にあんちゃん

にあんちゃん　　☆☆
1959.10.28　日活、白黒、横長サイズ
監督・脚本：今村昌平、脚本：池田一朗、原作：安本末子
出演：長門裕之、松尾嘉代、中村武、前田暁子、吉行和子、小沢昭一

採算が合わず閉山されていく炭鉱の、
末路の山で働く人々の、
せつなく、苦しい生活を背景に、
強く元気に、前を向いて歩いて行く、
４人の兄弟の話。

父親の葬儀の場面から始まる。
母は無く、４人で、周囲の人々の親切が頼り。

空が大きく晴れて、
視界の良いボタ山を登る
２番目のあんちゃんの「にあんちゃん」と、
末娘の末子の２人。

安本末子の子供の頃の日記をベースにしたヒット小説の映画化。
07.05.06 ＮＦＣ

盗まれた欲情

盗まれた欲情　☆☆☆
1958.05.20　日活、白黒、横長サイズ
監督：今村昌平、脚本：鈴木敏郎、原作：今東光
出演：長門裕之、南田洋子、香月美奈子、滝沢修、柳沢真一、小沢昭一

演劇に打ち込む青年の長門裕之、
田舎芝居のドサまわりについてまわって一所懸命。
情熱と熱意のからまわり。
団員たちや村人たちは、
ドタバタの、私利物欲の大立ち回り。

しょうも無い役者だと思っていた柳沢真一が、
人の居ない舞台で自己流の日本舞踊を踊っている、
一人、練習で踊っている、
これが、なかなうまい。
じっと見ている長門裕之。
今までの何かが間違っている。
重なる鏡獅子の映像。

演劇とは何なのか？
何のための演劇なのか？
芝居を見る人。
芝居をする人。
芝居に打ち込む人。
何を求めているのだろう。

そんな事はお構いなしに、
小沢昭一は金儲けに奔走している。
07.05.04 ＮＦＣ

浪人街

浪人街　☆☆
1990.08.18　松竹、カラー、横長サイズ
監督：黒木和雄、脚本：笠原和夫、原作：山上伊太郎
出演：原田芳雄、石橋蓮司、勝新太郎、田中邦衛、樋口可南子、
　　　杉田かおる

あぶれものの浪人たちの集まる飲み屋、
薄汚く、
人生に振られて、
よたついて、
何かに一所懸命な浪人たち。

生きることに必死な女郎たち。
運命の酷薄、世の薄情。
気の強い樋口可南子。
柔らかい線の女たち。

娯楽映画のチャンバラと、
黒木和雄のリアリティが、
奇妙に結びついて、できあがった
アンバランスな映画。

途中、ワンカットで、長門裕之の屋台のうどん屋の場面がある。
味にこだわるうどん屋が、勝新にうどんを振る舞い、
ウマイと激賞されてタダにする。
勝新もタダでは済まぬと、これを「サムライうどん」と名づけて、
周囲に大声で宣伝して去って行く。

この映画は、1920年代にマキノ雅広（正博）監督が作った作品のリメーク。長門裕之は、今回の映画がマキノ雅広総監修ということで、一門を代表して特別出演したのかも知れない。
07.05.04 ＮＦＣ

竜馬暗殺

竜馬暗殺　☆☆
1974.08.03　映画同人社、ＡＴＧ、白黒、普通サイズ
監督：黒木和雄、脚本：清水邦夫 、田辺泰志
出演：原田芳雄、石橋蓮司、中川梨絵、松田優作、桃井かおり

殺伐とした、
白と黒の荒々しい画面の中に、
幕末の志士たちのエネルギーを閉じこめて、
そのエネルギーの放射を映画に記録して、
残しておいた。

ざっくばらんで適当な原田芳雄。
まじめでストイックな石橋蓮司。
まったく現代的で幻想的な中川梨絵。
エキセントリックすぎる松田優作。
１分１秒でも長く画面に留まりたい雰囲気の桃井かおり。

幕末のおもだった志士たちは皆死んでしまった。
新しい時代を作り出す活動力、
若者たちのエネルギー準位の高さ、
力強さを、
蔵の底辺から眺めている。
07.05.01 ＮＦＣ

ぼんち

ぼんち　　☆☆
1960.04.13　大映、カラー、横長サイズ
監督・脚本：市川崑、脚本：和田夏十、原作：山崎豊子
出演：市川雷蔵、毛利菊枝、山田五十鈴、若尾文子、京マチ子、
　　　草笛光子、越路吹雪、中村玉緒

おばあさん役の毛利菊枝の一徹。
厳しい強さの中に、弱さを垣間見せる山田五十鈴。
しっかりものの若尾文子。
この世を楽しむ、ふっくらとした京マチ子。
信心深く、人に対する思いの深い草笛光子。
まじめで実直な中村玉緒。
なんだか良く分からないけど、大柄な越路吹雪。
市川雷蔵は、とぼけた感じ。
これらの女たちを、皆まとめて面倒みます。

たくさんの大女優と市川雷蔵が出て来る映画です。
07.04.29 新文芸座