二銭銅貨

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ドン・ジョヴァンニ/国立音大2016

2016-10-28 | オペラ
ドン・ジョヴァンニ/国立音大2016

作曲:モーツァルト、指揮:秋山和慶
演出:中村敬一、演奏:国立音楽大学オーケストラ
装置:鈴木俊朗、衣裳:半田悦子
出演:ドン・ジョヴァンニ:村松恒矢、エルヴィーラ:内田千陽
   レポレッロ:大島嘉仁、騎士長:狩野賢一
   ドンナ・アンナ:藤原千晶、オッターヴィオ:吉田連
   ツェルリーナ:三浦梓、マゼット:小山晃平

内田は良く声が出てレティタティーボをしっかり歌うような感じだった。マイムや表情の芝居にメリハリがあった。2幕目終盤の「あの人でなしは私を欺き」を強くしっかり歌った。これは心の内を歌う演劇性のあるアリア。藤原はある程度ストレートな美しい声で強さがある。エルヴィーラのすこし後の「むごい女ですって」を美しく歌った。これは透明感のあるアリア。三浦も強いソプラノ。各2重唱を強めに歌った。芝居も強い感じ。マゼットのタジタジ感が強調されていた。村松は堂々と強い感じのドン・ジョヴァンニ。大島は優しい感じのレポレッロ。吉田は器楽的な声で透明感のあるテノール。しっかりとした芝居と歌だった。

演出や美術などはおそらく前回の2012の時と同じ。前回のメモによると、前回の柱の色は白だったらしいが、今回は暗い紺の石造りをイメージしたもの。マイムとか表情とかが精密に設計されているなと感じたし、演者も歌だけでなくマイムやレティタティーボがしっかりしていた。

演奏は時々、豪華な感じが聞こえて力強く迫力のある演奏だった。歌手とのアンサンブルも良かった。

バンダに人数をそろえて、弦と木管による演奏を行った。衣装はワインレッドに多分金の縁取りのあるようなかわいい衣装。チップをもらうシーンなどの演技もするようになっていて、臨場感のあるとても楽しい演出だった。

16.10.16 国立音楽大学講堂大ホール
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コジ・ファン・トゥッテ/芸大2016

2016-10-23 | オペラ
コジ・ファン・トゥッテ/芸大2016

作曲:モーツァルト、指揮:村上寿昭
演出:ミヒャエル・テンメ、演奏:藝大フィルハーモニア
装置:鈴木俊朗、衣裳:西原梨恵
出演:フィオルディリージ:牧野元美、ドラベッラ:本多都
   グリエルモ:Chen Jin Shin、フェランド:持齋寛匡
   デスピーナ:安江秋、ドン・アルフォンソ:伊藤純

牧野はクリーンで力のあるソプラノ。「岩のように」と25番のロンドはしっかりと美しく歌われた。これがコジの主力の2曲なのだと感じられた。本多は安定したメゾで牧野との重唱が美しかった。ソプラノとメゾのアンサンブルの美しさが良く響いていた。伊藤は落ち着いたベテランな感じのアルフォンソで、安江はめりはりのある強いソプラノ。元気がいい。Shinは堂々としたバリトンで安定している。持齋は真面目な印象のテノール。芝居に一生懸命な感じが伝わった。

舞台奥に向かって傾斜のある黒い台以外に装置はなく、舞台奥の壁の照明もグラデーションのかかったほぼ単一色の構成で、極めてシンプルな舞台。現代イタリアをモデルにした演出で、軍は国連軍。変化する衣装と人の動きやマイムで舞台を作っていた。装置や小道具を最小化することで逆に現代人の活発な生活感を浮かび上がらせていた。とても現代的なコジ。

演奏は元気よく歯切れよく、びしっと決まっていた。

16.10.09 芸大奏楽堂
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コジ・ファン・トゥッテ/昭和音大2016

