二銭銅貨

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ラ・チェネレントラ(日本オペラ振興会)2018

2018-05-13 | オペラ
ラ・チェネレントラ(日本オペラ振興会)2018

作曲:ロッシーニ、指揮:園田隆一郎
演出:フランチェスコ・ベッロット
美術:アンジェロ・サーラ、衣裳:アルフレード・コルノ
演奏:テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ
出演:アンジェリーナ:但馬由香、ラミーロ:山本康寛
   マニーフィコ:柴山昌宣、ダンディーニ:市川宥一郎
   クロリンダ:横前奈緒、ティーズベ:吉村恵
   アリドーロ:上野裕之
ゲネプロ:
   アンジェリーナ:向野由美子、ドン・ラミーロ:小堀勇介
   ドン・マニーフィコ:谷友博、ダンディーニ:押川浩士
   クロリンダ:光岡暁恵、ティーズベ:米谷朋子
   アリドーロ:伊藤貴之

食卓の赤白のチェックの端をつまんで引っ張りあげて、ピンかなにかで壁に固定する。それから、チェネレントラの本を少し開いておく。そうするとネズミが4匹出て来てチーズをかじり始める。さらに本の登場人物が本の中から現れる。早速、物語が動き始める。途中での嵐の場面はコップの水を少し垂らせば良いし、馬車の替わりには木製のおもちゃの自動車を上から吊り下げておろせば良い。結婚式の場面ではクリスマスツリーの電飾の飾りを使って華やかにすれば良い。面白いし、楽しいし、またやりたい。またやろう。本の登場人物と遊んでいた少女は大喜びです。

釣り上げられたテーブルクロスの後ろから本の下に入り、大きな穴の開いた本の中の1ページから出てくる仕掛けになっている。ある程度、ディスニーを意識した美術や演出で、フォルテピアノを弾きぶりで演奏した園田は「ビビディバビディブー」のメロディーを使ったりしていた。この園田の演奏は美しく、また歯切れが良かった。フォルテピアノを使うとレティタティーボが豪華になると感じた。比較的単純な美術だったけれども素直で楽しい演出だった。登場人物と遊んでいた少女は背後のスクリーンに大写しになるけれども、見ているほうも、何かその子の気持ちになれるような演出だった。衣裳も古い時代を思わせる、豪華で凝った造りで、こちらも楽しかった。嵐の場面のシャワーでは粉のようなものを上から大量に落としていて、これがすごく本物らしく見えて面白かった。

重唱が良い。一幕目終わり頃の6重唱、2幕目中ごろのピッチカートのような6重唱。この2つの多重唱は聴きどころだなと感じた。

演奏は元気良く美しく勢いがある。全体に良かったけれども、ホルンなどの金管も破綻のない良い音だったように思った。

但馬と向野は似た感じのメゾで、低い音が安定して美しい。チェネレントラは最初の出だしや途中で歌われる低い音のゆっくりとした短い歌が素朴に美しく、最後のアリアが豪華に美しい。山本と小堀も似た感じのテノールで、声が美しい。谷は柔らかく迫力のある声。この人はどんな役でもいろいろな色合いの声が出せる。柴山、押川、市川はそれぞれ声も良かったけれども芝居が特に良かった。光岡はここぞとばかりに最後のアリアのコロラトゥーラあるいはアジリタを決めていた。横前はやや強めのソプラノ。吉村、米谷のティーズベはあまり目立たないメゾだが、それぞれ最初のクロリンダとの重唱が美しかった。上野、伊藤はそれぞれ落ち着いた感じのバリトン。全員、アジリタがしっかりしていて、大丈夫かなとハラハラするような低いレベルではなかった。沢山練習したんだろう。早口の歌が全員に割り振られていて、それが異様に多いのもこのオペラの特徴らしい。

18.04.29 ジーリオ・ショウワ
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セミラーミデ/MET17-18舞台撮影

2018-05-02 | オペラ
セミラーミデ/MET17-18舞台撮影

作曲:ロッシーニ、指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:ジョン・コプリー
出演:セミラーミデ(王妃):アンジェラ・ミード
   アルサーチェ(若い将校):エリザベス・ドゥショング
   アッスール(将軍):イルダール・アブドラザコフ
   イドレーノ(インド王):ハヴィエル・カマレナ
   オローエ(高僧):ライアン・スピード・グリーン

重唱を重視したオペラ。最初の方でメゾのアルサーチェの長大なアリアがあって、その後にソプラノのセミラーミデとの重唱がある。その他、バリトンのアッスールとセミラーミデの重唱や、アッスールとアルサーチェとの重唱などがある。それぞれにアリアもあるが重唱の方が目立っていて、各重唱に対して会場からの拍手があった。それぞれの声や旋律が良く聴こえる凝った重唱のように思えた。もちろん多重唱も良い。

ミードは声量があり、ドゥショングは安定した美しい低い声、アブドラザコフは迫力があり、カマレナは高い声が強い。グリーンは安定した感じ。それぞれがロッシーニのアジリタをうまく歌っている。難なく歌っている感じで気持ちが良い。メゾの低い音でのコロラトゥーラとかアジリタとかだと、基本周波数に高調波のような高音が霜降りのように混ざりあい、音が美しくなるのではないだろうか。ソプラノではそうはならないように思う。ロッシーニにメゾが多いのはそのせいかも知れない。

演奏は強力だけれども、ゆっくりと優しい感じだった。

美術や衣裳は古典的な雰囲気のもので、演出は歌主体であまり歌手を動かさない方針のものだった。

18.04.15 横浜ブルグ13
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