二銭銅貨

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カルメン/MET09-10舞台撮影

2010-02-25 | オペラ
カルメン/MET09-10舞台撮影

作曲:ビゼー、演出:リチャード・エア
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
出演:エリーナ・ガランチャ、ロベルト・アラーニャ
   バルバラ・フリットリ、テディー・タフ・ローズ

パワーが炸裂する舞台。エリーナ・ガランチャは色気があると言うよりも、いたずらっ子が成長して元気一杯、強気な娘になったカルメンの印象。ボーイッシュなカルメンだ。ロベルト・アラーニャは情熱に燃えて愛に一直線なドン・ホセ。バルバラ・フリットリも強い。強靭でタフで強い精神力のミカエラ。衣装も濃い青。テディー・タフ・ローズはちょっとドンクサイ感じのエスカミーリョで、実直な田舎の青年の印象。みんな声量が大きくて迫力に満ちていた。

テディー・タフ・ローズは病気でお休みのマリウーシュ・クフィエチェンの代役。3時間前の朝に、いきなり自宅に代役の電話があったそうだ。

10.02.11 東劇
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日本橋

2010-02-24 | 邦画
日本橋 ☆☆
1956.10.01 大映、カラー、横長サイズ
監督:市川崑、脚本:和田夏十、原作:泉鏡花
出演:淡島千景、山本富士子、若尾文子、品川隆二、柳永二郎

細い路地を中心にして花街の女性達の生活を描く。
人の世の迷路のような狭い道、
踏み誤り、迷い込み、閉じ込められて、抜け出られない、
細い路地裏。
それでも健気に生きていく花街の女性達の話。

気風のいい姐さんの淡島千景。
知性と理性の美人芸者が山本富士子。
若尾文子は元気のいいぴちぴちした若い娘。
それぞれにそれぞれで、
いいバランスのアンサンブルが豪華。
市川崑の演出や編集は現代的な感じでキビキビしている。
幽霊ものなのに、パリパリしていて気持ちがいい。

淡島千景がめいっぱい、画面いっぱいに大活躍。
何か幽霊がのりうつったような、その表情が印象的だった。

溝口健二の同じ原作の映画がある。梅村蓉子が淡島千景、酒井米子が山本富士子、夏川静江が若尾文子、岡田時彦が品川隆二の役だ。

10.02.11 NFC
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10国立劇場2月/曾根崎心中/文楽

2010-02-23 | 歌舞伎・文楽
10国立劇場2月/曾根崎心中/文楽

(第3部)

曾根崎心中(そねざきしんじゅう)
生玉社前の段
 天満屋の段
 天神森の段

濃紺に染まった天神森の闇の中、
白い帯紐を縦に、
2つに裂いて結び合わせ、
それを自分達自身にしっかり巻きつけ締めて、
2人バラバラにならないように、
強く硬く結び合わせる。
恋と恋の最期の道行き。

簑助がお初、勘十郎が徳兵衛。天満屋の段の大夫は嶋大夫で重々しくこの段を語っていた。

簑助の文化功労者受賞記念の演目。

10.02.20 国立劇場
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10国立劇場2月/大経師昔暦/文楽

2010-02-22 | 歌舞伎・文楽
10国立劇場2月/大経師昔暦/文楽

(第2部)

大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ)
 大経師内の段
 岡崎村梅龍内の段
 奥丹波隠れ家の段

文雀がおさん、清十郎がお玉、和生が茂兵衛。清十郎のお玉がきびきびと良く動いてドラマに活気を与えていたように思う。

ドラマは全体に渋くて地味な印象だった。人の世の、間違いに間違いが重なって起こる悲劇と喜劇とを幾分硬い感じで描いていた。その間違いと間違いの間に挟まれてキリキリ舞する人と人、男と女。意地の悪い毒気のあるストーリーは近松物の感じなのかも知れない。

最初の方の段では、ふとどきな以春を皮肉った所もあって、当時の実力者の女性に対する行為を風刺する意図も感じられる。社会派的な側面もあるようだ。そこまで行かなくても、「フィガロ」もののような、ちょっと軽い感じの風刺はある。

処刑される3人のせつなさを、体を縛る縄と、そして壁に映る影で象徴的に表現していた。どうも何か社会批判的な何かの主張があるように感じた。

溝口健二の「近松物語」とはだいぶ違う。

10.02.14 国立劇場
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2010オリンピック男子フリー

2010-02-21 | フィギュア・スケート
2010オリンピック男子フリー

氷上にスケート靴を履いた青年が立ち、
そしてゆっくりと滑り始める。
遠くの、遥か遠くの、
クワッドを飛ぶ位置を見すまして、
風を受けて滑っていく。

彼がそのジャンプに転んだ時には、
心配そうな顔つきのジェルソミーナに向かって、
「大丈夫、大丈夫」って言いながら、
ニコニコしながら今度は軽くステップを踏んでいる。
「ほら、僕みたに、君だって楽しく滑れるよ」って
言っているみたいだ。
だからその時にはもう、楽しそうに、
ジェルソミーナも一緒に高橋大輔と滑っていた。

