二銭銅貨

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新・平家物語

2006-12-20 | 邦画
新・平家物語  ☆☆
1955.09.21 大映、カラー、普通サイズ
監督:溝口健二、脚本:依田義賢、成沢昌茂、辻久一、原作:吉川英治
出演:市川雷蔵、久我美子、林成年、木暮実千代、進藤英太郎

吉川英治の英雄伝説の映画化は、
若い平清盛の活躍を描きます。
俯瞰的な平安末期の市の群集の中に、
欲望と怒りと恨みが渦巻いて、
どろどろとした人々が、
めいめいの情動のままに、うごめいています。
そんな渦巻きの中から平清盛は生まれて来ました。

総天然色は美しく、無理なく無駄なく、
自然なダイナミックな物語を色づけています。

山の中に、湧いて出て来た僧兵たちは、うじゃうじゃ居て、
手に手になぎなたを持ち、声を合わせて気勢をあげています。
たいまつの列、なぎなたの列、暴力と軍事力の凄みを
多数のエキストラで表現しています。
寺に集まる僧兵。トキの声を上げる僧兵。

久我美子はまじめにしっかりと夫を支えています。
市川雷蔵は悩みながらも一歩一歩を、
リスクを取りながら、前進して行きます。
青い空と白い雲が、二人を見つめています。

上映プリントは近年フィルムセンターがデジタル技術による色彩復元を行った版だそうで、美しく鮮やかであった。
06.12.10 NFC
コメント (2)
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藤原義江のふるさと

2006-12-12 | 邦画
藤原義江のふるさと ☆☆
1930.03.14 日活、白黒、普通サイズ
監督:溝口健二、脚本:如月敏、原作:森岩雄
出演:藤原義江、夏川静江、田村邦男、小杉勇、土井平太郎、
   村田宏寿、浜口富士子

戦前、戦後にかけて有名だったテノールの歌手である藤原義江をモデルに、彼自身が主演する映画。ほとんど、藤原義江の歌ばかりという音楽映画で、クラシックの歌い方。溝口健二の初トーキー、しかし、トーキーと言っても全部ではなく、1/2か1/3がトーキー化されているだけ。音質は良くなく、俳優たちも1語1語丁寧に、舞台のように発話していた。寒いところで撮影したらしく、部屋の中のシーンなのに、吐く息が白い。昔は大変だったんだなあと思う。

夏川静江のかいがいしく働く姿、
まっすぐ前を見据える眼、
地味で質素な着物、
仕事する手。
それを助けるまん丸の顔と体をした田村邦男。
純で無垢な少女とピエロのような優しいお兄さん。
定番の演出とはいえ、いいコンビネーションです。
06.12.03 NFC
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武蔵野夫人

2006-12-11 | 邦画
武蔵野夫人  
1951.09.14 東宝、白黒、普通サイズ
監督:溝口健二、脚本:依田義賢、原作:大岡昇平
出演:田中絹代、森雅之、片山明彦、轟夕起子、山村聡、進藤英太郎

取りすました、
気取った雰囲気の中で、
溝口健二がねこを被っている。
いつものクレーンでのダイナミックな構図や
カメラワークは随所に見られますが、
ねちっこさ、ねばっこさ、強さ、辛さは
あまり強く出ていません。

田中絹代は武蔵野夫人、
武蔵野、そのもの。
やさしくて、清潔で、自然にのびのびと、
あるがままに素朴に生きています。
そういう純で無垢な役です。

失われつつある武蔵野の自然への惜別。

大岡昇平のやや理屈っぽい物語を背景に、
人々の茨のような心を写し取ろうとする溝口健二、
健気さを健気に演じようとする田中絹代。
三人三様といった感じのする映画です。
06.12.02 NFC
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恋や恋なすな恋

2006-12-10 | 邦画
恋や恋なすな恋  ☆☆☆☆
1962.05.01 東映、カラー、横長サイズ
監督:内田吐夢、脚本:依田義賢
出演:大川橋蔵、瑳峨三智子、日高澄子、小沢栄太郎、加藤嘉

