二銭銅貨

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ジュリオ・チェーザレ/新国立劇場(二期会)2015

2015-06-02 | オペラ
ジュリオ・チェーザレ/新国立劇場(二期会)2015

作曲:ヘンデル、指揮:鈴木秀美
演出:菅尾友
演奏:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ
出演:チェーザレ:成田伊美、クレオパトラ:高橋維
   セスト:田川聡美、コルネリア:土屋優子
   トロメーオ:小林紗季子、アキッラ:加耒徹
   クーリオ:白岩洵、ニレーノ:濱野奈津美

耳が三角に横に飛び出して、RPG風のキャラにメイクに衣裳。舞台は回り舞台で3箇所くらいに区切られている。各区画の枠にはヒエログラフ風の絵文字がギッシリ満員。舞台は単純な作りだが、ここにプロジェクションマッピングで動く模様を映し出して表情を変えている。舞台はずーっと、ほとんどの場面で廻りっぱなし。区画ごとに情景や構図、表情が変化して飽きさせないようにしている。各区画は漫画のコマ割りのようでもあり、また横スクロールのゲーム画面のようでもあった。

合唱団は表に出ず、数人のワニの被りものをしたダンサー達が様々な黙役の役割を演じていた。この人達は開演前や幕間でも舞台の前でいろいろとパフォーマンスをして観客を楽しませていた。舞台の最初で、モデル人形から登場人物を発生させ、最後には逆戻りさせていたので、登場人物はワニさん達に操られている人形という設定だったらしい。舞台転換のある場面では、チェーザレとワニの被りものをしたダンサー数人が舞台に下りて来て、歌い踊るファンサービスもあった。

カストラートあるいはアルトの部分が全員メゾだったので、メゾが多め、女性主体のキャスティングとなった。チェーザレの成田は良く通る美しい声で、身長もあってカッコいいズボン役。やや宝塚的雰囲気。元気が良い。コルネリアの土屋はソプラノらしいが、低い声が強くしっかり出ていた。メゾもソプラノもできる人らしい。トロメーオの小林は役柄が悪漢だけれども、低い声が美しい。女性にはむずかしい悪漢の役だったけれども頑張って、それなりの変態男には見えた。セストの田川は高い美しい声でメゾが多い中に目立っていた。きびきびしたボーイソプラノな感じのズボン役。ソプラノのズボン役はめずらしい。ニレーノの濱野は、ほとんど歌は無いものの、重要な役柄を頑張って舞台を盛り上げた。クレオパトラの橋は張りのあるいい声で、コロラトゥーラもばっちり決まって良かったし、高速全開元気溌剌で楽しかった。役柄的にはいまどきの女子高生あるいは女子高生バンドのボーカルみたいな感じの演出だった。かつらのやや紫がかった青が印象的だった。加耒は役柄には似合わず美しい声のバリトンで好青年。

演奏は古楽器を使った本格的なもので今回の公演のために編成されたもの。迫力は無いものの、古い感じの素朴さと、今どきのゲームあるいはアニメっぽい演出とのアンサブルは面白かったと思う。このオペラはかなりポップなので、こういう演出が良く似合う。歌は全体にアジリタの部分が皆、大変そうだったが、とにかく頑張ってなんとかしようとしていた。かなりハードに動く演出だったので、こうした声の表現を完遂することは一層難しいんだろうと思ったけれど、手を抜かずに頑張ってチャレンジしているように見えた。

重唱ではコルネリアとセストの重唱、最後のチェーザレとクレオパトラの重唱が良かった。特にラストの重唱は聴き所だと感じた。あっさりめの演出で最後の合唱が盛り上がりに欠けたけれども、その故もあったのか、最後の重唱の美しさが特に印象に残った。「嵐で難破した船」では3つぐらい場面転換があった。最初がベッドの上、次が机の上でコロラトゥーラの所でマシンガンを撃ちまくる場面、最後がサーフィン風の振り付け。

なんでもありのハチャメチャ演出。クレオパトラが面白かった。

15.05.24 新国立劇場、中劇場
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15国立劇場5月/祇園祭礼信仰記、桂川連理柵/文楽

2015-06-01 | 歌舞伎・文楽
15国立劇場5月/祇園祭礼信仰記、桂川連理柵/文楽
(第2部)

祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)
金閣寺の段
爪先鼠の段
     
桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)
六角堂の段
帯屋の段
道行朧の桂川(おぼろのかつらがわ)

二代目吉田玉男襲名披露公演
玉男は桂川連理柵の帯屋長右衛門を遣った。口上は1部で行われ、会場ではその録画がディスプレイで上映されていた。

祇園祭礼信仰記の雪姫は清十郎。気丈でややアクティブな感じのお姫様。玉佳の十河軍平がくるくると良く動いてコミカルだった。鼠の出る所と最後の金閣寺を登っていく場面が見せ場。

桂川連理柵では玉男の長右衛門がずっとうつむき加減。じっと耐えて哀れで哀れで哀しい。寂しい。心の支えがお半なんだろうけれども、それがこの悲劇の原因なんだから、これはもうどうにも解決の無い方程式。やり場の無い、解の無い方程式。こうしたうつむき加減の我慢、持久が二代目玉男の持ち味の1つかと思う。

母のおとせの鬼婆ぶりは文昇、父繁斎の沈黙ぶりは勘壽、弟の儀兵衛は良く動くコミカルな悪役で蓑二郎、妻のお絹はしっかりもので和生、隣屋のお半は未熟で情熱的な娘で勘十郎が遣っていた。蓑助は長吉の後半部分を短いながらも大振りに舞台を動き回って、帯屋の段の前半部分を盛り上げていた。鼻たれ小僧の垂れた鼻水が、緑色の短い棒で出たり入ったり。大笑い。

15.05.17 国立劇場
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