高橋大輔:3位
ショートはタンゴ風の曲(Eye by Coba)で、それを柔らかな感じで表現していた。しっかりとダイナミックに滑れて、プレゼンテーションも良く3位。一方、フリーはクワッドが失敗、若干のジャンプのミスもあって5位。総合で3位。ショートもフリーも表現は選手達の中で一番良いように感じた。特にフリーのコリオグラフが良く、本当にそこにジェルソミーナが居てもおかしくないような印象だった。高橋のマイムが優れている。滑りも良く、スピードもパワーも落ちなかった。フリーの衣装は白と黒のチェック柄で、良く役柄に合っていた。

織田信成:7位
ちょっと気合が入りすぎなのか、あるいは緊張しすぎなのか、チャップリンらしさがその表情からは消え失せていたものの、滑り自体の気合は十分で、トリプル・アクセルからのコンビの途中のターン以外はほぼノーミスであった。ところが終盤に靴の紐が切れるというアクシデントが発生。ループでミスった所で演技を中断し、審判の前でズボンの裾をまくって脛とぼろぼろの靴紐を見せる。靴先もボロボロ。まるでチャップリンのようだ。このアクシデント自体がチャップリンの喜劇のようだ。これは、あまりにも真剣すぎてチャップリンに成りきれない彼に、神様がプレゼントしてくれたちょっとしたイタズラなのかも知れない。復帰する時の観客の暖かい拍手につつまれていたその時の彼は、本当にチャップリンになれていたのかも知れない。その後は完璧だった。ショートは勢いのある良いスケーティングで4位、フリーは7位。クワッドには挑戦しなかった。

小塚崇彦:8位
ショートのジミ・ヘンドリックスの曲に合わせた滑りが素晴らしかった。乾いた感じの曲をワイルドにぶっきらぼうに表現していて、ややスローなテンポにぴったりと体の動きを合わせていた。全日本の時には曲のテンポが速いように感じたが、どうもそういうことでは無かったらしい。振り付けが素晴らしい。佐藤有香の振り付けとのこと。ゆったりとのびのびと、地味でさりげない有香さんらしい振り付け。衣装は燃える赤系統でクールな感じのデザインだった。パンツはGパン風。8位。フリーではクワッドを両足着地ながら成功。2度目のトリプルアクセルをミスした以外ほぼ完璧で8位。こちらのコリオグラフも佐藤有香。

エヴァン・ライサチェック:1位
真面目で無骨な感じの大男。それなのにショートもフリーも女性的な振り付けで、ちょっとこの人には合わないように思った。ノーミスで1位。ショートは2位。

エフゲニー・プルシェンコ:2位
クワッドをトリプル・トウとのコンビで高く楽々と飛んでいた。しかしながら他のジャンプは軸がよれたり曲がったりでクオリティがイマイチ。ノーミスだったが2位となった。表現もいま1つ乗っていなかったように思う。ショートは滑りも表現も完璧で1位。

ステファン・ランビエール:4位
ショートがウィリアム・テル、フリーが椿姫でそれぞれ清楚で上品なテルとアルフレードだった。アクセルなしのクワッド・トウが2度で若干のミスがあった。他のジャンプもギリギリ。スピンの軸が良く出ていて素晴らしかった。ショート5位、フリー3位。

ジョニー・ウィアー:6位
塵ひとつない清潔で美しい姿勢とコリオグラフ。ステップでよろけていた以外はほぼノーミスで6位。芸術性に優れたスケーターでユニークな個性だ。

佐藤有香:コーチ
ジェレミー・アボットのコーチとして登場。落ち着いた、にこやかな表情が親ゆずり。ジェレミー・アボットは不調で特にショートが悪く15位。フリー9位で総合9位。残念。全米チャンピオンだったのに。

スコア:
合計 ショート(技術, 構成, 減点) フリー(技術, 構成, 減点)
1ライサ 257.67 90.30(48.30, 42.00, 0) 167.37(84.57, 82.80, 0)
2プル 256.36 90.85(51.10, 39.75, 0) 165.51(82.71, 82.80, 0)
3高橋 247.23 90.25(48.90, 41.35, 0) 156.98(73.48, 84.50, -1)
4ラン 246.72 84.63(41.48, 43.15, 0) 162.09(78.49, 83.60, 0)
7織田 238.54 84.85(46.00, 38.85, 0) 153.69(79.69, 77.00, -3)
8小塚 231.19 80.54(42.14, 37.45, 0) 151.60(78.40, 74.20, -1)

高橋のクワッドの失敗は減点も含めて得点0だったので、仮にクワッドをノーマルで飛べていれば、クワッドの基礎点を9.8として合計257.03で2位。織田のアクシデントでのマイナスは5.6くらいなので、それが無いとすると244.14で5位。高橋の構成点の84.50は最高。

2010.2.19 バンクーバー
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