二銭銅貨

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静と義経/新宿文化センター(日本オペラ振興会)2019

2019-03-30 | オペラ
静と義経/新宿文化センター(日本オペラ振興会)2019

作曲:三木稔、指揮:田中祐子、演出:馬場紀雄
美術:鈴木俊朗、衣裳:飯塚直子
演奏:東フィル
出演:静:坂口裕子、義経:中井亮一、頼朝:森口賢二
   弁慶:泉良平、磯の禅師:向野由美子、政子:家田紀子

1993年に鎌倉芸術館のこけら落としでの初演があって以来の再演。なかにし礼の台本によるもの。

舞台は中央に階段があって上に登れるようになっているセットが照明などの効果によってイメージを変えつつ最後まで使われた。中央壁面には大きな丸い銅鑼のようなものがしばしば現れた。その銅鑼のようなものは、義経の時はそのままで、頼朝の時は右下になにかしらの模様のようなものが付着していた。衣裳も舞台もオーソドックス。

音楽、歌、衣裳などに、能や歌舞伎、和歌など日本の古典から採ったと思われる様式が多用されていた。和歌固有の節回しが演奏される音楽に自然とマッチしていた。七五調は、日本語のメロディーを作る上では相性が良いのかも知れない。

琴と鼓が多用されていることも特徴だった。琴の演奏者はピット内で大忙し。鼓については、歌舞伎などで有名な初音の鼓ということで舞台上でも初音の鼓が登場した。

坂口はクリアで強いソプラノ。中井は端正でおとなしい感じ。森口は鋭い切れ味で、シャープな悩める悪党を良く演じていた。頼朝ご本人がどうであったかは知らないが、劇中では頼朝は悪党だ。泉は弁慶っぽい扮装が良く似合っていた。向野はメゾで坂口の母親役だけど、坂口と声も見た目も区別があまりつかない。いい声をしている。家田は気迫のある役をうまく演じていた。

演奏はダイナミックで劇的だった。

19.03.02 新宿文化センター
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アドリアーナ・ルクヴルール/MET18-19舞台撮影

2019-03-25 | オペラ
アドリアーナ・ルクヴルール/MET18-19舞台撮影

作曲:フランチェスコ・チレア、指揮:ジャナンドレア・ノセダ
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
美術:Charles Edwards、衣裳:Brigitte Reiffenstuel
出演:
アドリアーナ:アンナ・ネトレプコ
マウリツィオ:ピョートル・ベチャワ
ブイヨン公妃:アニータ・ラチヴェリシュヴィリ
ミショネ:アンブロージョ・マエストリ
ブイヨン公爵:マウリツィオ・ムラーロ
僧院長:カルロ・ボージ

オーソドックスな舞台と演出。ベリズモに分類されるオペラらしいが古典的な感じもある。

アンナは強力。劇中劇の舞台上で歌う、ほとんどセリフのような、したがってレティタティーボのような歌唱に超絶な気迫がみなぎり、これが一番の見せどころだと感じさせた。ベチャワは難なく良いテノール。ラチヴェリシュヴィリもまたアンナに負けず劣らず気迫がみなぎる。この女声2人の睨み合いがこのオペラの肝なのかと思った。

19.02.24 横浜ブルグ13
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紫苑物語/新国立劇場18-19

2019-03-17 | オペラ
紫苑物語/新国立劇場18-19

作曲:西村朗
指揮:大野和士、演出:笈田ヨシ
美術:トム・シェンク、衣裳:リチャード・ハドソン
演奏:東京都交響楽団
出演:
宗頼:髙田智宏、平太:大沼徹、うつろ姫:清水華澄
千草:臼木あい、藤内:村上敏明、弓麻呂:河野克典、父:小山陽二郎

金属板が激しく腐食したような舞台の床面はオレンジ系の色のものと緑系の色のものの2種類が場面に応じてそれぞれ用いられた。舞台上のセットは骨組みだけの棚が2個使われた程度で、どちらかと言えば簡素な造りだった。鏡面反射する素材を使った衝立のようなものを使って指揮者や観客を見せる演出もあった。集団には個々に振付が細かくなされていて、全体としては不統一感を出すように工夫されていた。

新作初演。話の筋はちょっと分かりにくかった。音楽的には、演奏者にとっても観衆にとっても難易度の高い作品だったようだ。おそらく歌手の皆さんは苦労したのではないかと思う。音楽も演出も前衛的であった。

高田、大沼は真面目な感じ。清水は強力で、ねばりや太さが感じられる声。臼木は夜の女王のような高速高音のアリアを難なくクリアしていた。村上は喜劇役者としての芝居が面白かった。

19.02.17 新国立劇場、オペラパレス
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ラ・トラヴィアータ(日本オペラ振興会)2019

2019-03-09 | オペラ
ラ・トラヴィアータ(日本オペラ振興会)2019

作曲:ヴェルディ、指揮:佐藤正浩
演出:粟國淳、美術・衣裳:アレッサンドロ・チャンマルーギ
演奏:東フィル
出演:ヴィオレッタ:光岡暁恵
   アルフレード:中井亮一
   ジェルモン:上江隼人

額縁が多用された舞台。大きな額縁が舞台に2~3個あって、それらにはスクリーンが張られている。スクリーンには絵が描かれているが、照明によってはそれが透けて、向こう側が見えるようになっている。そのほか舞台上手には大きな壁があり、そこには壁いっぱいに数々の絵が飾られている。昔のパリの画廊風。衣裳はその時代を思わせる豪華なもので美術と良くアンサンブルしていた。1つの額縁にヴィオレッタの肖像画が描かれていて、ほとんどの場面にそれが登場している。

最期、パリの街が淡く背景に登場し、夕方か早朝の暗い景色の中、空が少し光輝いている。ヴィオレッタにはもう痛みも悲しみが無い。やっぱりヴィオレッタは死なずに天使になったんだ。そんな訳ないだろと思いつつ、やっぱり感動的で、トラヴィアータの最期って面白いと思う。

パーティの場面では男女2人のバレエダンサーによるバレエが使われた。かなり本格的な振付で良く動いていた。ダンサーは竹内菜那子(谷桃子バレエ団)と渡邊峻郁(新国立劇場)。渡邊峻郁は渡邊拓朗(新国立劇場)からの変更。

演奏は優しくゆったりとした感じ。

光岡は声が美しく、ヴィオレッタの強さもあった。最期まで歌い切ってカーテンコールではやや泣き顔だった。中井は端正。上江は重厚。

19.01.27 東京文化会館
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