2016-10-22 | オペラ
コジ・ファン・トゥッテ/昭和音大2016

作曲:モーツァルト、指揮:大勝秀也
演出:マルコ・ガンディーニ、演奏:昭和音楽大学管弦楽団
美術:イタロ・グラッシ、衣裳:アンナ・ビアジョッティ
出演:フィオルディリージ:石岡幸恵、ドラベッラ:宇津木明香音
   デスピーナ:中桐かなえ、フェランド:工藤翔陽
   グリエルモ:田村洋貴、ドン・アルフォンソ:Yang Yi

装置として用いられた壁は去年のものを一部改変して用いたと思われるものだった。従って2012年の藤原歌劇団の公演のもの。装置も長生きでうれしい。壁に書いてある字は、"Mozzes del ????"のような感じになっていて、多分、"La Nozze di Figaro"を改変したらしく、美術の人も苦労しているなと思った。奥の壁には古い書籍の図版のコピーらしきものが壁いっぱいに拡大されて使われていて、どうやって作ったのかが気になった。広告作成用のインクジェットプリンターだろうか、いろんな技術が使われているのも楽しい。

石岡はパワーのあるクリーンな声。少し重め。工藤は軽めの声だが石岡同様に強さと透明さがあり、声質が似ていて重唱の歯切れ良い感じのアンサンブルが良かった。宇津木は低めの声のメゾで、田村とYiは真面目な感じのバリトンとバス。中桐は元気良いソプラノ。

演奏はゆっくりとして優しい印象。

Yang Yiは上海音楽学院との交流プロジェクトによる参加。

16.10.08 テアトロ・ジーリオ・ショウワ
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16国立劇場9月/一谷嫩軍記、寿式三番叟/文楽

2016-10-10 | 歌舞伎・文楽
16国立劇場9月/一谷嫩軍記、寿式三番叟/文楽

(第1部)
一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
初段  堀川御所・敦盛出陣
二段目 陣門・須磨浦・組討・林住家
(第2部)
寿式三番叟 (ことぶきしきさんばそう)
一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
三段目 弥陀六内・脇ヶ浜宝引・熊谷桜・熊谷陣屋

熊谷陣屋は、相模が清十郎、藤の局が勘彌。清十郎は動きが直線的に決まってシャープに美しい。きりっとした相模。勘彌はいくらか曲線的で柔らかく滑らかに美しい。うつむき加減の静止した姿が綺麗だ。2人の競演が良かった。熊谷直実は勘十郎は大きくピッタリ決まって「おみごと」な感じ。

寿式三番叟では2人の三番叟が激しく踊りまくって、ご苦労さん。面白く楽しかった。

16.09.19 国立劇場
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ロベルト・デヴェリュー/MET15-16舞台撮影

2016-10-09 | オペラ
ロベルト・デヴェリュー/MET15-16舞台撮影

作曲:ドニゼッティ、指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:
エリザベッタ(エリザベス1世):ソンドラ・ラドヴァノフスキー
ロベルト(ロバート・デヴァルー):マシュー・ポレンザーニ
サラ:エリーナ・ガランチャ
ノッティングハム公爵:マリウシュ・クヴィエチェン

ソンドラ・ラドヴァノフスキーは高音も低音も良く出て、メゾとソプラノが同居しているような声だった。迫力があって高低どちらも崩れず美しい。この役は音域の広い相当レベルの高い人でないとこなせそうもなく、そこが難しいオペラなのかも知れない。

声やメロディーの美しさとメイクの醜さがとてもミスマッチで違和感がある。でもそれは多分、演出家の狙いだったのであろう。ドニゼッティは、女王を堂々とした美しい女性として描いていたのではないだろうか。しかし、それではつまらない。幾分歴史的事実を誇張して演出したのかも知れない。ぎこちない動きや極端に白いメークで女王の老いを強調した演出は、「老い」ということにフォーカスしていたのかも知れない。若い2人の恋愛の活力に対比して、権力だけは十二分にあるものの肉体的には滅びつつあるエリザベス一世を表現していた。でも、声と歌は美しく、そして死の直前のエリザベスの唇は真っ赤だった。

他のソリストも全員迫力に満ちて、演奏ともどもアスリートが全力で走り切っているような印象だった。

美術は広間のような場所を1つだけ使って、装置を変えない演出だった。衣裳も美術も重厚。

16.09.18 東劇
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