二銭銅貨

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ジゼル/ボリショイ・バレエ2011舞台撮影

2011-05-31 | バレエ
ジゼル/ボリショイ・バレエ2011舞台撮影

2011年上演
作曲:アドルフ・アダム
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
指揮:パーヴェル・クリニチェフ
出演:ジゼル:スヴェトラーナ・ルンキナ
   アルブレヒト:ドミトリ・グダーノフ
   ミルタ:マリア・アラシュ

ルンキナの表現力が凄い。ジゼルの壮絶な心の内がほとばしり出るような芝居だった。幽霊になってからも、その無表情の中にアルブレヒトへの思いがかすかに感じられた。グダーノフは王子様らしい王子様でかっこ良い。ミルタのアラシュだと思うが、パドブレの時の足首の動きが大きく素早く、凄いと思った。足首が歩いているような印象だった。全体に壮絶な印象のジゼルだった。

ジゼルの1幕目終わりのバリエーションは片足ポワントのみでの対角線移動と、シェネかピケターンのマネージュだった。

アサフ・メッスラー振り付けの「クラスコンサート」を併映。バレエのレッスン風景を舞台化したもので、子供たちの基礎的なバー・レッスンから始まる。インタビューの中で関係者が、「振り付け家のアサフ・メッスラーはバレエの練習風景を描いたハラルド・ランダーのエチュードを見て思いついた」と言っていた。

11.05.22 109シネマズ川崎
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コジ・ファン・トゥッテ(演奏会形式)/新国立劇場10-11

2011-05-30 | オペラ
コジ・ファン・トゥッテ(演奏会形式)/新国立劇場10-11

作曲:モーツァルト
指揮:石坂宏、演奏:東京フィル(弦楽アンサンブル)
出演:フィオルディリージ:佐藤康子、ドラベッラ:小野和歌子
   デスピーナ:九嶋香奈枝、フェルランド:鈴木准
   グリエルモ:吉川健一、ドン・アルフォンソ:佐藤泰弘

椅子に腰掛けてるデスピーナは何だか不機嫌そう。出て来る時からして不満そう。皆が歌い終わるのを待っている時にもしばしば下をうつむいている。歌も芝居もデスピーナは不機嫌。辛らつ。このオペラでのデスピーナの不機嫌な辛らつさが作品に別の次元の「にがみ」を加えて面白い。作品がより一層豊かになる。九嶋香奈枝は役になりきって演じ、歌い、その「にがみ」がとても深かった。

他の歌手も同様、皆、役になりきって歌い演じていた。演奏会形式でもオペラ公演なみに面白かった。この演目自体が小規模なこうした上演に向いているのかも知れない。

九嶋香奈枝のデスピーナはメリハリがあって、はぎれ良くリズムが良い。元気が良くて、歌が踊っている、芝居も踊っている。不機嫌さがモチーフの歌と芝居だけれども、歌と芝居に明るさと元気さがあってキレも良く、楽しく辛らつなスーブレットだった。

佐藤康子は姉役でパワーが感じられる強いソプラノだった。低い方の音が良く出ていたと思う。小野和歌子は妹役で安定して強力なメゾ。歌は、はぎれ良く気持ちが良い。姉との二重唱が特に美しく、2人とも高音ではなく低い方の音が良く出てからみあい、滑らかで強いアンサンブルだった。この2重唱がこのオペラの見所だと感じた。

鈴木准はフェルランドで繊細な感じのテノール。真面目な性格の役作り。声量は大きくなかったが演奏が小規模だったので声がかき消される事はなかった。吉川健一はグリエルモで素朴なバリトン。おおらかで明るい性格の役作り。この2人の2重唱もバランスが良く、音も良く合って美しかった。佐藤泰弘のアルフォンソは手馴れた感じの歌と芝居で安定感が良かった。迫力のある良いバスだった。

各幕のフィナーレの演奏は小規模ながら迫力があった。ウェーバの法則によると人間の感覚のダイナミック・レンジは広いので、小規模でもメリハリさえつければ迫力が出る。序曲もピアノの演奏が良く走って楽しく感じた。ピアノは石野真穂。楽器は弦楽とピアノ、指揮者によるチェンバロで構成。歌手たちはオペラ公演のカバー歌手で演奏会形式による公演。
    
11.05.13 新国立劇場
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梟の城

2011-05-29 | 邦画
梟の城 ☆☆
1999.10.30 東宝、カラー、横長サイズ
監督・脚本:篠田正浩、脚本:成瀬活雄、原作:司馬遼太郎
出演:中井貴一、鶴田真由、葉月里緒菜、上川隆也

娯楽映画なんだけれども、色合いが変。
赤を基調にしていて、
様々な色合いの赤を使っていて、
統一感が無くて、
血の赤、恋の赤、紅蓮の炎、オレンジの秘密。

フィルムは特殊なものを使っているらしく、
ちょっと色あせたような感じだった。
まさか、劣化したわけでは無いと思うけれども、
渋い感じであった。

中井貴一も渋くて良かった。

河原での見世物の興行風景にこだわりが感じられた。
細かいところまで詳細に作っていたようだった。

音楽は湯浅譲二で現代音楽の作曲家。娯楽映画なので現代音楽的な傾向が強いわけではなかったが、ちょっとなんか変なかんじではあった。

11.05.03 川崎市市民ミュージアム
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フィガロの結婚/東京文化会館(二期会)2011

