潤滑油たっぷりと、くるくる回している翫雀は滑らかで心地良い。恋におちても、しっかりしているお姉さんの時蔵は、年上の女性の恋の悩みを渋くしぶとく表現します。菊五郎は二役で、1つは狂言回し、司会者のような役回り。もう1つは、強欲でいばり屋の悪い男。人の心の腐った部分。実はここがこの演劇の芯なのかと思う。菊之助は端整な若者と可憐な乙女。女なのに男を演じる女を男なのに演じる菊之助は、男なのに、女なのに何故か男を演じて、つい、女が微妙に出てしまう女の表情表現をしつこく追及していきます。簡単な芝居では無いように思えた。

 美術、衣装が美しく端整で、バランスも良く、また斬新なものも多い。菊五郎がニセ手紙を拾うシーンで出てくる円錐の上を切った形の白い物体にユラユラ動くイメージを投射させて、ブッシュっぽく見せている場面が印象的であった。ここだけ現代的な幾何学的なセットになるので、舞台を通してのアクセントとも言えて、特に強く印象付けられた。美術、セットに見とれて、芝居を忘れてしまう事もしばしばであった。
07.07.22 歌舞伎座
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07歌舞伎座6月/妹背山婦女庭訓、閻魔と政頼、侠客春雨傘/歌舞伎

2007-07-10 | 歌舞伎・文楽
07歌舞伎座6月/妹背山婦女庭訓、閻魔と政頼、侠客春雨傘/歌舞伎

07六月大歌舞伎(昼の部)/歌舞伎

妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
出演:幸四郎、藤十郎、梅玉、魁春
 両家を挟む吉野川。浮世の厳しい掟しがらみを、その川の激流、しぶきで表し、両側の豪壮な屋敷が対称に建ち並んでにらみ合う。世の無常を幸四郎、藤十郎が重々しく表現し、非情な運命を梅玉、魁春が柔らかく清々しく演じる。赤の着物、白の装束。水色の吉野川。

閻魔と政頼(えんまとまさより)
出演:富十郎、吉右衛門、歌六、歌昇
 かなり人の良さそうな富十郎の閻魔さま、世間知らずで四角四面。でも、仕事には忠実。機転の利く鷹匠政頼が吉右衛門。コミカルな踊り。面白い歌六の赤鬼、歌昇のきっぱりとした青鬼。鷹の空を舞い獲物を獲る様子が素朴。子供向けにも良さそうな舞台劇。吉右衛門の構想・脚本(共同執筆)。

侠客春雨傘(きょうかくはるさめがさ)
出演:染五郎、彦三郎、芝雀、高麗蔵、藤間齋
 劇の途中、かわいらしい藤間齋(いつき:幸四郎の孫、染五郎の子)のお披露目で、梅玉、仁左衛門、吉右衛門、幸四郎らと一緒に劇中の和泉屋を尋ねる設定で連なって出てくる。2歳数ヶ月。小ぶりな飛び六方を披露。一応それらしくなっている。幸四郎によれば、「歌舞伎座で弁慶を見た時に、気に入って、やるようになった」とか。1月の歌舞伎座のことだとすれば、それは1歳数ヶ月の頃。「本人は弁慶のつもりです。今度やる時は30年後くらいのことでしょうから、それまで気長に待っていてください」という趣旨のことを言っていた。会場は万雷の拍手。

07.06.24 歌舞伎座(3F)
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