二銭銅貨

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夢遊病の女/新国立劇場2024

2024-10-25 | オペラ
夢遊病の女/新国立劇場2024

作曲:ベッリーニ
指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:バルバラ・リュック
美術:クリストフ・ヘッツァー
衣裳:クララ・ペルッフォ
演奏:東フィル
合唱:新国立劇場合唱団
出演:
アミーナ:クラウディア・ムスキオ
エルヴィーノ:アントニーノ・シラグーザ
ロドルフォ:妻屋秀和
リーザ:伊藤晴
アレッシオ:近藤圭
テレーザ:谷口睦美

ムスキオは透明感のある綺麗な声。声量も十分。シラグーザは楽々とした芝居と歌。芝居も歌もイタリアっぽい。声がやや鼻にかかったように感じる事が時々あった。妻屋は堂々とした声。手慣れた感じ。伊藤は強い声のソプラノ。最初のアリアは力が入り過ぎなのか、やや不安定に感じたが、後半のアリアは力一杯歌って、安定した声を聞かせた。近藤は落ち着いた感じのバリトン。谷口は低い声が安定しているメゾ。

演奏は美しく優しい。歌手にも優しい。合唱は美しく、迫力のある声。

周囲が黒くぼやけた白い背面が使われていて、装置も衣裳も彩度の低いくすんだ色あいなので、ちょっと、べリズモオペラのような、ネオリアリズモの映画のような雰囲気。最初シーンは中央に一本の木があり、そこから周囲の方向に放射状にシーツのような布が6枚ほど張られて、ちょっと祝祭的雰囲気。この布を移動してルドルフォの部屋を表現していた。ルドルフォの部屋には大きな金だらい風の風呂桶があり、そこにルドルフォが入っている。その後のシーンは製材所のようなセット。ボイラーのようなものや機械が設置されている。最後のシーンは一軒家。一軒まるごとが遠近法によって作られている。切妻屋根の所に小さなベランダのようなものが付けられていて、アミーナはそこで最後まで歌う。4~5メートルくらいの高さがあるので怖い。

カーテンコールでは、合唱とオーケストラから Happy Birthday の演奏があり、会場からは手拍子があった。シラグーザの還暦の誕生日に合わせたもので、彼にスポットライトが当てられた。サプライズのようだった。

共同制作:テアトロ・レアル、リセウ大劇場、パレルモ・マッシモ劇場

全体構成
1幕目
○序曲はホルンらしき音が聞こえて少しスイスぽく始まり、景気のいいメロディが続いて短めに終わる。続いて舞台裏の合唱、Viva Aminaが静かに始まる。

○舞台の冒頭はリーザの怒りぽいカヴァティーナ。

○続いて、のどかな農村ぽい多分3拍子の合唱曲がゆったりと歌われる。

○アミーナが登場し、緩急のアリア、すなわちカヴァティーナとカバレッタが合唱と共に歌われる。

○エルヴィーノが登場し、エルヴィーノの歌と結婚の儀式の後、アミーナとの緩急の二重唱が始まる。後半は二人が交互に歌う形式。

○ロドルフォが登場し、緩急のアリアが歌われる。後半のカバレッタは合唱と他のソリスト達の重唱が入る。

○テレーザが幽霊の話をして、村人達は「暗い空に、暗い夜に」A fosco cielo, a notte bruna の合唱を始める。タタッタ、タッタという感じのリズムが続く歌。楽しい。

○アミーナがロドルフォに愛想良くしているのを見てヤキモチを焼いたエルヴィーノが全員退場の後アミーナとケンカする。ここでケンカの後、仲直りの二重唱が歌われる。後半うっとり。第1幕第1場が終わる。

○ロドルフォが宿泊している部屋にリーザが現れ、ロドルフォとの重唱っぽいレチタティーヴォのやりとりをする。リーザが夢遊状態でやって来てロドルフォと重唱しながら寝込む。

○寝ているアミーナを発見する合唱。一音一音、あるいは単語ごとに、区切りながら歌う歯切れ良い軽快な合唱で、これまた楽しい。

○アミーナが目を覚まし、皆に疑われる多重唱、合唱となる。緩急の構成で後半の急は短め。そのまま1幕目が幕となる。

2幕目
○村人達がロドルフォの所へやって来て、アミーナとエルヴィーノの仲をとりもって欲しいと合唱を始める。緩急の構成。最初は静かで美しく、後半は勇ましい。

○アミーナがテレーザと歌う。アミーナが悲しみにくれながら短く歌う。テレーザは合いの手を打つ程度。

○エルヴィーノのアリア。最初ゆっくりと始まり、アミーナの歌を挟んで速いテンポのアリアとなる。

○合唱から始まるエルヴィーノのアリア。合唱と他のソリストの声が入る。速いテンポの曲。途中でアミーナの指輪を取り上げる。第2幕第1場が終わり。

○リーザとアレッシオのレチタティーヴォの後短い合唱があり、リーザのアリアへと続く。コロラトゥーラ満載の歌。

○ロドルフォ、エルヴィーノ、リーザ、テレーザと合唱団による歌。後半はゆっくりとした四重唱と合唱。アミーナが夢遊病だと分かり、リーザがロドルフォの部屋に居た事も明らかとなる。

○夢遊病の歩行場面。アミーナが眠りながら歌う。

○さらに眠りながら歌う。Ah, non credea mirarti 。最初の方でエルヴィーノの合いの手が入る。

○眠りから覚めてフィナーレ。アミーナがカバレッタを力一杯歌う。

24.10.03 新国立劇場、オペラパレス

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