平安朝のゆったりとした流れ。
素朴な心、
あざやかな衣装、
深い緑、濃い紅色、白に紺。
朱に染まる物語は幻想。

恋を裂かれ、身を裂かれ、
こころを裂かれる、阿部の保名。
胸を締め付けられ、頭がきりきりし、
野をさすらい、草に倒れ、
花にうずもれて、蝶のように遊び、
布のように空をさまよう。

山吹色のすすきの原。
明るく黄色に染まる花畑。
薄赤模様の衣装を羽織る保名。
「榊の前」の衣装。
狂気を演じ、悲しみに舞う。
しなやかに、ゆっくりと、
人形になりきり、浄瑠璃になりきる。
「榊の前」への思い。

子供への愛。
断ちがたく、それでも、覚悟のことだったから、
体を引き裂くような思いを押しとどめて、
冷静に、冷静に、罰を受ける覚悟の、
「おこん」。
妻の気持ち、母の心、別れの運命。

「榊の前(さかきのまえ)」、
「葛の葉(くずのは)」、
「おこん」、三役の瑳峨三智子。

人形浄瑠璃の『芦屋道満大内鑑』に、清元の古典『保名狂乱』を加え、再構成した、いわば人形浄瑠璃と歌舞伎の映画化。いろいろ工夫して、ただのコピーでは無い作り。不自然ではなく、全く新しい映画として成立しているように思う。特に色彩に優れ、美術、衣装、結髪、照明、カメラ、アニメなどスタッフの仕事が優れているように思う。クレジットに富士フィルムとあり、何かフィルムにも特別な配慮でもあったのであろうか。とにかく、コマーシャルじゃありませんが、色があざやか。
06.12.01 シネマヴェーラ渋谷
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戦争と平和(ボンダルチュク)

2006-12-08 | 洋画
戦争と平和(ボンダルチュク) 
War and Peace
1965 ソ連、カラー、横長サイズ
監督・脚本:セルゲイ・ボンダルチュク、
脚本:ワシーリー・ソロビヨフ、原作:トルストイ
出演:リュドミラ・サベーリエワ、セルゲイ・ボンダルチュク
   ヴァチェスラフ・チーホノフ

第1部から第4部まで一気に見ました。

戦闘場面に迫力がある。規模が大きいのと、リアリティ。仏軍の行進、砲弾の炸裂、倒れる兵士、疲弊する砲手、死体の海、躊躇するナポレオン、疾駆する騎兵、放浪するピエール、裸馬の群れ、この裸馬の群れがすごい。兵士の数も半端じゃ無い。戦場の広さも半端じゃない。第3部は全部戦闘。戦争しているみたいな映画だ。

白い壁、何も無い大きな部屋、病人、看護する女性、夢、まぼろし、小さな人、大きな扉、森閑とした映像、静寂の白。平和の場面も気合が入っています。大きなダンスフロアーをかけ巡るダンス、ワルツ、衣装。これは社交界の戦場か?純粋で無邪気な少女のナターシャと、女性として苦悩するナターシャ。可愛く、美しく、高貴に。踊る。

青空の雲々を次々に抜けて行く、空撮の場面から始まる超大作。冷戦時代の国の威信をかけた映画。文芸大作として極力プロパガンダ的なものは避けている様子は伺えるが、それでも所々にそういう感じの部分があって、背後にある国家的圧力を感じないわけにはいかない。しかし、それにしても、これだけの映画はめったに出来るものでは無い。かかわる人々の集中力、資金の豊富さ、人材。当時だからこそ出来た映画であろう。どうしてもオードリ・ヘップバーン、メル・ファーラー、ヘンリー・ホンダの米国版と比較したくなってしまう。この映画自体に米国版を越えると言う、強い意思があったのではなかろうか。なしろ東西冷戦時代のことであるから。確かに、映画の作りとしては圧倒している。

でも、私はオードリーの米国版が好きです。
06.07.29 NFC(1部-4部)、65 映画館(4部のみ)
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