2011-05-28 | オペラ
フィガロの結婚/東京文化会館(二期会)2011

作曲:モーツァルト、演出:宮本亜門
指揮:デニス・ラッセル・デイヴィス、演奏:東京フィル
出演:伯爵:与那城敬、伯爵夫人;増田のり子
   フィガロ:山下浩司、スザンナ:嘉目真木子
   ケルビーノ:下園理恵

下園理恵と嘉目真木子の2人の運動エネルギーが高く、元気良く活発だった。

下園理恵のケルビーノはボサーッとした頼りなさげな現代風の若い男の子で、ちょっと面白い。伯爵夫人に惹かれて口を半開きにして、心ここにあらずの表情をしている。けれども、これが実に軽薄そうな男の子の雰囲気だった。衣装は黒に白の縦線が何本か入ったパンツで、その白の筋と生地の間の所々に隙間がある現代風のものだった。頭はぼさぼさ。あちこち動き回り、忙しく出没して大活躍だった。「恋とはどんなものかしら」は伯爵夫人への情熱と、ためらいを動き回りながら芝居しながら表現する抑揚ある歌だった。これも面白かった。スタティックで静謐な雰囲気の歌ではなかった。

嘉目真木子のスザンナは、芝居も歌もキビキビてきぱきしていて歯切れが良かった。召使の衣装が良く似合って溌剌としていた。スザンナの理知的な雰囲気も良く出ていた。3幕目の「恋人よ、早くここへ」はソプラノの割りには低い音の多いアリアだったけれども安定して美しく歌っていた。

伯爵夫人の増田のり子は堂々として、2幕目の悲しそうなアリア「愛の神様」はちょっと印象が薄かったけれども、3幕目の「楽しい思い出はどこへ」は強く鋭く美しかった。透明感があってクリアだった。強いアリアが得意なんだ。

フィガロの山下浩司は落ち着いてそつない感じ、与那城敬はかなり悪い性格の伯爵を演じて歌も迫力があった。マルチェリーナが諸田広美で、バルトロが三戸大久。両方ともパワーがあってコントロールもされて良い歌だった。バルバリーナは馬原裕子で優しく柔らかい印象だった。

演奏は落ち着いて控えめ。レチタティーボの伴奏は指揮者の鍵盤楽器演奏による。序曲も落ち着いたテンポで室内楽のような印象だった。歌手とのアンサンブルも良くてバランスが良いと感じた。歌手の重唱が多数あったがどれもアンサンブルが良かった。特に、「手紙の二重唱」は美しく、うっとりだった。演出、美術、照明、衣裳もそれぞれそうした雰囲気で、落ち着いた感じで全体に良く調和していた。色合いもケバケバしくない。

衣裳は前田文子で、特に目立ったものは無かったがその割に印象に残るデザインだった。マルチェリーナの黒の毛に覆われたずんぐりむっくりな衣裳やケルビーノの衣裳は良かったと思う。スザンナの衣裳もこれといって特に変わったところが無かったけれども印象に残った。演出も特に変わったところの無いものだったけども良い印象の残るものだった。衣裳も演出も登場人物の個性に合わせてきめ細かく丁寧な仕事だったから良かったのかも知れない。、

とにもかくにも数ある重唱が良くて、全体が調和していて気持ちの良いオペラだった。

11.04.29 東京文化会館
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オリー伯爵/MET10-11舞台撮影

2011-05-21 | オペラ
オリー伯爵/MET10-11舞台撮影

作曲:ロッシーニ
演出:バートレット・シャー
指揮:マウリツィオ・ベニーニ
出演:オリー伯爵:フアン・ディエゴ・フローレス
   アデル:ディアナ・ダムラウ
   小姓イゾリエ:ジョイス・ディドナート

劇中劇のスタイル。舞台は古いローカルな小さな屋外劇場の雰囲気。舞台監督風の爺さんが長い杖を持ち、床をトントンとたたくと音楽が始まる。昔はこういう杖で指揮をしていたらしい。この演出では音楽スタート前に床を叩くだけのものであったが、ある書籍によると昔は杖で床を叩いてリズムを取っていて、その音がやかましかったとの事である。

ディアナ・ダムラウは堂々とアデルを演じて、ちょっとコミカルな仕草の芝居がうまい。芝居をしながらでも歌は安定していて、強く美しい。すっきりとした芝居と歌で両方が良くバランスしている。衣裳も豪華なすっきりしたドレスで美しかった。ジョイス・ディドナートは女性っぽいズボン役。元気良く力強い。フアン・ディエゴ・フローレスは喰えない伯爵の悪徳ぶりが品を損なうことなく表現されていた。歌は安定していた。侍女頭のスザンヌ・レズマークはメゾだけれども低声が安定していてパワーがあり注目された。また、堂々とし芝居ぶりだった。教育係のミケーレ・ペルトゥージのバスも安定していて良かった。

字幕によるとアデルは城主の妹となっていたが、wikiによると伯爵夫人となっている。人妻だと悪徳が目立つので、役の設定を変えたのかも知れない。

11.05.07 109シネマズMM横浜
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