二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

2006-04-28 | 成瀬映画
妻  ☆☆
1953.04.29 東宝、白黒、普通サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:井手俊郎、原作:林芙美子(茶色の目)
出演:上原謙、高峰三枝子、丹阿弥谷津子、三国連太郎

すきま風がビュービュー吹き抜けるような夫婦の絆。
薄くてもろくて、弱くてはかない。
タイピスト役の丹阿弥谷津子に惹かれれる夫の上原謙。
仕事にも、家庭にも、生きがいがありません。
何だかボーッとしてしまいます。
煎餅をボリボリかじる妻の高峰三枝子。
家事にも夫にも興味がありません。
何だかボーッとしてしまいます。

下宿の画学生の三国連太郎は、何故かこの夫婦に興味津々。
この人は、人の世の「愛」というものに夢と希望を持っています。

すきま風が吹こうと、雨が降ろうと、あられが降ろうと、
吹雪だろうとが、稲妻だろうが、何でも来いだ。
絶対に亭主を離すものかと、高峰三枝子はぐっと決意を固めます。
05.10.09 NFC
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藪の中の黒猫

2006-04-27 | 邦画
藪の中の黒猫  ☆☆
1968.02.24 近代映画協会、日本映画新社、白黒、横長サイズ
監督・脚本:新藤兼人
出演:中村吉右衛門、乙羽信子、太地喜和子、佐藤慶

出だしはなんとなく黒澤明風。
馬の疾駆する場面、戦の場面も黒澤明風。
物語はまだ見ていない溝口健二の「雨月物語」風らしい。
太地喜和子は京マチ子風。
これはパロディかな?

一応、怨霊とかで怖い話なんですが、
おとぎの国のファンタジー
06.04.23 NFC
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華岡青洲の妻

2006-04-26 | 邦画
華岡青洲の妻  ☆☆
1967.10.20 大映(京都撮影所)、白黒、横長サイズ
監督:増村保造、脚本:新藤兼人、原作:有吉佐和子
出演:市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子、伊藤雄之助、渡辺美佐子
   (語り手)杉村春子

華岡青洲は1800年頃に実在した医者。
事実をベースにした小説の映画化。
世界では初めて全身麻酔による乳癌の手術をした医者だそうです。
すごい人です。

高峰秀子は華岡青洲の母、
若尾文子は華岡青洲の妻、
手術のための全身麻酔に挑む男の物語に、
嫁と舅の戦いが重なります。

我が子にとって私が一番と、人体実験を申し出る母。
いいえ、夫にとっては私が一番と、「いえ、私が」と妻がさえぎる。
「何を言っているの」と怒る母。
互いに譲らない。
強い女性の気がぶつかり合います。

この闘いのエネルギーが、この歴史的なチャレンジを
成功させた重要な要因だと、原作者は推理しているようです。
06.04.23 NFC
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裸の島

2006-04-25 | 邦画
裸の島  ☆☆☆
1960.11.23 近代映画協会、白黒、横長サイズ
監督・脚本:新藤兼人
出演:殿山泰司、 乙羽信子、田中伸二、堀本正紀

瀬戸内海に浮かぶ小島、
段々畑が美しい。
几帳面に作られた精緻な等高線。段々畑の等高線。
海抜0mの海岸線から、しつこく、しぶとく作られている。
誰が作っているのだろう。誰の作品だろう。

毎年毎年、毎月毎月、毎週毎週、毎日毎日、毎時毎時、
黙々と船を漕ぎ、
黙々と水の入った桶を天秤棒で担ぎ、
黙々と坂を登り、
黙々と1つ1つの芽にじわっと、ゆっくり水をやります。
しつこくて、しぶといです。

こんな映画の題材になる人達、
こんな映画に出る人達、
こんな映画を作る人達、
こんな映画を観る人達、
みんな、しつこくて、しぶといです。
06.04.22 NFC
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悲しみは女だけに

2006-04-20 | 邦画
悲しみは女だけに  ☆☆
1958.02.26 大映(東京撮影所)、白黒、普通サイズ
監督:新藤兼人、脚本:新藤兼人、原作:新藤兼人「女の声」
出演:田中絹代、京マチ子、小沢栄太郎、船越英二、水戸光子
   望月優子、杉村春子、乙羽信子

自分の生い立ちを反映させて、新藤兼人が劇団民芸向けに書いた
戯曲の「女の声」が原作。舞台劇っぽく演出しています。

あっさりとしたブラウスと飾り気の無いスカート。
久しぶりに家に戻った京マチ子。
ふてくされています。
何も言わない、何もしゃべらない。
にらんでいるだけ。
天井を突き刺すように。
自分の心に何か突き刺さっているかのように。
無言です。

いつも明るく、元気で一所懸命な田中絹代。
悲しい事、苦しい事が多いけど、
めげずに、しぶとく、働き続けてまいりました。
せめて故郷の墓参りにと、米国より30年振りに戻ってまいりました。
久しぶりに会う家族、始めて会う家族。

没落していく家の、家族の思いは、それぞれ。
交差して交わる事はありません。
女たちに突き刺さる苦しみも、消え去る事がありません。
06.04.16 NFC
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