二銭銅貨

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沈黙/新国立劇場11-12

2012-02-29 | オペラ
沈黙/新国立劇場11-12

作曲:松村禎三、演出:宮田慶子
指揮:下野竜也、演奏:東京交響楽団
出演:ロドリゴ:小原啓楼
   フェレイラ:与那城敬
   ヴァリニャーノ:大沼徹
   キチジロー:桝貴志
   モキチ:鈴木准
   オハル:石橋栄実

円形の舞台。大きな、表面がこまかく凸凹した2本の古い角材の十字架が、斜めに床に突き刺さって立っている。もう一方には階段の付いた大きな台が静かに置かれている。場面によっては上から格子戸のようなものがぶる下がる。この円形の舞台を回しながら様々な角度で見ることで舞台装置の配置が様々に変わる。登場人物の配置も変化させている。各場面での照明もかなり変わり、それによっても舞台装置の表情が大きく変わる。単純な舞台だけれども多彩だった。

全体の印象は質実で真摯なものだった。人物はあまり動き回らずに、特定の構図が作られると暫く動かず、その場面を静止画として見せるような演出だった。通常のセリフも多く、演劇的な演出であるように感じた。

最後の幕切れでは、細長く長方形の無色の照明が床に強く当たり、その先に踏絵が置かれ、中央にロドリゴが居る。クライマックスではその照明が消え、薄く十字の照明が現れる。そのクロスの部分にロドリゴがいる様にして短時間で消える。最後は踏絵を抱くロドリゴにスポットライトが強く当たる。

歌手は皆よく声が出ていて迫力があった。与那城はクールでかっこ良く、ちょっと佐々木小次郎のようなイメージで、小原は実直で苦悩する青年の雰囲気だった。

暗い舞台照明の中、十字架のこまかい凸凹が照明を反射して鈍く光っていたのが印象的だった。端正で硬い感じの舞台だった。

神の沈黙というテーマで、表面的には神は沈黙しているように見える。けれども、それが内なる声だと言う意味で、神は沈黙はしていないと言う様に感じられる舞台だった。
    
12.02.18 新国立劇場
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こうもり/新国立劇場バレエ11-12

2012-02-27 | バレエ
こうもり/新国立劇場バレエ11-12

振付:ローラン・プティ、指揮:デヴィッド・ガルフォース
曲:ヨハン・シュトラウスⅡ、編曲:ダグラス・ガムレイ
演奏:東京シティ・フィル
出演:ベラ:小野絢子、ヨハン:菅野英男、ウルリック:吉本泰久

音楽はウィーン、振り付けはパリ。現代的な振り付けにはアメリカのミュージカルやディスニーっぽいものあって、コスモポリタンな舞台だった。牢屋のシーンでの床に映る格子の模様には日本的な味わいも感じられなくもない。とにかく元気が良くて全部がワルツで楽しい。小野絢子は力強く、菅野英男はゆったりと大きく、吉本泰久は小気味良く軽やかに動いて、その楽しいマイムが印象に残った。

12.02.12 新国立劇場
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12伝統歌舞伎保存会/三人吉三巴白浪、素襖落/歌舞伎

2012-02-02 | 歌舞伎・文楽
12伝統歌舞伎保存会/三人吉三巴白浪、素襖落/歌舞伎

三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

本郷火の見櫓の場

錦弥、芝のぶ、錦一

大雪を、
素早く切り裂く剣の先、
赤い振袖、黒い髪、
火花散らすは青春の、
はかない命を一度きり、
降りしきるのは、やぐら前、
白い雪にあおられて、
強く激しく、
小気味良く、
立ち回り、立ち回り、
太刀に、衣裳に、
強靭に、
綺麗な姿で踊りきる。

悪党の、
青春を散らす強さ、
哀しさを表現する芝のぶの芝居。
よく通る芝のぶの声。

錦弥が和尚、芝のぶがお嬢、錦一がお坊。
降り始めた雪を踏みしめながら花道を、ゆっくり番傘を差して登場した幸四郎が最初に解説をした。

素襖落(すおうおとし)

染五郎、高麗蔵

愉快で楽しい染五郎の踊り、楽しそう。
きりりとした品位、品格の高そうな姫御寮の高麗蔵。

12.01.21 国立劇場
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12国立劇場1月/三人吉三巴白浪、奴凧廓春風/歌舞伎

2012-02-01 | 歌舞伎・文楽
12国立劇場1月/三人吉三巴白浪、奴凧廓春風/歌舞伎

三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

大川端庚申塚の場
割下水土左衛門伝吉内の場
本所お竹蔵の場
巣鴨在吉祥院本堂の場
同 裏手墓地の場
同 元の本堂の場
本郷火の見櫓の場

幸四郎、福助、染五郎、高麗蔵、錦吾

幸四郎は堂々とした余裕の芝居。大きく全体を包み込むような感じ。福助は甘々のお七の声色、だみ声の不良少年の声、きりっとした青年悪党の芝居、1人3役であるかのような芝居だった。染五郎はちょと哀しい喰い詰めものの青年悪党の雰囲気が出る芝居だった。全体に、あまり悪さを感じない悪党3人。おとせがきりりと渋い高麗蔵。

月も朧(おぼろ)に白魚の、篝(かがり)もかすむ春の空
冷てえ風もほろ酔いに、心持ちよくうかうかと
浮かれ烏(からす)のただ一羽、ねぐらへ帰える川端で
竿の雫か濡れ手で粟、思いがけなく手にいる百両
(おん厄払いましょう、厄おとし)
ほんに今夜は節分か、西の海より川の中
落ちた夜鷹は厄落とし、豆だくさんに一文の
銭と違って金包み、こいつは春から縁起がいいわえ

福助は冒頭をちょっと変えていた。

奴凧廓春風(やっこだこさとのはるかぜ)

染五郎、福助

染五郎が奴凧。大空をぐるぐる回って大活躍。金太郎と幸四郎も出て親子3代。幸四郎がとても嬉しそうで、金太郎も楽しそう。みえを健気に切っていた。かわいい。

12.01.21 国立劇場
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