二銭銅貨

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コジ・ファン・トゥッテ/ヴィッラ・ディ・ムジカ2011

2011-09-09 | オペラ
コジ・ファン・トゥッテ/ヴィッラ・ディ・ムジカ2011

作曲:モーツァルト、演出:飯塚励生
指揮:矢澤定明、演奏:ヴィッラ・ディ・ムジカ
出演:
フィオルディリージ:黒澤明子、ドラベッラ:鈴木涼子
フェルランド:与儀巧、グリエルモ:星野淳
デスピーナ:前川依子、アルフォンゾ:細岡雅哉

ホールオペラで美術は特になし。衣裳は多分、米国の大学と思われるような設定のもの。演奏は室内楽の構成でチェンバロ付き。チェンバロは小埜寺美樹。演奏は、弦楽器がよく歌にアンサンブルしていたように思った。歌手はそれぞれ個性的で、特に後半の4人の独唱が続く部分では、それぞれの個性が際立っていた。アンサンブルではフィオルディリージとフェルランドのものが良かった。

黒澤明子は前半はややぎこちない感じだったが、中盤以降は強さが出て良いソプラノになった。終盤に歌われる25番ロンドは強弱のメリハリが良く出て、気合の入った歌唱だった。フィオルディリージの引き裂かれた気持ち、苦悩が良く表現されたいた。鈴木涼子は安定したメゾで、最初から最後まで安定していた。与儀巧(よぎ・たくみ)は安定した強いテノールで、真面目な声の感じ。星野淳は大胆なバリトンでフィガロっぽい特徴。前川依子は仕草も歌も可愛らしく、大学に紛れ込んだ高校生のアルバイトっていう雰囲気だった。細岡雅哉は本当に大学の先生っぽい感じ。信頼感のあるバスだった。

歌手の皆さんの気迫が強く感じられた。

11.08.28 第一生命ホール
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魔笛/二期会2005舞台撮影

2011-09-08 | オペラ
魔笛/二期会2005舞台撮影

作曲:モーツアルト
演出:実相寺昭雄
指揮:下野竜也
出演:パミーナ:井上ゆかり、タミーノ:望月哲也
   夜の女王:飯田みち代、ザラストロ:黒木純
   パパゲーノ:萩原潤、パパゲーナ:若槻量子

二期会のウェッブの公演記録によると、これ以前に実相寺昭雄演出の魔笛があるらしく、この2005年の公演は再度の演出で新演出だったらしい。

録音のせいなのか、録画機材のせいか、施設のせいなのか分からないが、音が悪かった。特に音量の大きなところで音が割れていた。

望月哲也は張り切って若々しく、萩原潤は芝居が面白く、井上ゆかりは強い張りのあるソプラノだった。

演奏は力強かった。張りのある弦楽器の演奏が気持ち良く、パミーナとタミーノの試練の場でのフルートは滑らかで安定していた。

カーテンコールでは実相寺昭雄監督も舞台に呼ばれて皆と一緒に拍手に応じた。舞台でカーテンコールを受けるのに慣れていないようで、とても恥ずかしそうに控えめにしていた。でも、素晴らしい演出だった。

2005.03.05新国立劇場での公演

11.08.27 川崎市市民ミュージアム
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カプリッチョ/MET10-11舞台撮影

2011-09-07 | オペラ
カプリッチョ/MET10-11舞台撮影

作曲:R.シュトラウス
演出:ジョン・コックス
指揮:アンドリュー・デイヴィス
出演:マドレーヌ:ルネ・フレミング
   音楽家フラマン:ジョセフ・カイザー
   詩人オリヴィエ:ラッセル・ブローン
   演出家ラ・ローシュ:ピーター・ローズ
   歌手クレーロン:サラ・コノリー
   兄:モルテン・フランク・ラルセン

美しくうねうねと奏でる重奏の中に、青を基調としたフレミングの衣裳が美しく柔らかく、理性的で清涼な印象。マドレーヌの情熱は熱くクール。緩く揺れながらフレミングの芝居が続く。音楽と詩と両方に愛されて、両方を愛し、何か空中で締め付けられているかのように歌う。歌はその情熱を開放するようにパワフルで幸せそうだ。それにしてもフレミングはこの役にぴったり合ってる。青く燃える炎。

音楽が先か、詩が先かの議論を中心に置いて、オペラをネタにした登場人物による議論そのものを歌にしたオペラ。いわゆる楽屋オチという感じの仕立て。

最初の弦楽六重奏はいくらか調子が出ていない感じだったが、最後の月光の曲のあたりは美しいオーケストラになっていた。

11.08.16 東劇
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暁の脱走

2011-09-03 | 邦画
暁の脱走 ☆☆
1950.01.08 新東宝、白黒、普通サイズ
監督・脚本:谷口千吉、脚本:黒澤明、原作:田村泰次郎
出演:池部良、山口淑子、小沢栄、伊豆肇、田中春男
   若山セツコ、利根はるゑ

草木一つ無い、
砂漠のような華北の平原の真ん中で、
2人は倒れ、
愛に無念を残し、
涙を呑み、
無残を越え、
手を取りたくて、
近づいても、
それは叶わない。

小沢栄の悪辣が空に冴え渡り、
その激高が天をつらぬく。
機銃の音がこだまし、
将校の威厳がそびえ立つ。
それでも、
その事が成就した後、
いくらかの、
一抹の淋しさがその表情に伺える。

11.08.21 神保町シアター
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土と兵隊

2011-09-02 | 邦画
土と兵隊 ☆☆
1939.10.15 日活、白黒、普通サイズ
監督:田坂具隆、脚本:笠原良三、陶山鉄、原作:火野葦平
出演:小杉勇

行軍、
沼地や雨の中を、
黙々と歩く足、
足音、
ガチャガチャ装備の擦れる音、
銃の音、
大砲の遠吠え、
車輪の音。
無言の隊列。
小走りの兵隊さん。

小銃、軽機関銃、重機関銃、迫撃砲、大砲、手榴弾、爆弾、架橋用の装備、星型空冷エンジンの複葉機、直列水冷エンジンの複葉機など当時の兵器や、トーチカ攻略、鉄条網突破、渡河、様々な行軍形式など陸軍カタログのような映画。一方で、兵隊さん達の黙々とした姿を黙々と描いてもいて、それが現代でも評価されている理由なのだろう。小杉勇の分隊長が頼れる優しい隊長。撮影は従軍して撮ったものもあるらしく、全体にドキュメンタリー・タッチで迫力がある。戦闘場面で兵隊達の駆け足の移動を追っかけて撮影するシーンなど、迫力に満ちた映像であった。全編、戦闘と言って良く、ブラックホークダウンとか戦争と平和の第三部などと同じだと思った。

11.08.21 神保町シアター
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