二銭銅貨

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蝶々夫人/東京文化会館(二期会)2014

2014-05-10 | オペラ
蝶々夫人/新国立劇場(二期会)2014

作曲:プッチーニ 、指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ
演出:栗山昌良
演奏:東京都交響楽団
出演:蝶々さん:木下美穂子、ピンカートン:樋口達哉
スズキ:小林由佳、シャープレス:泉良平

桜の咲く頃に恋をして、
桜の散る頃に自害する。
子別れに気持ちを切り裂かれ、
絶望の淵を覗き込み、
不安と恐怖、
衝撃と錯乱から回帰して、
それでも
やっぱり死んでしまう。
死ぬまぎわに子供を抱いて、
それから急いで死んでいった。

プッチーニの音楽は桜色。
強く美しく蝶々さんを支える情熱と、
やさしいうねり。

死んだはずの蝶々さんは、
カーテンが再び開いたときには、
打ち掛け姿で端正に、
綺麗に羽織った形でこちらを向いて、
正座して、
そしてほほが濡れて、ないている。

後で舞台に指揮者を呼んで抱き合うときに、
ルスティオーニが軽くほほをぬぐっていた。

木下美穂子は美しい。
少し声が震えて、
控えめで情熱に彩られて、
声がオペラハウスに響く。
蝶々さんの強靭は、
良く伸びて安定した強い声。

14.04.27 東京文化会館
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ヴォツェック/新国立劇場13-14

2014-05-04 | オペラ
ヴォツェック/新国立劇場13-14

作曲:アルバン・ベルク
指揮:ギュンター・ノイホルト
演出:アンドレアス・クリーゲンブルク
演奏:東京フィル
出演:
ヴォツェック:ゲオルク・ニグル
マリー:エレナ・ツィトコーワ
鼓手長:ローマン・サドニック
大尉:ヴォルフガング・シュミット
医者:妻屋秀和

舞台全域に広く水が張ってあり、その上に四角い部屋がある。これが下に降りて前面にある時は水は見えない。後ろに下がって上にあがると水が見えて、そこを人々が動き回ったり寝転んだりする。黒い衣裳の人々が出て来て色々なマイムをするが、どうもこれはヴォツェックの内面を表現しているようだ。最後の方に登場する少年たちも黒い衣裳。一方、合唱団は猫背、肩のあたりが黒くくすんだカーキ色の衣裳で、髪が半分抜けたような頭髪。全員同じ。大尉はひどく太って声が高く変な動きでおかしい。医者はコルセットとストッキングのようなもの見につけて倒錯。足が不自由。それぞれがボールド。

下層のどろどろの社会、あるいはその心の中。本能の絶叫。

最後は子供がナイフを片手にこちらを向いているシーン。怖い。子供はマリーとヴォツェックの子で、ナイフは(記憶がさだかで無いが)父が母を刺したナイフで、沼から拾ってきたもののように思う。

ニグルは丁寧できれいなテノール。ツィトコーワは強い安定したメゾで美しい。シュミットは裏声のような潰れた高音でレチタティーボっぽい歌い方。役柄にあわせた声と歌なのだろう。

14.04.13 新国立劇場
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